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Mundus non re agnoscis ≫—僕達の異世界青春—≪  作者: ヒカワリュー
冒険の躍動《ディオ》
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第24話 「異世界冒険者仲間ができる」―――③


 襲来せし轟雷。

 それは覇王の(かいな)に抱かれる情景を彷彿とさせる、悪魔的抱擁であった。

 四つに枝分かれした雷撃が、周辺の空気さえ焦がし尽くしてヴィルに迫る。

 

 ヴィルは効率化した思考の中で『電気って横にも飛べるんだ~』なんて吞気なことを考えていた。

 “神学”の授業で能力に頼らない不可思議なエネルギーである『()()』について習いはしたが、かなり昔の事のような気がするので、もうほとんど覚えてはいなかった。

 けれど、断片的に覚えているからこそ、“魔法”というものが、さらに不思議に思えて仕方がなかった。

 なぜこんな不思議な芸当が出来るのか、なぜ体力を使う異能力とは違って()()という意味不明な概念エネルギーを消費するのか、なぜ“詩”を唱える必要があるのか。等々。


 ヴィルは俄然(がぜん)、魔法を知りたいと強く感じるようになった。

 先ほどまでは『別に負けてもいいかな』なんて甘い考えもあったのだ。

 “躾け”ということを考えた時に、あえてシャルカを挑発するようにして彼女の怒りを買い、本気を出させ、それでもなお上回ることで挫折感を覚えさせ、()()()を与えようとした。

 そして最後にはやられてやることで、完全に心が折れる前に試合を終わらせ、彼女の面子を保つことまで考えていた。


 途中、楽しくなって試合が長引いてしまったが、丁度いい頃にキメの魔法を放ってくれたので、これで終わらせようと―――そう、考えていた。

 しかし、どうにもしこりが残ったようにスッキリしない。

 

 その時、触れていないだけであってすぐ目の前に巨大な雷があるというのに、回る思考の中で、ヴィルは“声”を聴いた。いや聞いた気がした。


『ヴィル、我慢しなくていいんだよ』


 ヴィルはただ、「ふふっ」と笑ったのだった。



 轟音。

 

 ヴィルがつい数秒前までいた場所は地面ごと抉られて、煙を上げ、尋常ならざる攻撃が起こったのだと、それを見れば誰もが理解する悲惨な光景を作り上げていた。

 煙の中心地では未だ火花が飛んでおり、瓦解した舞台の石版が崩れ落ちている。


「ふぅ……ママ、すぐに治療スキルか魔法の使える人を呼んできて―――」


―――スティフュは動かない。

 彼女は知っているからだ。

 己はこの場に居てもいなくてもそれほど困る人物ではないと分かっているからだ。

 そして、危機が迫るときに自分が助けに行くことも必要ない。

 最初に宣言した中止の条件は挑発者(ヴィル)ではなく、高慢者(じぶんのむすめ)を命がけで守るという宣言であったからだ。


 あぁ、スティフュは知っている。

 己のステータスの約十倍以上の力を持った人物が()()()()の攻撃で倒れるはずがない。

 もし偽証していたならそこまでの話だが、称号戴冠者(クラウン)モンスターと一対一で互角に戦っていた光景を間近で見ていたスティフュには、あのステータスカードが偽装されていただなんて考えることができない。


 そして最後に。

 スティフュは分かっている。

 この試合の結果がどうなるのか。

 (しんぱん)なんて最初から要らなかった、なぜなら―――


「―――魔法ってすげぇ……」


 田舎者まるだしの魔法を知らない少年の声。

 

「そうですねー不思議ですよね」


 己の母親の声。


「あ、終わりました?」


 少年―――ヴィルはスティフュの隣で、魔力を使い果たし息切れたシャルカを傍観していた。


「な、なんで……」


「まぁ、そりゃあの速度なら見切れない事も回避できない事もないですし」

「スティフュさんともお話してたらいつの間にか過ぎて行った感じですかね」


「はぁ!?」


「いやぁすみません。 途中からどうやって戦おうかな~って考えてたらスティフュさんがいるじゃんって気が付いて、戦闘中に動いては会話してました」


「い、いや何時(いつ)よ!?」


「いつって、まぁ霧が出たタイミングではもう僕はその場にはいないですね」

「もし僕が見えていたなら、それは残像だ、ってやつです、はい」


「う、うそよ……」


 落胆するシャルカ()を見るスティフュ()

