表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の賜物  作者: 藤沢凪
1/42

異形の賜物1


 十六歳になる誕生日に、告白をしようと決めていた。


 相手は同じクラスの、出会ってまだ半年も経っていない同級生だった。何故、私は彼の事を好きになったのだろう?


 例えば、友達と喋っている時の声。例えば、その時に見せる笑顔。


 例えば、黒板に書く端麗な文字。例えば、お弁当を食べる時の綺麗な所作。


 例えば、放課後よく教室に残って、一人で寂しそうに窓の外を眺める姿。


 でも多分、理由なんてものは、何故か誰よりも彼の事が気になってしまった。それだけだ。


 気付くと、彼を視線の中に映している自分がいて、特定の人を、好意を持ち見ていると、その全てが良く思えてくる。だから理由といえば、はじめに気になってしまった、彼の持つその雰囲気が好きだったのだろう。


 そして、何故彼は私を受け入れてくれたのか? 彼が、あの時何を考え、何の為に私を受け入れてくれたのかなんて、私には分かる筈が無かった。でも、一つだけ思い浮かべられる事があるとすれば、私が、誰よりも早く、彼に告白をしたからなのかもしれない。そうで無ければ、会話を交わした事も、何かお互いを意識し合う様な出来事も無かった私を、受け入れる理由なんて無かった。


 それは、ただの私の想像でしか無いのだけれど、その後の彼との日々を振り返ると、きっと、私である必要は無かった。誰でも良かったんじゃないかと思ってしまう。


 ただ、意中の相手に想いを伝えるという、思春期にはよくある、告白というものをしてしまったせいで、私は、十八歳の誕生日を迎える前に、この人生を諦めてしまった。


 九月五日の誕生日に、彼に告白をした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