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隠者のユウは隠居ができない  作者: 宮之内誠治(覇気草)
第一章:伝説の始まり
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二十四話:討伐準備

 さらに離れた場所へ移動し、テレポートで宿に帰還した。昼時だったようで店の中はロザリーさんの料理を食べに来る客で賑やかになっている。俺が帰っても挨拶する暇すらないようだ。転生者たちやジークフリートの姿は見当たらず、宿泊部屋を一つずつ尋ねて俺の部屋に来るように伝えた。

 ソフィア、ミホ、レヴィアタンがベッドに座り、ジークフリートは扉に背を預けて立ち、俺は窓際に立って言った。

「魔王の偵察に行って来た。結論から言うと、既に大量のアンデットと魔物が誕生していた。あと、エイリーンがアンデットとして魔王についた」

 誰も何も言わない。空気が重くなった中で俺は続ける。

「アンデットはともかくとして、魔物については重大な情報がある。魔王とエイリーンの力によって、生きた人間が魔物の姿に変えられたうえで操られている」

「なんやて!」

「・・・」

 ミホが声を上げ、ソフィアは口を手で塞いだ。ジークフリートは溜息を吐き、レヴィアタンは他の人の反応にただただ困惑した。

「どうやって戦うかは各々に任せる。俺は剣の修理が終わり次第、魔王討伐に向かう。その時に敵の陽動と分断を頼むことになる。ソフィア、君はエイリーンの対処を頼みたい。いいか?」

「分かった。彼女を引き離して足止めすればいいんだね?」

「ああ。ジークフリートはドラゴンたちの対処を頼む」

「いいだろう」

「ミホは黄金の鎧の男を頼む」

「ばっち来いや」

 レヴィアタンと目が合う。無視する。

「・・・ドラゴンを操っている男については、俺が接触したもう一人の頼れる人間に頼む」

「おい、我はどうした!?」

 言葉を待っていたレヴィアタンが尻尾でベッドを軽く叩いた。

「・・・正直なことを言うと、レヴィアタン、君では実力不足だ。これから戦う相手はここにいる者たちと同等の実力を持たなければ通用しない」

「ぐっ」

 言葉がぐさりと胸に刺さったようなので、追撃する。

「ついでに言うと、相手は大量のドラゴン、アンデット、元人間が混じる魔物の群れだ。幾らドラゴンといえど、子供の君では一国の軍以下の戦力しか見込めない」

「ぐはぁ。ソフィア~・・・」

 レヴィアタンは虐められた子供のようにソフィアに抱き着いた。ソフィアは彼女をあやすように撫でながら言う。

「・・・ユウ、本当のことだけど、言い方は考えてあげて」

「ミホ~・・・」

 今度はミホに抱き着いた。

「厳しいなあんたら。全く、しゃーないな」

 俺たちに呆れつつ、レヴィアタンをヨシヨシと撫でた。満更でもないような顔をしている。

 レヴィアタンの使い道を考えてみたが、どうにも思いつかない。下手に他の転生者やジークフリートの傍に居させると、狙われた彼女を守る為に不利な状況に陥る可能性が否定出来ない。かといって後方待機させていても、転移できる魔王やエイリーン、空を飛べるドラゴンたちがいる状況では危険に違いない。

 どうしようか悩んでいると、フロアから剣や鎧がぶつかり合う音が聞こえ出した。気配を探るまでもなく、邪悪な力を感じた。

 この場にいる全員がそれに気付いているようで、フロアの方に意識を向けていた。

「ちょっと見てこよう」

「私も行くよ」

「うちも」

「我も」

 三人がベッドから立ち上がって付いて来る。

「手を貸そうか?」

 ジークフリートが扉を開けながら言うので、俺は通り過ぎる時に一言返した。

「必要なら呼ぶ」


 フロアに移動すれば、数体の鎧を身に付け剣を持つアンデットが暴れており、店主のルナさんやミハイル、レオン、アマンダがそれぞれ対応している。何人かの客とエリーとメリーはエミリアが杖を構えて隅で守っており、彼女の前にはエイリーンが立っていた。