 実をいうとスティフュも試合の途中で話しかけられたときは大層驚いた。

 しかし、それと同時に安心もしたのだ。

 こんな余裕を持たれている時点で勝敗は決まっているのだな、と。


 だから、ヴィルにお願いをしてあれこれ戦っている最中に口出ししてもらったのだ。

 自信過剰気味な娘がこれ以上暴走しないための教育、そのいい機会だと思って。


「ではヴィルトス様、勝負を決めてください」


「了解です」


―――シャルカはとんでもない現象を目にした。


 (まばた)き一回分前には、ヴィルはスティフュの隣に立っていた。

 つぎに目を開けた瞬間には彼の手が自分の右手を握っていた。


「ちょっと置いてくださいね、危ないんで」


 生徒会での仕事モードに入ったヴィルはいたって丁寧な口調で仕事をこなす。

 仰天するシャルカの意識など過去に取り残して、現在をただひたすら濃厚に走るヴィルは、この世界で誰よりも早く動いた。

 武器を握るシャルカの手を一本一本丁寧にハンカチを介して開かせて、振りまわしていた中剣をシャルカの肩に携えた鞘に納める。


 あとはどうした物かとあごに手を当てて思案して、あれこれ具体案を出してみる。

 このまま転ばして抑え込むでもいいし、場外まで吹き飛ばすでもいい、羽交い絞めにして拘束でもいいかもしれない。

 しかし、気づいた。

 

 あれ、それってセクハラじゃない?

 

 ゼノンテルアでの現代的思想教育を受けているヴィルにとって、ただでさえ冒険者の軽装を直視することは難しいのに、それに触れることがどれだけ困難なことか。

 そしてヴィルは臆病でチキンだ。

 ついでにヘタレだ。


 セクハラという便利な言葉を使って、自分が女性の体に触る事が出来ないのを隠そうとする。

 

 いろいろ考えた挙句。

 

「アシミー、なんかクッションか何かを彼女の後ろに出してくれないか? 頼む」


 世界の動作が遅くなったとヴィルだけが感じる世界で、高速に動き、観客席で寝ていたアシミーの元に向かって言った。

 

「えぇ……めんどくさいな」


「頼む! 今日一日おんぶして運んでやるから!」


「おんぶ、かぁ……ベッドごと運んでくれるならいいよ」


「それでもいい!」


「はいはい~」


 なんとかアシミーの説得に成功したヴィルはシャルカの傍に戻り、未だ“驚き”を浮かべる段階に至っていない彼女に「ごめんさない」といって優しく押した。

 当然、押されれば倒れるシャルカ。

 けれど、彼女が押されたのに気付くのは倒れた後の話だ。


 彼女の眼はもちろんヴィルがいろいろな行動をとっていることを見ているが、その情報たちは未だ目のあたりに留まっている。

 流れが遅すぎるのだ。

 ヴィルと比べて、だが。



―――世界がどれほどの時間がたったかなんて数えちゃいない。

 でも、そうだな。

 シャルカの閉じた(まぶた)が再び開いた時には、すでにシャルカは()()()に押し倒されていた、とだけ言っておこう。

 


「あ、あれ、あれれ……あの、す、す、す」

「すみませぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇんんんんん!!!!!」


 大絶叫して謝罪する。


 ヴィルはまたしても失念していた。

 アシミー、彼女がまともな協力をしてくれるはずがないことを。


 ()()()()()と言っていたはずなのに、明らかにいかがわしい店のいかがわしい大きいサイズのいかがわしいベッドが舞台の上に置かれ。

 その上にシャルカは寝転んだ状態で、ヴィルは押したときの手の状態、つまり両手を前に出している状態で、どこからどう見ても今から()()()()()()をします。といった雰囲気だった。


 しかし、やはりヴィルはそんな気はさらさら無くて。

 ただ単に押し倒して転ばせて「僕の勝ちです」的なことで締めようと思っていたのだ。

 転んだ時に危なくないようにアシミーにクッションを出してもらって……。


 ただ、このアシミーに頼んだのがヴィルの落ち度だ。

 実際にこうやって大変な事態に陥っているのだから。


「ッ―――!!!」


 シャルカは赤面する。

 この訳の分からない状況に理解が及ばないのもそうだが、何よりふかふかのピンクのベッドに自分が押し倒されている状況が、たまらなく顔を沸騰させた。


 急に接近されて反撃しようと気が付いた時にはこうなっていたのだ。

 相手の真の実力を見せつけられて恐れを抱く感情、敵わなかったという屈辱、そして今から自分は()()()()()()()という恥辱。


 冒険者としての生涯を歩んできたシャルカにとって、敵に屈服させられてベッドに押し倒される経験なんてない。

 というか普通の人物だってない。

 そんな稀な事態に直面してどういった行動をとればいいのか全く分からない。


 そして、どうしていいのかわからないのは何もシャルカだけでない。

 心の中で『おのれアシミィィィィィィ!!!!!』と怨嗟の嘆きを続け、ただただ混乱するのはヴィルである。


 基礎知識として、生徒会男子で女性に対しての免疫がないのはヴィルだけである。

 女性と絡んだ経験がないヴィルは偏った知識ですぐに知った風な気持ちになり勘違いをする。

 ただ、こんな状況今の今までなかった。

 知った風になるのも限界だったのだ。


 なまじ能力を発動しているからこそ、回り過ぎてしまう思考。

 混乱に混乱を重ね、頭の中の情報をひっくり返し続けて、混ぜてかき分けて返してぐちゃぐちゃになった後。

 最後に出てきたのは―――


『―――亜人の年齢は真っ先に聞こう―――』


「―――あの、ご年齢は……?」


 ぐちゃぐちゃに混乱した思考のなかで思いついた言葉を発す。

 

