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バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話  作者: 紅赤
第2章・使い魔編
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第18話 冒険者なのに武器ねーじゃん

 タローたちはキング・オーガを討伐した森にいた。

 今回訪れた目的はゴブリン退治である。

 その数なんと400匹。

 森の頂点であったキング・オーガの主食は他のモンスターだ。

 そして弱いがすぐ繁殖するゴブリンは恰好の餌であった。

 しかし、頂点を失ったことによりゴブリンの繁殖が爆発してしまったらしい。

 危険だからと処理しまくった結果、森の秩序を乱すとは人間も愚かである。

 まあそんなのタローは知ったこっちゃないのだが。

 で、現在そのゴブリンを退治しているのだが――


音撃演奏(サウザンド・サウンド)!」


 その圧倒的な火力でゴブリンを一掃するのはタローの使い魔。

 魔王――もといマリア――もといタマコである。

 なぜタマコと呼ばれるに至ったかは幕間を読んでほしい。

 タマコの活躍でゴブリンたちの死骸が積みあがっていく。

 で、タマコのご主人はと言うと、


「がんばれ~」

「いいぞ~」

「そこでとどめをさせ!」


 遠くの草葉の陰から応援していた。

 そう、応援しているだけである。

 なぜこんなことになったのか、それは数日前に遡る。


 ・・・・・・・



 ・・・・・



 ・・・



 ギルドに帰って来た日。

 一応ということでタマコのステータスを計測した。



 攻撃力:7426

 防御力:4421

 速度 :8037

 魔力 :4056

 知力 :7003



 タマコのステータスは圧倒的であった。

 ドラムスも口をあんぐり開けて「ほ、本物の魔王だ……」と改めてタマコがバケモノだと認識した。

 さすが300年間魔王の地位を守り抜いただけある。

 この世のモンスターたちの頂点である魔王。

 人間で討伐ができるとしたら勇者しかいないかもしれない。

 タマコはこの結果に、


『当然じゃな♪』


 と胸を張った。

 そんなとき、自分の時は全く興味を示さなかったタローが珍しく今回はステータスを凝視していた。


『…………ふむ』


 顎に手をやり何か考える。

 だがどうせ碌な事じゃないことはドラムスもタマコもわかっていた。

 なぜならタローの知力は100なのだから。

 ちなみにタマコはドラムスからタローのステータスを見せてもらっていった。


『……なんじゃコイツの知力は。そこらへんのモンスターのほうがまだあるじゃろ』


 と、目をひくつかせていた。

 そんなタローが考えることである。

 絶対に碌なことではない。

 考え終わったのかステータス計測の水晶を机に置いた。


『こんなに強いなら俺が戦う必要ないよな』


『『…………』』



 ・・・




 ・・・・・




 ・・・・・・・



 というわけでタローは全ての戦闘をタマコに任せた。

 だが、もともとタローは自分の仕事を楽するために使い魔を探していたわけなので、その用途としては間違っていない。

 間違っていないが戦わされているタマコとしてはちょっとムカつくのであった。

 不満に思いながら、タマコは数分でゴブリンの殲滅を完了させた。




 ***




「タロー、マジで戦わない気なのか?」


「うん」


「即答するな。そしてどうせなら戦うと言ってほしかった!」


 ドラムスはギルド長室へタローを呼びつけた。

 いつものように受付嬢がタローへジュースを持ってくる。

 受付嬢は笑顔で飲み物をもって入室してきたが、タローの横にいる女性(タマコ)を見ると「ガーン!」と衝撃を受け、テーブルにジュースを置いてそそくさと退出していった。

 扉の外から「タローくんにあんな美人な彼女が……」と涙をすする音が聞こえたが黙っておいた。

 話を本題に戻してタローに向き直る。


「お前が楽するために使い魔と契約したのは知っているが、これはあんまりじゃないか?」


「なんで?」


 まるで理解していないタローにドラムスはため息をついた。


「俺が楽だと言ったのは使い魔に戦闘を全て任せるんじゃなくて、戦闘のサポートのことを言っていたんだ」


「さぽーと?」


「あくまでも戦うのは冒険者。使い魔はあくまでも補助だ」


「いいじゃん。そっちのほうが楽なんだし」


「いや、これは大事なことだ!」


 ドラムスが真剣に話をしていると、「そうじゃぞ主殿」とタマコが口をはさんだ。


「従魔契約は冒険者とモンスターの絆で成り立っておる。使い魔ばかりに戦わせていると使い魔が不満を持ってしまうぞ」


「持つとどうなるの?」


「契約破棄。最悪モンスターが契約者を殺す」


「うへぇ……ヤバいじゃん」


 さすがにタローにもその危険度が伝わったようだ。


「今はまだ最初だからいいが、私の気が変わってもしらぬぞ?」


「うぅむ……わかった」


 しぶしぶタローは自分も働くことを了承した。

 ホントにしぶしぶだったけど。

 だが、ここで一つ問題が生じた。


「つーか俺武器持ってないんだけど」


「武器って……お前さんの<キング・オーガの棍棒>はどうした?」


「壊された」


「壊された!? あれはAランク装備だぞ! いったい誰が」


「私だ」


「あっ、納得しました」


 モンスタードロップの中でもレア度の高い<キング・オーガの棍棒>。その攻撃力もさることながら耐久性にも定評がある。

 そんなものを破壊したことは驚きだが、魔王がやったと聴けば納得するしかない。


「武器屋でも紹介しようか?」


「俺剣なんて振ったこともねーぞ」


「だったら訓練するか?」


「絶対ヤダ」


「だろうな」


 うーんと頭を悩ませるドラムス。

 渦中のタローはというと、このまま武器なしという理由を貫けば働かなくていいのではと考えが浮かんでいた。

 頭を悩ませる二人だったが、その沈黙を破る声が一つ。


「武器を壊したのは私だ。なんとかしよう」


 タマコは魔方陣を出現させたあと、一振りの剣を取り出した。

 その剣はタローと戦った時に最初に使った禍々しいオーラを纏った剣。


 それを見た瞬間ドラムスは全身に寒気が走った。


「な、なんだこれ!? 見てるだけで動悸が激しくなる!」


 何もしていないのに額に汗が浮かぶ。

 間違いなく人間が扱える代物ではない。


「これは魔王の証の一つ、<怠惰の魔剣・ベルフェゴール>じゃ」


「ま、魔剣んッッ!?」


 部屋にドラムスの声が響いた。

 驚くドラムスをよそにタローは困った表情となる。


「だから剣なんて振るったことないって……」


「大丈夫じゃ。ちと見ておれ」


 そう言うとタマコは魔剣を構える。

 すると、魔剣が剣から棍棒へと姿を変えた。


「怠惰の魔剣の能力は"形状変化"。持ち主のイメージ通りに形を変えられるのじゃよ」


 説明するとタマコはタローに魔剣を渡す。


「へぇ。いいなコレ!」


 タローは魔剣を機嫌よく受け取った。


 だが、まさかこの魔剣が後に起こす騒動に、タローたちが巻き込まれることなど思いもしていなかった。


あ、アイデアが出ねぇ……

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