 素早くインベントリから手の中に投げナイフを取り出して投擲し、エイリーンに当てるが魔法の障壁によって弾かれた。

 注意をそらせることには成功して、振り向いたと同時に俺は転移してエミリアとエイリーンの間に立った。

 ソフィアやミホ、レヴィアタンが動き出して他のアンデットの制圧を始めると、エイリーンはまず視線をこちらに向け、次にゆっくりと振り向いた。

「・・・あと少し遅ければ、この子たちを攫っていましたよ」

「何しに来た?」

 徒手格闘の構えをとるが、エイリーンは眉一つ動かさない。

「あなたが偵察に来ていたことは私も魔王様も把握していました。守りたいものの傍を離れればどうなるか、その警告です」

「そうかい」

「では、私はこれで」

 隙を見せることもなく、言うだけ言ってさっさとテレポートして消えた。アンデットは回収しないようで、荒れたフロアに静けさだけが残った。

 緊迫した状態だったが、各々が構えを解いて武器を仕舞うことで一息吐き、ルナさんがこの場を代表するように言った。

「みんなごめんね。今この場にいる全員、奢るよ」

 客も含めてフロアの片づけが素早く行われ、まるでさっきの出来事が些細だったと思わせるように戻った。今いた客も新たに出された食事を摘まみながら、無事であったことを笑って話し合い、ミハイルたちも自分たちの行動を自慢気に話し合っていた。

 俺たちはルナさんに今回の襲撃の事情を話し、隠す必要もなくなりテーブルに集まってロザリーさんが作ったフライドポテトを摘まむ。

 ・・・うん、美味い。

 みんな手が止まらない。ジークフリートもエールと交互に摘まんでいる。誰も何も話さないので、俺から声を掛けた。

「とりあえず、俺は頼る人に会いに行って、剣が出来るまで待機する。他に用事がある人はいるか?」

 ソフィアがフライドポテトを食べつつ、空いていている手を挙げた。

「それなら、私もちょっと離れるわ。下準備をしたい」

「分かった。他は?」

 今度はジークフリートがエールを置いて言った。

「ユウよ、まずはこの国の城へ行け。ミシェルという女が預かっている水晶玉から今の状況を説明しておいた。お前が来ることを所望しているぞ」

「ん、じゃあこの場は任せた」



 隠す気も失せたので堂々とゲートを作って城へ移動する。移動した先の執務室には、公王とミシェルさんと、公王に似た顔つきの偉そうな服装の若い男性が一人いた。

 公王と目が合う。

「来たか」

「どうも」

「父さん、彼がワイバーン襲撃を一瞬で解決したというユウですか?」

「ああ。紹介しよう。こいつは俺の息子、王子のアレックスだ」

「アレックス・ミシガンです。よろしく」

「隠者のユウです。よろしく」

 王子と握手して挨拶も終わったので、公王は話を戻す。

「挨拶は済んだな。呼んだのは、魔王討伐を正式に国として依頼する為だ」

「依頼? まだこの国どころか魔王の情報すら出回っていないと思うが」

「確かにそうだな。だが、ジークフリートとユウの情報では、既に西の方は凄惨な状態だそうじゃないか」

「まぁ、既に一国は堕ちてるだろうな」

「ならばこそ、我が国が率先して解決することで、今後の世界の主導権を得られるわけだ」

「遥か西の問題を解決して、主導権が得られるもんですかね?」

「得られるとも」

 当然と言わんばかりに即答されては、否定しようがない。

 国家間の面倒事に足を踏み入れることになるか。どうせなら、首を突っ込むか。

 いいように使われるのを覚悟し、こちらから主導権を取りに行くことにした。

「分かった。用件を聞こう」

「ミシェル、依頼の説明を頼む」

 ミシェルは頷き、咳払いをして説明を始めた。

「依頼は至極単純、復活した魔王を速やかに討伐してください。報酬は前払いと達成後、どちらも要相談とします。魔王に協力している者の処理については、あなたの判断に任せます。魔王を討伐した際、我が国、レイクンド公国の旗を立て、周辺国に魔王を討伐したことをお伝えください。その際、あなたには公国の大使として周辺国に親書を届けてもらいます。質問はありますか?」

