表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話  作者: 紅赤
第4章・魔剣争奪戦編
45/198

第43話 もう一つの戦い

 タローとアキラの戦いが始まる少し前、タマコは一人中回復薬の原料の一つである"ナニカシラキキ草"を探していた。

 何かしらに効きそうな名前だが、本当にこれが中回復薬の原料なのか心配になる。

 ちなみに回復薬には


 小回復薬(ポーション・S)

 中回復薬(ポーション・M)

 大回復薬(ポーション・L)

 完全回復薬(フル・ポーション)


 この4種類が存在する。

 小は軽傷に、大が重症に、中は小と大の間の傷に、完全回復薬は死にかけに使うというようなイメージで大丈夫だ。

 基本的にケガをしないタマコたちには無縁ともいえるが、他の冒険者には必要不可欠だ。

 必要ないのはタローくらいである。

 で、その回復薬の材料はというと……


「――あー……しっかし見つからないのぉ……枯れたのか?」


 草をかき分け探しているが、一向にお目当ての物は見つからなかった。

 別段珍しくもない"ナニカシラキキ草"ではあるが、今日に限って何故かその姿は見られない。

 この場所では毎年大量に生えているというのに、なにがあったのだろうか。

 タマコが懸命に探す中、突然大きな音が森に響いた。


「……タロー?」


 耳のいいタマコはすぐに音の出所を特定する。

 先ほどの爆音は岩を砕いたような音。そして、この場所に岩のある場所は川辺くらい。

 タローはむやみやたらに物を破壊することは無い。

 つまり、誰かが攻撃をしたことになる。


「平和じゃないのぉ……」


 嘆息するタマコだったが、特に心配はしていなかった。

 タローのことである。何とかするだろう。

 そう思い、捜索を再開する。

 だが、そうは問屋が卸さない。

 タマコに話しかける者が現れた。


「ヒッヒッヒ……久しぶりだなマリア……」


 振り返る前に正体を察する。

 魔王になって数年たった時に出会った、もう一人の魔王の声。

 気色悪い笑い声。

 そして、嫌な思い出が掘り起こされる。


「……魔王クロスか?」


 恐る恐る振り返る。

 できれば人違いであってほしい。


「ヒッヒッヒ……吾輩だ」


 吾輩だった。

 とても嫌な気持ちになる。


「ヒッヒッヒ……いい加減に吾輩を見ると嫌な顔するのやめろ。吾輩の心がガラスだったらとっくに砕けとるぞ?」


(砕けりゃいいのに……)


「ヒッヒッヒ……本当に思うんじゃない」


 クロスは少し残念そうな顔をしながらタマコを睨む。


「で、何の用じゃ?」


「ヒッヒッヒ……もうわかっているだろう?」


 その一言に、タマコは押し黙る。

 確かに一つだけ思い当たる節はある。

 だからこそ、タマコはそれに触れたくなかった。


「……何度も言ったじゃろう。私はお前に付き合う気はない!」


 語気を強くして拒否の意思を示すが、全く意に介さずクロスはただ不気味に笑った。


「ヒッヒッヒ……ならば仕方ない――」


 クロスは魔方陣から一振りの剣を取り出した。

 タマコはそれを見て目を細めた。

 かつて自分が持っていた()()にそっくりの威圧感。


「……強欲の魔剣(マモン)、か」


 魔王だけが持つことを許された"魔王の証"。

 世界に7振り存在する魔剣の一本。


強欲の魔剣(マモン)

 サーベル型の魔剣で、所有者の"強欲"の感情を喰らう。


「マリア、力尽くで貰っていくぞ!」


 クロスはタマコに切りかかる。

 タマコも魔方陣から刀を取り出す。

 サーベルと刀が激しい鍔迫り合いを繰り広げるが、分が悪いのはタマコであった。


「ヒッヒッヒ……聞いたぞマリア。怠惰の魔剣(ベルフェゴール)を人間に渡したらしいな?」


 クロスは余裕の態度で口を開くが、マリアには答える余裕はなかった。

 タマコが使っているのは黒弦刀(こくげんとう)と言うれっきとした名刀である。

 しかし、名刀程度では魔剣の強さには遠く及ばない。

 魔剣の放つ強力な威圧感は並みの名刀を凌ぐ。


「人間に魔剣はもったいない……吾輩がもらってくれよう!」


 魔剣の魔力を高めるクロス。

 押し切られかけるタマコだったが、刀の弦を指ではじいた。


振音(バイブレーション)!」


 音の振動で刃の切れ味を上げる。

 だがこれだけではない。


斬音(スラッシュ)!」


 刃から音の斬撃が飛ぶ。

 クロスはそれを察知して後ろに後退した。

 二柱の魔王に距離が生まれる。

 後退したクロスは大した傷も負ってはいない。

 しかし、タマコは少し息を乱した。


(さすがは魔剣、か……出力が違いすぎるのぉ……)


 正直言って魔王としての実力はタマコが勝っている。

 素の実力なら押し切れる自信がタマコにはあった。

 ただ一つ。魔剣という一つの要因がそれを覆していた。

 そして強欲の魔剣(マモン)は、自分の音魔法と()()()()()()()


(一気に魔法で攻めるか……いや、ここは一旦――)


「一旦退く、か?」


「――ッ!」


 タマコは自分の考えが読まれていることに不快感を覚える。

 だがそんなことを気にしている場合ではない。

 自身の音魔法の最大の利点は、()()()()()()()ということだ。

 見えない音の攻撃を防ぐのは不可能に近い。

 タローですら音魔法を躱すことはできなかった。

 しかし、それを可能にするのがクロスの魔剣である。


「わかる。わかるぞ……お前の考えがわかるぞぉぉ……」


 魔剣を手元で回しながらタマコに視線を送る。

 タマコはまた、それを不愉快に感じる。


 強欲の魔剣(マモン)


 その能力の名は"真相心理(ザ・リアル)"

 相手の思考を読むことができる能力である。


(ここは音撃(サウンド)で――)


「ヒッヒッヒ……音撃(サウンド)でも撃つか?」


「……ッ!」


 厄介な相手に当たったと、タマコは眉間にしわを寄せた。




 魔王:ハンター=クロス=トパーズ

 武器:強欲の魔剣(マモン)

 魔法:???


 ステータス

 攻撃力:6479

 防御力:5001

 速度 :3082

 魔力 :5182

 知力 :1903

ちなみに"真相心理"と書いてありますが、あくまで小説の中でのスキルの名前です。


正しくは"深層心理"と書きます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