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バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話  作者: 紅赤
第4章・魔剣争奪戦編
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第99話 満腹少女

やっぱり転スラは面白い。

こんなスゴイ作品になるように、僕も頑張ろうと思う。

 無慈悲なる暴食が振り翳されようとした。

 少女が自身の勝利を噛みしめ、ニヤリと笑った時だった。

 突如として、口の中に鉄の味が広がったのだ。


「……な、に……?」


 口ではそういうものの、答えは出ていた。

 かつて母に歯向かい、頬を力強くぶたれたときに、良く感じていた味。


 ――"血"の味である


「――がふッ!」


 口の中を埋め尽くすように溢れた血液に、アリスは思わず吐き出した。

 一度や二度では収まらず、それは三度、四度と吐き出したのだった。


(……なに? なにがおこったの?)


 その異常事態に混乱しつつも、アリスは原因を考えた。

 すると、手に持っていた()()が、見たことも無いほど胎動していたのだ。


「……暴食の魔剣(ベルゼブブ)!?」


 ドックン!……ドックン!……


 辺りに鳴り響く鼓動。

 これほど音を立てているところは見たことが無い。

 だが、その原因はタローの一言で判明することとなる。


「やっと、腹いっぱいになったみたいだな」


 肩の力を抜き、安心したように口にした。

 アリスはその一言から、かつての所有者であるアンブレラの言葉を思い出した。

 それは、初めて渡されたときに注意されたこと。


暴食の魔剣(ベルゼブブ)は、所有者の"食欲"を好む魔剣。だから所有者が()()になると制御が利かなくなるのよ』


 アンブレラの言葉を思い出すと、アリスはドっと汗が噴き出た。

 かつては『満腹』というものに縁遠いと対して気にもしなかったが、今回ばかりは心当たりがある。

 何を隠そうスキル:食欲旺盛(イーター)だ。

 このスキルの能力は触れた相手のステータスを食べることで、ステータスを低下させるというもの。

 そして今重要な点は、『ステータスを()()()()()()()()()()、ステータスを()()()』ということである。

 このスキルは、アリスの食欲と直結しているのである。

 つまり、このスキルの許容量(ストレージ)はアリスの食欲次第であり、満腹になることでスキルは使用不可となるのだ。

 さらに暴食の魔剣(ベルゼブブ)の存在も重なっていた。

 アンブレラが言ったように暴食の魔剣(ベルゼブブ)は所有者の"食欲"を喰らい力を発揮する魔剣。

 ゆえに暴食の魔剣(ベルゼブブ)を振るう度に、アリスの食欲は徐々に失われていたのである。


 アリスはこの戦いで初めて"スキル"と"魔剣"を同時に使用した。

 魔剣により食欲は失われ、スキルにより胃袋も満腹となり食欲は徐々に薄らいでいく。

 その結果、普段の倍以上のスピードで食欲は摩耗し、超過剰摂取(オーバーヒート)を起こしたのだ。


「……そんな、ありえない」


 初めての感覚に呆然とするアリスに、タローが言葉を続ける。


「言っただろ――『お前のちっぽけな食欲を超える、ヤベェ怠け者がいる』ってな」


 その言葉を口にしたとき、勝負は決した。

 アリスの食べたステータスは、食べすぎにより吐き戻される形でタローへ返還されていく。

 膨大な量ゆえすぐにとはいかないが、今も徐々に徐々にとステータスは戻っていった。

 一方アリスは苦しみに藻掻きながら地に倒れ伏している。

 スキルの影響により体力は消耗し、もはや動ける状態ではない。

 これから回復していくタローと、もう動けないアリス。

 形成は完全に逆転したのであった。


(……そんな……アリスがまけるなんて……)


 これまで食べられなかった分、たくさん食べるために冒険者になった。

 その思惑通り、少女はたくさんのモンスターを狩り、たくさんの味を知った。

 甘未、旨味、辛味、苦み……いろいろな味を知ることができた。


 それだというのに、満腹になることで敗北を喫するとは、なんという悲劇。

 いや、もはやそれは喜劇とも言えるかもしれない。

 実に皮肉、実に愉快。

 何とも言えない思いに、アリスはただ空を見上げたのだった。

「続きが読みたい!」

「面白かった!」

「これからも頑張ってほしい!」

等々、

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