「旗と親書は用意するのにどれくらい掛かる?」

「明日には用意できます。あと、大使としての正式なバッチも用意します」

「魔王討伐後、西の復興に関わってもいいか?」

「むしろ、こちらからお願いしたいくらいです」

 その返事を聞いた俺の頭に、黄金の鎧の男、転生者のヘクターが魔王に不服な態度だったことを思い出し、彼を使って傀儡政権を作り出すことを思いついた。別の案として、周辺国で印象のいい国に話を持ち掛けることも考えた。

「分かった。依頼を受けよう。ただ報酬はどうなる? 一応、魔王討伐で仲間を集めたのだが」

「仲間ですか。こちらとしては、金銭よりも宝物庫から国宝の幾つかを報酬としたいのですが」

 寝耳に水だったのか、公王と王子はミシェルを見た。

「ミシェル、国宝を勝手に報酬にしないでくれないか?」

「そうですよ。あそこには世に出すには危険な物もあるんですから」

「いいじゃないですか。この前、宝物庫が手狭になって来た、とか言っていたのは陛下ですよ?」

 アレックスが怪訝な目で父親に振り向く。

「父さん、また武具の蒐集ですか?」

「う、いや・・・ハハ。思い出の品が年々増えてね」

 言い訳し、誤魔化すように咳払いをして真面目な顔つきで言った。

「・・・まぁ、そういうことだ。宝物庫の品を報酬として出そう」

 アレックスは溜息を吐いた。

「父さん、後で家族会議といきましょう」

「また、アリシアの機嫌を取らねばな・・・」

 公王はやれやれとした表情で呟きつつ、引き出しから特殊な形状の鍵を取り出してアレックスに差し出した。

「アレックス、ミシェルとユウを連れて宝物庫へ案内してくれ。報酬の交渉は任せる」

「はい。では、こちらへ」

 鍵を受け取ったアレックスに連れられてミシェルと一緒に移動する。道行く警備の兵士や騎士、その他の人間から一礼されて通り過ぎ、城の中間部の窓のない通路を通って奥まった所にある厳重な扉に到着する。扉を警備していた兵士は、アレックスとミシェルを見た途端に姿勢を正して一礼し、声を掛けた。

「アレックス殿下、ミシェル様、宝物庫を開けるのですか?」

「ああ。鍵は持っている」

「かしこまりました。鍵を拝借します」

 アレックスから鍵を受け取った兵士が、その鍵を鍵穴に差し込んで右へ左へ何回も回して、最後に押し込むように回すとガチャリと音を立てて解かれ、兵士が扉を開けた。

 中に入れば、高そうな調度品から絵画、用途不明の物品や本、大量の凄そうな防具や武器、装飾品や宝石、思い出の品らしいもの・・・実に様々なものが置かれていて、部屋の半分以上が物で埋まっていた。

「気に入ったものがあれば言ってください。あと、危険な物もあるので、触る時も聞いてくださいね」

「ああ、分かった」

 ミシェルさんも勝手に見て回っているので、俺も見て回る。どれもこれも、相応の値がするもの、相応の質があるものだ。

 凄いな・・・いいセンスだ。

 ん?

