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バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話  作者: 紅赤
第4章・魔剣争奪戦編
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第66話 タロー&タマコ vs ラン&ジード(3)

 青い光に包まれているとき、ランとジードは不思議な感覚を味わっていた。

 それはまるで、心も体も一つになったような――


(――ってホントに一つになってるッス!?)


(あはは……どうやらこれが能力みたいだね……)


 影が一つになり、自身の体は青い鱗に鋭い爪と変化している。

 だが、ジードの気配を精神から強く感じるので、ジードがいなくなったわけでないことはすぐに理解できた。


(なんか……暖かいッス)


(あぁ……そして、心地よい――)


 いつまでもこの感覚に浸っていたいが、そうはいかない。

 徐々に光が弱まっていき、タローとタマコの二人も自分達の姿を目視した。

 いまから、最後の戦いに身を投じなければならない。


(いくよラン)

(了解ッス!)



 ***



 龍人は身体をゆっくりと前方に傾ける。

 こちらへ向かってくることを伝えるかのような大胆な動き。

 タローもタマコ注意深く、慎重に備えていた。



 ――バチィッ!



 一瞬の雷鳴が轟く。

 二人とも注意深く見ていたはずの場所には、すでに青き龍人は姿を消し――


 気がつくと龍人は、タローとタマコの間に移動していた。


「――ッ!?」

「なにッ!?」


 龍人が移動した軌跡に蒼雷が散っている。

 おおよそ目視不可能な速さで移動してきた龍人は静かに言葉をこぼした。


「「遅い」」


 身体を横に回転させ、タローに龍爪を、タマコに尾を振るった。


「ちっ!」


 タローは反応するや否や、怠惰の魔剣(ベルフェゴール)を前方に構えてガードする。

 凄まじい衝撃が魔剣越しに伝わってくるが、両足を力一杯踏ん張り、何とかその場に止まる。


「がっ!?」


 タマコは防音壁(サイレント)を身体の前に展開。

 しかし勢いは殺せず、そのまま後方へと吹き飛ばされてしまった。


「この野郎――」


 タローは攻撃直後の龍人を狙い、すぐさま反撃を仕掛ける。


「ここに来てパワーアップとか、お約束すぎんだろッ!」


 棍棒状態の怠惰の魔剣(ベルフェゴール)を振り下ろした。


「「――フンッ!」」


 龍人は身を低く屈めると、頭上で両腕をクロス。

 さらにその上へ、嫉妬の魔剣(レヴィアタン)と一体となった尾を重ねた。


 怠惰の魔剣(ベルフェゴール)嫉妬の魔剣(レヴィアタン)が、三度ぶつかり合う。

 その衝撃波で台風並みの突風を撒き散らせると、辺りの木々を薙ぎ倒していった。


 正直な話、攻撃力はまだタローのほうが上である。

 例え青龍同化(せいりゅうどうか)前が無傷の全快状態であったとしても、タローの一撃は超えられない。


 しかし、龍人はその一撃を容易く受け止めてみせた。


「っやるぅ~……」思わず笑ってしまうタロー。


「「さっきまでとは、違うんだよッッ!!」」


 クロスしていた両腕で怠惰の魔剣(ベルフェゴール)を勢いよく薙ぎ払う。

 タローもそれを察知して後ろへ飛び退いた。


 その隙に龍人は両腕の爪に蒼雷を纏うと、タローとの距離を一瞬で詰める。


「「青龍雷迅爪せいりゅうらいじんそう!」」


 龍の爪に雷が加わったことにより、リーチが拡大。

 驚異的に攻撃範囲が広くなったことで、飛び退いて躱すことが困難となってしまった。


「やばっ」


 咄嗟に怠惰の魔剣(ベルフェゴール)でガードをする。

 しかし蒼雷は魔剣を伝い、タローを感電させることに成功した。


「――痛ッッッでぇ!」


 ビリビリが苦手だと言っていたタローだが、それは本当だったようだ。

 雷撃が右手を襲うと,その痺れから魔剣を離してしまった。

 もちろん龍人はその隙を見逃さない。

 両爪に纏っていた蒼雷を全て右拳へと集中させた。


「「青龍雷電拳せいりゅうらいでんけんッッ!」」


 特大の蒼雷に覆われた拳がタローに迫る。

 しかし――


「(`・ω・´)」

(訳:タローさま!)


