第16話 龍の噂
3章からは魔法に《》がつきます。
俺達が冒険者ギルドに戻ってくると、何やらざわついていた。
見れば若い冒険者2人が息を荒げている。
少年は四つん這いになって背中が山になったり谷になったりしている。
もう1人は少女で魔法使いのようだが、仰向けになって体中から汗が流れていた。
床には大きな水溜りができていて、疲労困憊と言った様子だ。
「大丈夫! 返事してよ!」
エクレアはすぐさま駆け出した。おせっかいにもほどがある。
俺は完全に無視して受付嬢の元に向かうと、入手したアイテムを提出して報酬を貰う。
「あの、トマトマジロの果肉を採取してきたんですがこれでいいですよね?」
「はい、確認しますね。チラッ」
パフィは受付嬢を担当しているギルド職員だ。けれど今は俺達の依頼確認よりも倒れている新人冒険者の方が心配らしい。
確かに普通ならそうだろうが、こっちも命懸けは命懸けだ。他人のことを気にかけている余裕はない。
「あの、報酬は……」
「少々お待ちください! 大丈夫でしょうか?」
「さあ。けど生きて帰ってこれただけ儲けものですよ」
「高ランクの冒険者さんが言うと説得力が違いますね」
「そうですか? 俺からしたら自分のランクに見合っていない依頼を引き受けた方に問題があると思いますよ。実力だけを天秤にかけず、所持品や武器、環境を考慮に入れることも必須ですけど」
一応俺からの忠告はパフィに預けておくことにした。
冒険者が一番陥りがちなミスが自分の実力を計り間違えること。
それで命を落とす冒険者は少なくない。俺はそれなりの実力をギルドからも保証され、いざとなれば強力無比の武器を使えばいい。
少なくとも下手な真似で、こんな目には遭わない自信がある。
「冒険者は常に危険と隣り合わせ。それを理解していないからこうなるんですよ」
「そうですね。……でも今回は」
「はい?」
俺はパフィの言うことが気になった。
するとエクレアが心配していた冒険者2人が息も絶え絶えながら、無理やり肺に酸素を送り喋り出す。
「出やがった……あんなのがいるのかよ……聞いてないって」
「そうね……まさか、龍に出会うなんて……ねっ」
「龍? それってドラゴンのことだよね。そんなモンスターの大物がフルード近郊のダンジョンに潜んでいるの?」
エクレアは周りに集まっていた冒険者達に尋ねる。
しかし中級も上級ももちろん知らない。最近棲みついたのか、それとも新人の見間違いか、真相はわからない。
しかし龍がいるとなると話しが変わってくる。
この町も安全ではなくなる。
「おいマジかよ。とっとと他の町に移るか」
「ドラゴンなんて、俺らのランクじゃ無理だろ。上級に任せておけ」
「上級とは言え準備が必要だ。それにそんな真偽が不明なものに人員は裂けたくない」
「何だよ腰抜け野郎!」
「それは君も同じだろう」
長閑な町並みが一変、喧騒に変わった。
普段見られない強大な力を持つモンスターだ。俺だったら倒せるだろうが、流石に関わりたくはない。
理由は単純明快。面倒くさいからだ。
「龍ですか。それは大変ですね」
「そうですね。王都から救援を呼んだ方がいい」
「それは……何だか恥さらしですね」
「知るか。じゃなかった……知らないですよ。この町は長閑なのでこんな凶悪なモンスターに棲みつかれると困るんですよ」
とは言え多く知れていないだけでこの辺りの土地は凶悪なモンスターの出現率は高い。
近郊には様々なダンジョンが存在しており、そこには魔力が満たされている。
どんな場所であれ強いモンスターは生まれることがある。
龍の1匹や2匹可能性は考慮するべきだ。
「まあ、そのうち地上に出て移動すると思いますよ。そうなれば王都も動かざるおえなくなる」
「それも厄介ですけどね」
「まあ……責任転嫁ですから」
俺は報酬を受け取ると、エクレアに半分渡してもらうよう頼みギルドを後にした。
それにしても龍か。また面白いものが現れたなと少しだけ騒めいた。
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