 ある武器に目が留まる。綺麗な棚の上にある、凝った金の装飾が施された黒い鞘の短剣だ。

「・・・アレックス、これは?」

「おお、お目が高い。それはドワーフの名匠ダーヴィンが傑作として献上した紅い短剣です。銘は確か『シュトラーフェ』というものですね。毒鉱石、或いは血鉱石という、最も硬い部類で、持つだけで手が爛れる、危険な魔鉱石を使っているそうです」

「へえ・・・手に取っても?」

「大丈夫です。ただ、刀身は触らない方がいいですよ。触った場所が本当に爛れましたから」

 アレックスが笑い話のように言うが、冗談ではないようだ。

 手に取って鞘から抜いてみると、シンプルだが紅い短剣が姿を見せた。血のように紅い。興味本位で一瞬だけ指で刀身を触ってみると、熱を持ちジワジワと痛みが走った。触った箇所を見てみれば、皮膚が溶けて指紋が無くなり赤くなっていた。

 うわぁ、これはヤバイ。

 スッパリと切れたうえで、傷口に酸を塗り込むような激痛が伴う想像をし、身震いする。

「これを貰おう」

「分かりました。他には何かいりますか?」

「あとは達成後に、仲間を連れて選んでもらうことにする。でいいか?」

「いいですよ。ところで、仲間は何人ですか?」

「・・・五人だな」

「ミシェルさん、報酬としては大丈夫ですか?」

「ええ、大丈夫よ」

「なら、決まりですね」

 宝物庫から出ると、兵士が扉を閉めて鍵を閉めアレックスに鍵を返した。

「じゃ、俺はこれで失礼する」

 返事も別れの挨拶を聞くまでもなく、さっさとテレポートで城から出た。



 レイクンド城が見える場所に立った俺は、認識阻害の魔法を使ってから空を飛び、最適な場所を探す。それから適当に石に魔法を付与して設置し、最後の場所で結界魔法を発動させてレイクンド城とその町を結界で覆った。これでレイクンド城と城下町への不意の奇襲は防げるだろう。



 ポートローカルに移動して、同様の結界を作成する。二度とあのような事態に陥らないように念を入れて三重結界にしておいた。

 結界の作成も終わって宿に戻り、俺は魔王討伐の依頼を受けたこと、町に結界を張ったことを説明してから、部屋に戻って生と死の狭間へ移動した。

 ミスティアは周りが暗闇の中で、舞台の上で照らされているようなはりぼてのバーカウンターの丸椅子に座って、静かにカクテルを飲んでいた。一人分離れた椅子に座る。真っ黒な人型のマスターらしいのが目の前に現れたのでお願いする。

「水をください」

 マスターは頷き、グラスに冷えた水を注いで出してくれた。夢か現かも分からない不思議な空間でも、グラスから伝わる水の冷たさを確かに感じつつ喉を潤した。すとんと胃へ落ちる冷涼感が、やはり現実だと教えてくれる。

 だがその感覚が、認識している現状を疑問に変えた。

「・・・なぁ、ここって本当に生と死の狭間か?」

「藪から棒ね。答えはノー。ここは生と死の狭間を模した夢の空間」

 答えを聞いた途端、思考が妙な繋がりをして直感的に解答を導き出した。

「・・・つまり、神様が全て仕込んでいたと」

「ええ。問い詰めてみたら、転生者は全員、この世界の解決の為に派遣したの。不測の事態を予測して、少し多めにね」

「転生者は何人いる?」

「それは教えられないけれど、魔王の復活は始まりに過ぎない、とだけ言っておく」

「始まりね・・・魔王以上の奴が出て来るとでも?」

 ミスティアは答えなかった。それが答えだろう。

 ぬるくなる前に水を飲み干す。

「じゃあ、今日も特訓に付き合って欲しい」

「あなたってストイックよね」

 ミスティアがカクテルを飲み干して立ち上がると、暗闇が明るくなって昨日の特訓でみた学校と町並みに変わった。俺も立ち上がると、はりぼてのバーカウンターは消え、ミスティアはメイド服を着たチエリへと変身した。



