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バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話  作者: 紅赤
第4章・魔剣争奪戦編
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第72話 レオン&アルバートvsクロス(4)

11月1日から毎日更新再開する予定です!

「ヒッヒッヒ……ヒーッッヒッッヒッッヒヒイイッヒヒヒイイヒヒヒッッ!」


 嬉しさから笑いが止まらない。

 倒れ伏すレオンとアルバートを横目に、傲慢の魔剣(ルシファー)を天に翳す。


「ヒッヒッヒ……吾輩の勝利! これは吾輩のモノだ!」


 大声で叫ぶクロスにレオンはピクリとも反応しない。

 そんな姿を見て更に笑い飛ばすクロス。

 だが、それも飽きたのか、クロスは次の目的を果たそうと動き出す。


「ヒッヒッヒ……さぁマリアよ。いま行くぞ……//」


 すでに興奮している魔王は、頬を気持ち悪く赤らめながら彼女を想った。

 何はともあれ最初(まず)はマリアを探さなければ始まらない。

 彼女をを探しに行こうとしたとき、近くからガサガサ、と音が聞こえた。


「……誰だ?」


 次なる敵の可能性も考慮し、クロスは強欲の魔剣(マモン)を構えて聞こえた方向に顔を向ける。


「――クロス」


 クロスはその人物を見て驚愕し、強欲の魔剣(マモン)を落とした。

 見開いた目に映るのは、自身の想い女である――タイラント=マリア=コバルト。


「ま、マリア……どうしてここに!?」


 動揺したクロスは正直に今の疑問を尋ねた。

 しかし、マリアは俯いたまま喋ろうとはしない。


(ま、不味い。何とか話を繋げなくては!)


「そ、そうだ。ちょうどお前を探そうと思っていたのだ!」


 何とかマリアをこの場に留まらせるために、思わず本当のことを言う。

 さすがにストレート過ぎたか? とクロスは不安になった――のも束の間。


「……私も、探しておったのじゃ」


 マリアから出たのは意外な言葉であった。

 さらに話を付け加えると、実は少し前からクロスとレオンの戦いを観察していたと言うのだ。

 全く気付かなかったクロスに、マリアは身体をくねらせると、上目遣いで一言――


「――カッコよかったぞ♡」


 その一言を発すると、マリアは目をハートにしてクロスへと抱きついた。


「!?????!!!!!!????????!?!??!?!?!??!?!?!?」


 そのあまりの急展開にクロスは頭がついて来なかった。

 あまりにいつのものマリアらしくない言動に、

「本当にマリアか?」

 と、クロスはストレートに疑問をぶつける。


 それに対しマリアは、

「疑っておるのか?」

 と、赤らめた頬を膨らませた。


「疑っておらぬ!」


 破壊力抜群の可愛さを前に、クロスは鼻血だの涎だのを流しながら答えた。


「ならばよい♪」


 ハンカチで顔の汚れを拭くマリア。

 すると、突然目を閉じて何かを待つ仕草をする。


(――はっ! そ、そういうことであるか~~~~)


 クロスは全てを察すると、ゆっくりと自身の顔を近づける。


(ヒッヒッヒ……なんて最高の日だ――)


