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第20話 西の鉱山到着

超便利な魔法。

 俺とエクレアの2人は無事に西の鉱山に辿り着いた。

 道中はやけにモンスターが多かったり、本来暗い場所を好むはずのコウモリが地上にわんさか現れたこと以外で、おかしなことは何もなかった。


「まさかここまでの道中でここまで疲労が溜まるなんて。エクレアも意外だったよね?」

「う、うん」

「さっきから何で歯切れが悪いんだ? 俺が膝を抱えたからか?」

「だ、だった初めてなんだよ! 男の子にお姫様抱っこされるの」

「ふぅーん。そっか。よかったな」


 俺はこれ以上はくだらないので話を流した。

 何せつまらない上に面白くない。けれどエクレアは頬を膨らまして赤らめた。

 どうやら怒らせてしまったらしいが、理由がわからない。


「そう言うのいいから。とにかく行くぞ」

「ちょっと待ってよ。もう、乙女心わかってないなー」


 エクレアは呆れてしまった。けれどそれが俺なので仕方がない。



 西の洞窟の中は予想通り暗かった。

 俺はランプを取り出そうとしたが、エクレアが先になって明かりをくれる。

 天井部が光り出した。いちいちランプを取り出さなくてもいいので助かる。


「ありがとうエクレア。それにしても応用力が高い魔法だな」

「でも私これしか使えないんだよ」

「魔法使いでもなければ大抵そんなものだ。それに固有魔法が1つでもあれば十分だろ」

「そう言えばカイ君は固有魔法とかないの?」

「あるにはあるが直接的な攻撃手段はない。応用力は……場合によるな」


 俺はランプを取り出そうとする左手を引っ込めた。

 エクレアは光で前を照らそうと、俺の前に出ようとする。

 しかし俺が肩を掴んで前に行かせないように制限する。


「うわぁ!」

「危ないだろ。下を見ろ下を」

「下? 本当だ滑りやすくなってるね。それにしてもカイ君はよく見てるね」

「戦闘時にしか周囲への意識を向けないからだ。少しぐらいは注意して歩け」

「はーい! 了解しましたぁー!」

「急に利口になるな」


 俺はおでこにチョップした。ピクついて目を瞑るエクレアだったが、俺は気にしない。

 自分からしておいてその扱いは散々だろうが、構っている余裕はない。

 鉱山の奥からモンスターの気配を感じ取った。


「モンスターがいるな」

「そうだね。どうする、倒しちゃう?」

「それが最善だな。挟み撃ちをされれば面倒だ」


 このダンジョンはとりあえず、入り口から最奥までが太い一本道を中心に繋いである。

 それこそ脇道はほとんどなく、下手に迷うことはないらしい。

 とは言え鉄鉱石を採取しに来たので、採掘場に辿り着けばそれから脇道に入ることもある。

 けれどダンジョンと言うこともあり、いつモンスターと鉢合わせになるかわからない。

 その可能性を常に考慮して俺とエクレアは進んでいた。


 カツンカツン!


「さっきからカイ君は何をしているの?」

「目印。道に迷ったら彷徨うことになるだろ」


 俺は武器庫の空間(チェスト・スペース)から取り出したクナイを壁に叩きつける。

 ボロボロと岩肌が削れていた。人為的に傷付けた跡が幾つも残る。

 これも万が一モンスターに遭遇し脇道にそれたとしても、道に迷わないように鉱山の入り口から中央に掛けて目印として付けていた。


「カイ君って凄いね。本当にランク幾つなの?」

「教えない。教えると面倒なことになるだろ」

「ブーブー。いいでしょ、パーティーメンバー何だよ!」

「じゃあお前の名前とその武器。何処で手に入れたか言えるのか?」


 俺は核心に迫るようなことを尋ねる。

 しかしエクレアは明らかに顔色を曇らせると、話すのを渋る。

 やはり秘密にしたいことらしい。だったら俺が言う必要もないと、少しだけギクシャクしてしまった。けれど俺は気にせずに、エクレアと共にこの先に待ち受けるモンスターに備える。

 エクレアはその間ぶつぶつと魔法の詠唱を唱えるみたいに口にしていた。

 流石に聞き取れないので、チラ見しただけで終わった。

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