 怒涛の特訓により、再び学校も町も崩れ去った。戦いの全盛期を取り戻した俺はその場に座ってラガーを一気飲みして味わい、チエリは瓦礫の平原を晴れやかな顔つきで眺めていた。この景色の何が彼女の気分を晴らしているのかは知らないが、俺としては十全に魔王を殺しきる準備が整った。



 翌日、イナハを連れて来て自己紹介を済ませ、魔王討伐まではそれぞれの方法で準備をしたり英気を養ったりした。

 ジークフリートは瞑想したりミホ相手に戦いの手解きをしたりしていた。

 ソフィアはレヴィアタンの相手を軽くしながら、魔道具を作成していた。

 イナハは紹介した時はバニースーツの格好に驚かれていたが、本人は慣れた反応なのか澄ました顔で応対し、いつの間にかエリーやメリーに好かれ、ミハイルたちには剣や魔法の指導をしていた。

 俺はというと、再びレイクンド城へ行って公国の旗と周辺国への親書と公国所属を示すバッチを受け取り、それから転移魔法をどうにかする結界の準備をし、余った時間は限界を超える為の筋トレを続け、剣が完成する日には朝食前に武器屋兼鍛冶屋のミョルナベに顔を出した。

 鉄を叩く音が聞こえないな、と思いながら扉を開けると、カウンターで武器の手入れをしているナベッタさんが気付いた。

「いらっしゃい。ああ、ユウじゃないか。旦那を呼ぶから待ってな」

 ナベッタさんがカウンターの奥へ行く。予備の剣もついでに買おうと棚の剣を眺めて待っていると、目に凄いクマを作っているミョールさんが妙に豪華な細長い箱を抱えてナベッタさんと一緒に来た。

「ユウ、予定通りに出来たぞ」

 ナベッタさんがカウンターの上の武器を退けると、ミョールさんが細長い箱を置いて蓋を開けた。そこにはシンプルだが質が良さそうな白い鞘に納められた、刀と見紛うほどの剣が綺麗で柔らかな布に寝かされていた。

 手に取り抜いてみる。片刃の剣だが白無垢のような異常な白さだ。模様も全くない。反射する光までもが白くなっている。

「・・・すごい」

 言葉が見つからない。

「鍛冶師として何十年ぶりかの最高傑作だ。これ以上のものは作れねぇ。その剣の銘は『ゼーレ』だ」

「ゼーレ・・・」

 意図か閃きか、分からないが普通じゃないというのは理解した。

 鞘に納めて身に付ける。

「ありがとう」

「おう! ナベッタ、あとは任せた」

 感謝の言葉を聞いて満足したミョールは、さっさとカウンターの奥へ去って行った。それを見送るナベッタさんの顔も、誇るような、惚気たような表情をしていた。

 一息吐いて気持ちを切り替えたナベッタさんは言う。

「・・・何かあったら、すぐに言いな」

「ええ。あと、一つ注文。念の為に予備の剣が欲しい」

「・・・あっはっはっはっはっはっはっは・・・!」

 ぽかんとした表情をしたと思ったら、大口を開けて笑われた。最高の一品を受け取った直後に言うことじゃないだろうが、こちらは真剣だ。

 存分に笑った後、ナベッタさんは気分良く答えた。

「・・・ふふ、どういう状況を想定しているのか知らないけど、それなら棚に置いてある剣を三本、好き持っていきな。サービスだよ」

「なら、遠慮なく貰っていきますね」

 良さげな剣を堂々と三本貰った俺は、ミョルナベを後にした。

 宿に戻れば、全員が宿で朝食を摂っていた。丁度良いので、俺は真ん中に立って言った。

「みんな、食べながらでいいから聞いてくれ」

 全員が注目したのを確認したので俺は込み上げてくる緊張を抑えようと一息間をおいてから宣言した。

「準備が整った。これから魔王討伐に向かう。用意はいいか?」

 誰も何も言わないので肯定と判断する。

「では、朝食後に出発する」

 俺もカウンターに座って朝食を注文した。大事な戦いの前なので流石にお酒は控えた。


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