第13話 パサパサのパン
2章は短いです。
俺とエクレアはスライムジェルを提出した。
生憎と下級冒険者用の依頼なので報酬は多くない。
受け取った金銭はせいぜい1500セレス程度だったが、それでもフルードに来て初めて稼いだ報酬だ。俺は心の底から嬉しくて、もっと頑張ろうと決めた。
「うん、やっぱり私達相性良いみたいだね」
「何言ってるんだ、お前」
「だってそうでしょ。こんなに短時間で依頼を達成できる何て、相当相性がいいと思うんだ」
「お前な……はぁ、そうだな」
「あっ、また溜息付いている!」
エクレアは冒険者ギルドに戻って来ても、構わず叫んでいた。
またしても視線が釘付けになると、「またあの2人か」みたいな目が向けられる。完全に痛い奴ら扱いだ。
俺は「無視しよう」と心に決め、平常心を保っていた。
そんな思い出が残る初日だった。
*
俺は朝からいい匂いがして目覚めた。
今日はエクレアも冒険者ギルドにはいかないと決めているので、朝からたたき起こされることもない。思いっきり寝ていられる。
俺はベッドに横になり、布団を顔まで被っていた。
けれど朝ご飯の時間になっても起こされることがないので不審に思い、結局いつも通り目が覚めてしまった。
「習慣って怖いな」
体を抱き寄せて1階に降りると、やはりいい匂いがする。
それはまるでパンでも焼いているようで、こっそりキッチンを見てみることにした。
するとクルミナとエクレアが何かしている姿がある。一生懸命こねていた。
「よいしょ、よいしょー」
「エクレアさん上手ですよ」
「ありがとうございます。ちょっとだけ水を足して、こねてこねてこねて」
いや、普通にパンを焼いているんかい。
俺は心の中で唱えると、気配を消してキッチンを後にしようとした。
しかしクルミナに見つかってしまう。
「何処に行くんですか、カイさん」
「なっ! 俺、気配消してませんでしたか?」
「気配ですか? 普通に気が付きましたよ」
やはり只者ではない。俺は訝しい顔をして眉根を寄せる。
しかし今更逃げることもできずエクレアの隣に立つ。
「頑張っているんだな」
「あっ、カイ君! うん。私、料理好きなんだ」
「そうか。頑張れ……計量カップに白い液体。牛乳か?」
「ふふっ、それは焼けてからのお楽しみだよー」
いや、匂い的に牛乳だろ。
俺は何を隠そうとしているのか、エクレアの顔を見ながら表情を歪める。
するとクルミナが俺の隣に立ち、エプロンを用意していた。
「えっと、これは?」
「カイさんも作りませんか? 一緒にパン教室です」
「……わかりました」
俺は何故かパン教室に参加させられた。
一体何でこうなったのか。正直不明だ。けれど断ろうにも断れない威圧感を感じ取った。
「そうですそうです。中の空気を抜いてこねてこねてイースト菌を活性化させましょう」
「結構疲れますね」
「それがパン作りです。全身を使ってこねてこねて最後の焼き上がりを楽しみましょう」
正直肩が痛い。腕も疲労が蓄積する。けれど嫌いじゃなかった。
俺はクルミナの教えもあり、パンを仕上げることができた。
初めて作ったがなかなか良いものが焼き上がるだろう。
後はじっくり待つだけだが、エクレアはまだ生地を仕上げている。休ませた後なのに大変だ。
「そろそろ焼き上がりますよ」
「そうですか。……エクレアはまだこねてる」
俺は頑張るエクレアを見ていると何だか応援したくなった。
頑張れエクレア。俺は心の中で応援した。
「焼き上がりましたよ。早速食べてみましょう」
「そうですね」
俺とクルミナは焼き上がったパンを試食してみる。
普通に旨いがやはり中身がパサパサしている。正直好みじゃない。
けれど初めてにしてはよくできていて、クルミナさんも「美味しいです」と言ってくれた。
作ってみてよかったと思いながら、今度はエクレアの作るパンができるのを待った。
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