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バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話  作者: 紅赤
第4章・魔剣争奪戦編
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第65話 最後の悪足掻き

スマホで書くのに慣れていないので、誤字とかあったら教えてください。

Wi-Fiのあるところに行った時や、Wi-Fiが家に到着次第修正します。

早く毎日投稿できるように頑張ります。

 傷つく彼女が見えた――

 それだけで、ボロボロの身体は駆け出していた――

 おおよそ動けるはずの無い傷でも――

 例え無理やり動き、傷口が開こうと――

 それでも、ボクの身体は動いていた――


「ランッッ!」



 ***



 自分を助けようとする彼が見えた――

 それだけで、手放そうとしていた意識がハッキリした――

 もう声を上げるほどの気力が残っていなくても――

 例え、それが無駄な体力を消費することでも――

 それでも、自分は彼の名を呼んでいた――


「ジー君……!」



 ***




 タマコに近づく龍は蒼雷を身に纏い、我武者羅に傷だらけの身体を突撃させた。


「――ッ!」


 タマコはランに放とうとしていた音撃(サウンド)の軌道を無理矢理に変更し、青龍の顔目掛けて飛ばした。

 だが、当たる直前に青龍はその姿を人型に戻し,音撃(サウンド)を避ける。


青龍之雷(せいりゅうのいかづち)!」


 人型に戻ったダークエルフ――魔王ジードは躱した直後に蒼雷を纏った嫉妬の魔剣(レヴィアタン)の斬撃を放つ。


音速移動(ソニック)!」


 タマコは音速移動(ソニック)を使用し辛うじて雷撃を避けるが、その結果ランと距離を置くこととなり、トドメを刺すことが出来なくなる。


 ジードはランの下へと駆け寄ると、その身体を抱き寄せた。


「ラン……ごめんよ」


 ジードは涙を流してランに謝罪するが,ランはそれに対し首を横に振った。


「大丈夫……ッスよ……自分こそごめんッス。また足引っ張っちゃって……」


「いや……君はよく頑張ってくれたよ」


「えへへ……ジー君に、褒め、られると、やっぱり嬉、しいなぁ……」


 今にも消え入りそうな声で話す二人。

 ダメージの量からしても、強制転移されるのは時間の問題だろう。

 タマコもそう考えて、無闇に二人の邪魔をすることはしなかった。


「……終わりか? タマコ」


 ジードが駆け付けてから少し経った頃、タローがタマコと合流する。

 ここにほぼ無傷のタローも加わったことで、ジードとランの勝機はほぼ無くなった。


「あぁ……もう逆転はないだろう」タローの問いに答えるタマコ。


「そっか……」


 タローvsジード。

 二人の戦いはタローの勝利で終わった。


 タマコvsラン。

 二人の戦いも、タマコの勝利。


 ジードもランも満身創痍。

 ランはサレンダー寸前。ジードはランより動けるが、技を一発撃てるかどうかというところだろう。


 あとは、二人が転移されるのを待つだけ――







「――まだだ」


 ジードはランを抱いたまま、静かな声でそう言った。

 優しくランを地面に寝かせると、ゆっくりと立ち上がる。


「無理じゃ。動けば死ぬぞ?」


理解(わか)っているさ……。けれどボクにも魔王としてのプライドがある……!」


 ジードはこの後に及んでもまだ闘志を失っていなかった。

 肩で息をし、足が震え、魔剣を構えるだけで精一杯のはずなのに。

 それでもジードは、最後まで立ちはだかった。


「――だったら終わらせてやるよ」


 今にも倒れそうなジードを前に、タローは魔剣を構えた。

 その気迫はまるで手を抜くことを感じさせない、本気そのものであった。


「……ありがとう」


 ジードは勝負を受けてくれたタローへ礼を言う。


「ジー君……」


 ランにはジードの気持ちが理解できた。

 タローの様子を見るとわかる。

 きっとジードの全力も、暴走しても、その身に傷一つ付けられなかったのだろう。

 モンスターの頂点――魔王が、人間一人に擦り傷一つ付けられなかった。

 その事実は、魔王の誇りを賭けるには十分な動機だ。

 だが、今のジードではそれは叶わないだろう……


 ――そう、一人ならば――


「――自分も……戦うッス!」


 そのとき、もう喋るのも限界だったはずのランが立ち上がった。

 フラフラの身体がまた倒れかけるが、ジードがその身を慌てて支える。


「無理をするな!」


「……ジー君、一緒に戦おう!」


「でも――」


 自分の身を案じるジードの手をランが握る。

 ジードの目を見つめながら、彼女は力強く頷いた。


「二人で勝とう――ジー君!」


 彼女の言葉に、もう一度涙を流すと、ジードも笑顔で頷いた。


「あぁ、わかった――」


 それは、ジードが決意したと同時だった。

 手に持っていた嫉妬の魔剣(レヴィアタン)が、突如として発光しだしたのだ。


 それは、まるで二人を祝福するような青い光――


嫉妬の魔剣(レヴィアタン)……そうか、力を貸してくれるんだね」


 ジードは何かを察すると、ランの手を握り返し抱き寄せた。


「ラン――二人で勝とう!」


「うんッ!」


 ランは深呼吸を一つすると、もう一度最大開放を発動した。

 ジードは嫉妬の魔剣(レヴィアタン)を天に掲げると――その技の名を叫ぶ。



「――青龍同化(せいりゅうどうか)――」



 青い光が二人を包み込む。

 光に照らされ、二人の影だけが濃くなっていく。

 しかし、異変は突如として起こった。


 二つの影は段々と重なっていき――やがて(それ)は、一つとなる。



「コイツは……」


「ヤバいのぉ……!」



 光が止み、そこに現れたソレを見て、タローとタマコはすぐさま臨戦体制に入った。


 二人の前にいるのは――ラン。


 だが、その風貌はまるで違っていた。


 頭には角が生え、手と足には鋭い爪。後ろには先端部が嫉妬の魔剣(レヴィアタン)となった尻尾。


 その姿を一言で表すなら――龍人――


 龍人は閉じていた瞼を開けると、その青い瞳から蒼雷を迸らせた。


「「さぁ、最後の戦いを始めよう」」


 ランとジードの声が重なり合った声で宣言する。

 その気迫は、ジードのものとも、ランのものともまるで違う。

 まるで別人だった。


 だが、相手はこの程度で退くような常人ではない。


「おー、上等だ」


「やれやれ……一筋縄ではいかんなぁ」


 戦いは、ついに最終局面を迎える。

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