 棍棒状態だった怠惰の魔剣(ベルフェゴール)は、自らその姿を変化。

 自我を持ったプー(クマのぬいぐるみ)が、その足に魔力を纏わせ、龍人の拳を下から蹴り上げた。


「「ーーなんだこのクマは!?」」


 突然軌道をずらされた龍人が下方へ視線を向けると、回し蹴りを放った格好のクマのぬいぐるみが瞳に映る。

 タローへの直撃は避けられたが、それでも龍人は止まらない。


「「――ならば!」」


 腕を蹴り上げられた反動を利用し回転。

 右拳の蒼雷を、今度は右足に移動。

 後ろ向きで回し蹴りを放った。


「「青龍雷轟脚せいりゅうらいごうきゃく!」」


 プーの一撃で攻撃範囲からタローは外れている。

 しかし、プーを蹴り飛ばしタローから離すことで、武器の装備を妨害することは出来るのだ。

 それを成功させれば大きなアドバンテージとなる。


 だが、龍人の作戦をそのまま通すほど、タローの相棒はお人好しではない。


死への行進曲(デス・マーチ)!」


 右足が炸裂する直前に、横から音速の黒刃が迫った。


「「――ぐッ!?」」


 ギリギリで反応した龍人は防御するも、その衝撃に押され吹き飛ばされる。

 龍人は足の鋭爪を地面に突き刺し減速。

 十数メートル後退したところで、その勢いは漸く止まった。


音撃演奏(サウザンド・サウンド)!」


 だがタマコの追撃は止まらない。

 音撃の機関銃(マシンガン)が龍人を強襲する。


「「この程度っ!」」


 龍人は背中から両翼を展開。その翼で自身の身を包んだ。


「「青龍防丸翼せいりゅうぼうがんよく」」


 翼に音の弾丸が襲い掛かる。

 だがそれを全て受け止めると、音撃(サウンド)は無へと帰していった。


 息つく暇もないないほどの攻撃を、いとも簡単にいなしていく龍人。

 だが、当の本人は――


「「はぁ…はぁ……」」


 両翼が開くと、そこには息を切らした龍人。

 口からは血が流れ、明らかに正常ではなかった。

 その姿を見たタマコは、すぐさま見抜いた。


「やはりな……融合したことである程度の傷は塞がったようだが……それでも蓄積されたダメージが消えたわけではない」


 タマコは様子を見てそう結論づけた。

 その推理を龍人は素直に肯定する。


「「正直立っているのもやっとだよ……けれど、勝ちたい!」」


 口元の血を乱暴に拭い、蒼雷迸る眼光を鋭くさせる。


「「命を賭けてでも掴みたいものがある。……理不尽(君たち)に立ち向かうことに、それ以上の理由はいらないだろ?」」


 肩を大きく上下させながら龍人は言った。

 状態を見ても、動けるのは精々が残り1分程度と予想できる。

 それを伝えられたタローは、漸く痺れから解放されると、首をコキコキと鳴らした。


「泣いても笑っても残り1分か」


「短い……けれど、長いぞ?」


「(`・ω・‘)」

(訳:やるしかないっしょ!)


 3人とも1分まで時間を引き延ばす気はない。


 何故ならそれは、『真の勝利』とは言えないからだ。


 負けられないのはランとジード達だけではない。

 それぞれが、それぞれの思いを胸に宿して戦っているのだ。

 その思いを受け止め、龍人は大きく息を吸いむと、もう一度拳を構えた。


「「来い――全力でなぁ!!」」


 瞳に今までで一番に強い蒼雷を迸らせ、龍人は吠えた。


 プーはクマの状態から棍棒に姿を変え、タローの手元に戻る。

 タマコは黒弦刀の弦を弾き鳴らし、身体には音を付与させて完全な攻撃体勢。

 タローは手元に戻った怠惰の魔剣(ベルフェゴール)をランとジードに突きつける。


「面倒だけど……倒すぜ?」


 魔剣に濃密な魔力を宿し,タローは龍人へ駆け出した。

ひっっっっぱるなぁぁああああ!!!!!

次回は決着します!

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