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第26話 龍の産声

ちょっとしたバトルに突入するよ。

 俺はエクレアと合流し、共に鉱山の際奥を目指した。

 俺はと言うと仕方なしに、エクレアは楽しいから。

 好奇心が時として化け物みたく人を変えるとは聞くが、この状況は何だ。


「ふふーん。ふんふふーん!」

「何で腕を絡めて来るんだ。邪魔なんだが……」

「もう、そんなことを言わないでよ!」


 エクレアは俺から離れようとしない。

 だが何だこの気配。いつも以上に……ウザい。


「邪魔だ。俺はそういう暑苦しいのは苦手なんだよ。もっとひっそりとでいい」


 俺はエクレアを突き放した。

 するとエクレアは頬を膨らませる。ムッとした顔になるがなんか可愛い。

 とは言え感情的から来るものではなく、当たり前の一般論だ。

 けれどエクレアは突き放されても尚、俺の元に駆け寄る。もっと幅が狭くなる。


「う、ウゼえ……」

「女の子の愛情にそれは毒だよ。諸刃の剣なんだよ」

「知るかそんなもの。わかる気もない」

「もう、そんなんだから誤解されるんだよ」


 誤解されたなら誤解されたままでもいい。

 何故ならそれが本性を隠す最大限のアドバンテージになる。

 だから俺は無駄なものは削ぎ落す。まるで刃のようにきっぱりと。だが守りや鋳物は信じたいものだけは、全力の盾で守り抜く。


「そろそろ先が見えるはずだ」

「あっ、見えて来たよ!」

「そうだな……はっ!」


 俺は全身を昂るエナジーを感じた。

 だから俺はエクレアを気にする。本人は楽しさのあまり本質に気付けていない様子だ。もったいない。俺は呆れそうになるが気持ちを押し殺して、手を繋いだ。


「えっ、な、なに! 急に積極的だね!」

「違う。ここはヤバいぞ。気を引き締めろ」

「えっ、ヤバいって……はぁっ! 本当だね」

「ようやく気が付いたか。遅すぎるが及第点だ」


 俺は上から目線だった。だけどエクレアの顔も引き締まっている。

 繋いだ左手にエクレアの右手の鼓動が直通(ダイレクト)に伝わる。

 完全に緊張状態に、だけどとても均一に仕上がっている。


「行くぞエクレア。ここから先は死の世界だ」

「そうみたいだね。でもそれでこそ先導者は立つものでしょ!」

「そうだな。勝手に言っていればいい。全力で締めに行く」


 俺とエクレアは奥に進んだ。先に先に。最奥に。

 そこは一体どんな場所なのか。飢えた獣でもいるのか。それとも屍の待つ世界か。

 答えはどっちも違う。だがどうだっていい。

 俺が見た景色は、黄金の世界だった。



「ここは……凄まじいな」

「そうだね。全部金ピカ!」

「金ピカと言うにはあまりに汚いぞ。その分だけ中の純度は凄そうだ」


 俺は金でできた壁をなぞった。どうやら鉄鉱石が金鉱石に変わっているらしい。

 さらに視線を切ると、近くにはモンスターの皮がある。

 魔石が残っていない。だがコボルトの骨が金に変わっていた。どうやら生物にも有効なようだが……


「鉄分やカルシウムを金に変えているのか。厄介だな」

「ねえねえ、カイ君。ここって凄いよ。だってこんな純度の高い金、きっと高く売れるよ!」


 エクレアは興奮しているようだ。だが俺には気がかりがあった。

 このダンジョンがこれだけ純度が高い金を生成するのなら、もっと栄えているはずだ。

 冒険者だってそうでない人でも採取氏に来たがるはずなのに、ここには誰もいない。

 つまりこの場所は自然生成の金ではない。

 そのことに気が付いた瞬間、背後からゾッとする気配を感じ取った。


「な、何だこの気配!」

「か、カイ君……あれ何かな?」


 エクレアの視線の先。カイは金が溜まった上に金色の何かがいることに気が付く。

 蠢いているようだが、姿がよく見えてこない。

 けれど姿は何処となく……


 ウガァァァァァァァァァァァァァァァッ!


 金の幼龍が吠えた。その姿はカイとエクレアの目にしっかりと焼き付く。

 全身を慄かせるには十分な威圧感。そして何よりも毛穴が湧き立つほど震撼した。

 それは紛れもなく龍。モンスターの代名詞。花形だ。

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