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バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話  作者: 紅赤
第4章・魔剣争奪戦編
58/198

第56話 タロー&タマコ vs ラン&ジード(2)

すいません。

用事が立て込んでしまい今回は短いです。

調整がつきましたら56話に付け足しという形で更新いたします。

楽しみにされている皆さま、大変申し訳ございません。


→更新いたしました。お待たせして申し訳ございません。

「先手必勝ッス――部分変化(ヘンシン)!」


 最初に動いたのはランだ。

 スキル:部分変化(ヘンシン)は、身体の一部をモンスターのモノに変えるという能力である。

 ランは足をフェンリルに変えると、高速でタローへと攻撃を仕掛けた。

 加えて部分変化(ヘンシン)状態では自分のステータスに、変化させたモンスターのステータスが()()()されるため、通常のモンスターより遥かに速くなっている。


「終わりッス!」


 高速移動中、さらに腕をキング・オーガに変化。

 フェンリルのスピードとキング・オーガのパワーが合わさり、その威力は驚異的なものになっている。

 迫りくる巨拳に、タローは怠惰の魔剣(ベルフェゴール)を構えた。


「終わらせねーよ」


 片手で振るった怠惰の魔剣(ベルフェゴール)が、高速で突進してくる巨拳とぶつかり合う。

 激しい突風が発生し、辺りが衝撃波で揺れる。

 しかし、それは一瞬のことであった。


「うわッ!?」


 予備動作なし(ノーモーション)で振るわれた棍棒に、加速した巨拳が破られたのだ。

 ランの体は衝撃で後退を余儀なくされる。

 浮いた身体を翻して着地したが、それでも勢いは完全には殺せず、木を4本ほど折って漸く止まった。


「――っく~~~~~~!!! さすがアキラさんをぶっ飛ばしただけはあるッスね!」


 ランは笑っており、余裕な様子だった。

 しかし、肩で息をしていることから、相当なダメージは受けているようだ。


「ラン! 大丈夫か!?」


 ジードはすぐさまランに駆け寄る。

 ランは「大丈夫ッスよ……っ!」と平気そうに見せた。

 だがジードは百戦錬磨の魔王だ。ランのやせ我慢は見抜いている。

 そして、タローの実力も理解した。


「……ラン。悪いけどタロー(あの人)とはボクがやるよ」


 ジードは静かに視線をタローへと向けた。

 まるで敵を取ることを決めたような瞳。

 恋人を傷つけられたことへの恨み、辛み、怒りがその眼光から感じた。


「ラン、これを」


 ジードは懐から回復ポーションを取り出して、ランに飲ませた。

 するとみるみる回復していき、数秒でいつものように元気になる。

 だが、ランの顔は険しかった。


「ごめんッス……もう完全回復薬(フル・ポーション)を使うことになっちゃって……」


 ランが気にしている通り、ジードが使ったのは完全回復薬(フル・ポーション)だ。

 他の回復薬より効果は段違いで、呪いの類でない限りは欠損箇所すら直すことができる。

 しかし、だからこそ完全回復薬(フル・ポーション)はとても貴重で、手に入りづらいものでもあった。

 実際ジードが持っていたのはこの一本のみで、あとは大回復薬と中回復薬がそれぞれ3本ずつだ。

 なるべく緊急事態時のみでの使用したかったが、開始早々使う羽目になってしまったことをランは悔やんだ。

 気落ちするランにジードは首を横に振り、その考えを否定した。


「落ち込む必要はないよ。それに、ボクも同様タロー()を少々甘く見ていたようだしね……。

 魔王タイラントのみ気にしておけば問題ないと思っていたが、どうやら検討違いだったようだ」


 ジードはタマコの方を見た。

 タマコは武器こそ手に持っているが、タローに加勢するつもりはないのか、すでに構えを解いていた。


(彼が勝つことをわかっていた? ……いや、信頼しているんだろうな。彼の力を……!)


 魔王が全幅の信頼を置く人間。

 それも転移者や転生者などの特別な力(チート)を持っている人間ではなく、この世界の原住民。しかも魔力が無いため魔法も使えない人間。

 魔力が無いことは珍しいことではないにしろ、それほどの人間がどうやってここまでの力を付けたのか、ジードはそれが気になって仕方がなかった。


(ランと彼では、残念ながら勝負にはならなさそうだ。おそらくランがスキルの最大開放を使っても怪しい)


 ジードはランの回復を見ると、すぐさま自身の武器である嫉妬の魔剣(レヴィアタン)の切っ先をタローへと向ける。


「君の相手はボクがするよ」


「あっそ」


 タローは棍棒状態の魔剣を肩に置き、どうでもよさそうに返事をした。

 タローはどこまでも余裕そうであった。

 その反面、ジードのこめかみに冷や汗が一筋流れた。


「言っておくが、ボクはランより強いよ?」


 ジードは挑発したが、脳では理解していることがあった。


「さっさと来なよ――ブッ飛ばしてやるからさ」


「一応言っておくが殺すなよ?」タマコが釘をさす


「……わかってる」若干忘れていたが、タローは分かってるフリをした。


 そんなタローたちの会話などお構いなしに、ジードはタローへと斬りかかる。


「では――いくよ!」


 怠惰の魔剣(ベルフェゴール)嫉妬の魔剣(レヴィアタン)がぶつかり合い、激しい火花が散った。




 ***





 ジードは戦っている時だというのに、頭の中ではランのことを考えていた。


(ランはこのあと魔王タイラントと戦うだろう……)


 そう考えたジードはランの邪魔にならないよう、戦いながら場所をランから遠ざけた。

 ある程度離れたところで、ジードの剣も本領を発揮し始める。

 嫉妬の魔剣(レヴィアタン)は青龍刀型の剣であるため、重量が軽く振りやすい。

 その特性を活かし、魔剣を高速で振っていくジード。

 徐々に速さが増していく。

 その姿はまるで『舞い』のようだった。


「――剣法舞踊(ジエン・ウーダウ)


 身体を回転させ、嫉妬の魔剣(レヴィアタン)を左手、ときには右手にと高速で持ち替えながら、刃が振るわれる。

 だが曲芸ではない。その動きには全く無駄がなく洗練されていた。


 だが――


(あー、やっぱりか――)


 ジードの目線の先には、もちろんタローがいる。

 そしてタローは、表情を変えることもなく刃をいなし、ときに受け止め、ときに躱してやり過ごしていた。

 この速さは……いや、この技はタローには全くの無意味だったのだ。

 それを最初から分かっていたのか、ジードはやっぱりかと思ったのである。


 ……いや、これも違うな。

 正確には正解ともとれるが、ジードが思ったのはもっと大まかで、根本的な問題だ。


 それを思ったのはいつからだろう――


 いや、理解している――


 きっと最初からだ――


 タローと相対したそのときから――



(そう、わかっていたよ――)


 百戦錬磨の魔王。

 強者になればなるほどわかる、相手との実力差。

 もしもジードが弱者であれば、幾分かは幸せであったかもしれない。


 強者ゆえに――感じてしまったのだ。



(ボクでは――彼に勝てない)

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