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隠者のユウは隠居ができない  作者: 宮之内誠治(覇気草)
第一章:伝説の始まり
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二十七話:それぞれの道

 翌日、俺はジュンとヘクターも連れて、魔王討伐の報告と報酬の受け取りを兼ねて参加者全員で公王の執務室に直通のゲートを作って行った。

 執務室では公王とミシェルが何やら話し合っている最中だったが、ぞろぞろと入って来たせいで話を中断した。

 とりえあえず挨拶はしておく。

「どうも」

「どうもじゃないだろう。そんなにぞろぞろと引き連れて・・・ここ一応、公王の執務室だぞ。手続き取って来てくれないと、困るんだけど。主にミシェルが」

「ええそうね。宮廷魔術師として、空間魔法に対する結界に不備があるんじゃないかと、不安になるわ」

「そいつはすまん。でもその結界、殆ど機能してないと思うぞ」

「本当に?」

「ああ、ゲートを作っても何ら違和感はないし、ジークフリートとかソフィアも転移は余裕だろう?」

「うむ」

「そうね。範囲に対して出力が弱くて機能していない。出力元は庭の噴水の内側に安置されている魔晶石でしょ。もう寿命だから交換した方がいいよ」

「あなた・・・何者なの?」

 ミシェルさんが鋭い目つきでソフィアを見つめた。

「ソフィア=マーリン。賢者エイリーンから賢者の称号を継承した者。これが証拠の杖と遺書よ」

 杖と宿で見せた遺書とギルドカードを見せた。ミシェルと公王は知っているのか動揺した。

「賢者エイリーン・・・そう、彼女は死んでしまったのね。遺書を拝見しても?」

「どうぞ」

 遺書を渡してミシェルが一通り目を通すと公王に向いて言った。

「陛下。どうやら本当の事のようです」

 遺書は公王に回されて目を通し、残念だと言わんばかりに溜息を吐いた。

「・・・今から君が新たな賢者であると認知しよう」

 それから遺書に公王が何かを追記して印鑑を押し、ソフィアに返した。

「俺のサインと公国の印鑑を押した。これで商業ギルドでの遺産譲渡は確実に行われるだろう」

「ありがとうございます」

 遺書を返してもらったソフィアは杖と一緒に仕舞う。

 賢者宣言が終わった所で、俺は言う。

「話は戻すが、魔王討伐は完了した。こっちの二人は魔王側だったけど、不本意で従っていたに過ぎない。もしやるなら俺が相手になるが、公王はどうする?」

「依頼内容的にそちらに任せることになっている。そういうことなら我々に異論はない」

「よし、ならこの二人は滅んだ国と地域の復興の為に、新たな国王と参謀長官に任命しようと思う。ヘクターが国王、ジュンが参謀長官。力でそれを示させる。でいいか?」

「いいだろう。レイクンド公国はそれを支持し、地域の復興に力を貸そう。だが一つだけ頼みたいことがある」

「聞こう」

「レイクンド公国からそっちまで続く街道の整備をして欲しい。人や物を送るにしても、安全な道が無ければそれすら出来ない」

「分かった。ヘクターたちと相談して何とかしよう」

「決まりだな。ミシェル、魔王討伐の報酬の為に宝物庫へ案内してやってくれ」

「分かりました」

 ミシェルが公王から宝物庫の鍵を受け取り、俺たちはミシェルの案内で宝物庫へ到着した。一階来た時と同様に扉の前に立つ兵士が鍵を受け取って解錠し、扉を開けた。

 中に入って、それぞれ物色を始める。

 ジークフリート、レヴィアタン、ミホは高価な宝石を貰った。

 ソフィアはあからさまな魔法道具を貰った。

 イナハは質の良い剣を貰った。

 レイクンド城での用事も済んだのでゲートで宿に帰ると、ジークフリートが俺の肩に手を置いて言ってきた。

「ユウよ、一つ頼みたい」

「何か?」

「ミホを頼む。あいつは人間で我はドラゴンだ。同じ場所で生活は出来んよ」

「それは本人たち次第だと思うが?」

 横を向けば、ミホが寂しそうな顔をしてみていた。

「・・・ジーク、うちとは暮らせへんのか?」

「我は魔王の因縁に決着をつける為、ここにいたに過ぎない。役目を終えれば静かに暮らすつもりだったのだ」

「そっか・・・なら、うちも付いて行く」

「人としてのまともな生活は望めないぞ?」

「かまへん。暫く修行したいんや。ソフィアやジュンに、目にものを見せてやるんや!」

 どうやら彼女なりに、昨晩の発言を根に持っていたようだ。

「好きにするがいい」

 ジークフリートは宿を出て行き、ミホもそれに付いて行った。少しして、ドラゴンの咆哮が町全体を震わせるほど大きく聞こえた。どうやらそれが別れの挨拶だったようで、ジークフリートとミホの気配が離れて行くのを感じた。

 次に声を掛けてきたのはソフィアだった。

「ユウ、私はエイリーンの店を継ぐから、暇になったら顔出しに来てね。それじゃあ」

「またな、ユウ」

 レヴィアタンも手を振ってソフィアと一緒に出て行った。どうやら彼女はソフィアに付いて行くようだ。

 今度はイナハが声を掛けて来た。

「じゃあ、私も帰るね」

「ありがとう。助かったよ」

「今度会う時は楽な事でお願いするよ。じゃあね」

 イナハも出て行き、残された俺とヘクターとジュンはそれぞれ顔を見合わせた。二人ともいい顔をしている。

「・・・じゃあ、新しい国づくりに励みますか」

「おう」

「はい」

 ゲートを開いて、遥か西へ移動した。


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