 自分も目を瞑り、マリアの肩に両手を乗せた。


 そして二人の影が徐々に……徐々に……重ねっていく――



 ・

 ・・

 ・・・

 ・・・・

 ・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・・・

 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・




「――ねーレオン?」


「――何ですかアルバート?」


「彼……どんな夢見てるのかなー?」


「さぁ、ね……きっと素敵な夢ですよ」


 優雅に紅茶を飲みながら話すのはレオンとアルバートだ。

 その横では、幸せそうな顔で眠るクロスがいた。

 レオンの体に外傷はなく、アルバートもいつも通り元気溌剌(げんきはつらつ)である。

 対してクロスは右足にひどい火傷を負っている状態だ。


「全く……()()()()()()()にするとは……甘いにも程がある」


 倒れるクロスを見下ろすレオン。

 その表情から心底クロスを哀れに思っているのがわかる。


「ま、最初に傲慢の魔剣(ルシファー)()()()()()()のまま理解しちゃったのが運の尽きだね」


 自分用に作られた特製のティーカップを傾けるアルバートはそう言葉をこぼした。


傲慢の魔剣(ルシファー)……一見すると<思考改変>の能力と勘違いしてしまうが、実際は違う」


 手に持った魔剣を見つめるレオン。



 ―― 傲慢の魔剣(ルシファー)――


 ナイフ型ゆえに小柄な印象を持つ魔剣だが、その能力は何とも奇奇怪怪である。


 能力の名は―― 明之明星(ルシフェル)――


 発動条件を満たした相手を、自力で解くことのできない夢幻(ゆめまぼろし)に堕とす。

 堕ちた者は、夢と現実の区別が付かず、傲慢の魔剣(ルシファー)の所有者が解除しない限り、永遠に夢の中を彷徨うこととなる。

 能力の具合によって、クロスのように眠らせ行動不能にすることもできる一方、幻で強烈な印象を植え付け、他者の行動を扇動することも可能である。


 この能力をレオンは依然とある国で使用した。

 その時は王宮の兵士に、()()()()王の傍若無人な振る舞いを見せつけて王への反逆心を煽り、クーデターを見事に成功させている。


 そしてもう一つ肝心なのは、その能力の発動条件だ。


「『斬る』。惜しかったんですけどね……」


「うん。もうバレるんじゃなかと思ったよー!」


 レオンらの会話通り、クロスは近いところまで推理を寄せていた。


「発動条件は『相手のDNAを摂取すること』――ですからね」


 そう―― 明之明星(ルシフェル)の発動条件は斬るのではない。

 必要なのは対象のDNA情報なのだ。

 それは相手の血液などの体液のみならず、()()()などの体毛も含まれていた。

 つまりクロスの不意を突き、前髪に触れた時点で発動条件は満たしていのだ。


「目の前に敵がいて素直に能力を言うわけがない。よく考えれば理解できるでしょうに」


 レオンは眼鏡を左手の薬指で直すと、おもむろに立ち上がる。

 そして倒れるクロスへ近づくと、心臓ギリギリに魔剣を突き立てた。


「しっかりと、その歪んだ愛を正しなさい」


 そう言ったレオンは、そのまま魔剣を胸に突き刺す。

 致命傷を負ったことにより、手の甲に施された魔法陣が発動。

 クロスはすぐに強制転移され、この場から姿を消した。

 戦闘が終わり、川のせせらぎがもう一度心地よく耳を癒す。


「いいの? 強欲の魔剣(マモン)なんて便利なもの取らないで」


 アルバートは尋ねた。

 彼の言う通り、強欲の魔剣(マモン)があれば今後の戦いは有利になるだろう。

 しかし、それをしなかった。

 レオンは苦笑しながらそれに答える。


「……相手の手の内がわかるゲームなど、面白くも何ともないでしょう?」


「そうなの?」


「えぇ。自分の力・ステータス・能力を全て駆使し、自分より上の実力者を倒す。

 だから面白いんですよ、ゲームはね。

 相手の取るべき戦法を知ってしまうなど、クソゲーです」


 その答えは、レオンらしからぬ理に適っていないものである。

 だが、そこには『レオン・フェルマーの美学』とも言うべきものが詰まっていた。

 それを聞いたアルバートはレオンらしいと思い、微笑を浮かべた。

 と、ここで一つの疑問を抱く。


「――じゃあ、レオンは自分の()()()()()()は嫌いなの?」


 この問いに、レオンは無言になる。

 けれど暫くすると、飲み終えたティーカップを仕舞いながら口を開いた。


「スキルは嫌っていませんが……最大開放はあまり好きではありませんかね」


「だから、滅多に使わないの?」


「えぇ……面白くありませんから、あの能力は……」


 レオンはまた溜息をつくと、すぐに頭を切り替えた。


「さて、こちらは終わったことですし、タローなる人物に接触してみますか」


 手を一つパンッと鳴らすと、アルバートを肩に乗せ、レオンは歩き出した。







 敵の言葉を信じてはいけない――



 油断したところで自然と、息を吐くように嘘は紛れ込ませる――



 レオン・フェルマー



 彼はこの戦いで――いくつもの嘘をついた――






 魔王ハンター=クロス=トパーズ 脱落

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「これからも頑張ってほしい!」

等々、

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評価方法は星をつけるだけです。


クロス「ヒッヒッヒ……吾輩が負けたからブックマークも評価もしなくてよいわ」


タマコ「ブチ殺すぞ貴様」

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