大人たち。
僕は夏が嫌いだ。
あのじめじめとしていてまとわりつくような空気の中にいると気分が悪くなる。
一日中やむことのない蝉の声と子供の笑い声。
鬱陶しいことこの上ない。
僕は冬も嫌いだ。
寒さで体は無意識に震えるし、服だってたくさん着こまなければいけない。
何事にもやる気は出ないし買い物に出かけるのだって一苦労だ。
もちろん秋も嫌いだ。
風は強いし、花粉もつらい。
外を歩けばカップルばかりで惨めな気持ちになる。
惨めな気持ちになっている自分に気づき、自分が嫌になる。
そして僕は春も嫌いだ。
入学式や卒業式。出会いに別れ。
日本全体が喜びと悲しみ、そして希望にあふれるあの季節。
僕一人だけがイライラしている。
本当の僕は春夏秋冬、いつの季節も愛していた。
愛することが出来ていた。
夏に響く子供の笑い声。
あれは昔の僕の声だ。
冬の寒さも昔の僕は愛していた。
寒ければ暖かいものを食べた時の幸福は何倍にも膨れ上がるし、
服を着こむ分おしゃれの幅も広がる。
そう、広がっていた。
秋は何を食べてもおいしいし、何をするのもはかどった。
恋人なんていなくても、一人で自分なりの幸せを感じていた。
春の喜び、悲しみ、そして希望を僕も感じていた。
いつからだろう、乾いてしまったのは。
僕だけなのだろうか。
それとも乾いたことにすら気づいていないのだろうか。
子供だった大人達。