「……え? じゅ、17歳……」


 またまた混乱しているシャルカも馬鹿正直に、外部から唯一入ってきた情報に対して返した。

 

『―――17歳、この世界での成人は15歳―――』


 回り過ぎる思考が連想ゲーム的に、認識した情報から次の情報を掘り当てる。

 それがいけなかった。


「お、同い年なんですね……あ、じゃあ、もう―――()()ですね」


 ……時に、パニックとは信じられないような心理を生み出す。

 それは対面する互いが、同じくらい混乱していたならなおさらである。

 

 ヴィルはこの言い訳不可の状況を何とか誤魔化そうと、そして落ち着かせようと会話を試みた。

 それはシャルカも少なからず同じだ。

 混乱した状況に少しでも平常心を保とうと“会話”が行われた。


 しかし、パニック状態での会話ほど危険なものはなく、何ら脈絡のない意味不明な言葉が出てしまったりもする。

 今回の場合で言うと、ヴィルは会話をするために自分が持ちうる知識の中で言葉を生み出した。

 それが、何ともいけなかった。

 言葉のチョイスが悪すぎた。


【大人】


 というワードに平生ならば過剰反応することなんぞありはしないが、こと今の状況なら意味合いは変わってくる。


―――つまりはまぁ……()()()()()()だ。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」


 悲鳴。

 先ほどまでの豪快な冒険者としての、上位冒険者としての威厳など捨て置いて、純粋な乙女の悲鳴を上げるシャルカ。

 

 そして逃走。


「負けでいいから! もう負けでいいから! こっちに来ないでぇぇぇぇぇ!!!!」


 ヴィルとの戦闘時においての何千倍もの速度で、ピンクのベッドから立ち上がり逃げ出すシャルカ。

 この時ばかりは、あのヴィルでもシャルカの動きを補足することすらできなかったという。


 一人訓練場の上で取り残されたヴィルはカチカチに固まった首をグググと曲げて振り返り、スティフュの顔を窺った。

 正直、見たくなかった。


「ニコニコ」なんて擬音が付きそうな笑顔の割に、全く笑っていないスティフュの顔。

 躾けってそういう意味ではないですよーなんていう冷淡な意味合いの籠った笑顔に見えた。


 ヴィルは顔を手で覆い、ただ。


「違うんです…………」


 水が、目元からこぼれたような気がした。



。。。。



「あ、あの……」


 スティフュの後ろの隠れて、顔だけを出した状態でこちらをギロリと凝視するシャルカに、ヴィルは声を掛けようと奮闘する。

 しかし、


「ふんっ」


 素っ気ない態度で一蹴されてしまった。


「アシミぃぃぃ……どうしてくれるんだよ。印象最悪じゃないか……!」


 試合はヴィルの勝利ということで幕を下ろし、事後処理という形で関係者たちがギルド客室にて対面しているこの状況。

 ヴィルは隣に座るアシミーに耳打ちで叱った。


「あたしクッションを出してとしか言われてないもん~。ベッドだってクッションと同じだよ~」


「ぐぬぬぬ、このやろぉぉぉぉぉぉ……!」


 右こぶしに力を込めて、はらわたが煮えくり返って仕方がないヴィル。

 別に、シャルカから魔法を教わる訳ではないから、シャルカからどう思われようが全く関係がないのだが、小心者―――敢えて言うならば根が優しいヴィルは、自分から嫌われておくことがどうしても耐えられなかった。

 ゆえに、この誤解をどう解くのか。

 そしてこの誤解を生んだ張本人をどういたぶってやろうか考えているのだった。


「……アシミー、頼むから誤解を解いてくれ、僕が言ったところで聞いてくれそうにない」


 ため息をついて、ヴィルは今回も自分が折れることにした。

 

「しょうがないな~」


 ヴィルにしか分からないように、悪辣な笑みを浮かべた最低アイドルアシミーは、微妙な空気が蔓延したこの部屋の雰囲気を割って入る。


シャルカ(シャル)ちゃん! ヴィルはこんな顔をしてるからよく性犯罪者や、強盗に間違われるけど、本当は臆病でチキンでヘタレな、どうしようもない男の子なんだよ!」


 これくらいの罵詈雑言なんて聞き飽きているヴィルは、むしろ自慢げにアシミーの言うことに「うんうん」と頷いた。


「だからね、シャルちゃんを襲おうなんて気持ちを持てるはずがないし、襲おうと実行できるはずもないの!」

「つまりこれは事故なの!」


 アシミーにしてはちゃんと説明してくれてる……とアシミーに対しての認識がバグっているヴィルは、感嘆さえ覚えてしまう。


「まぁヴィルは大きい胸の子が居たら見てないふりして、キョロキョロ視線を動かすけど、実はほとんどガン見状態だったり……」


―――あれ、アシミーさん?


「街中で女性の下着屋さんがあったら、違う店を見ているふりして実は目線が釘付けだったり」


―――あれれ、ちょっと? ねぇちょっと?


「休み時間に『女の子は胸じゃなくて“心”だよ』とかなんとか言ってカッコつけてる割には、女の子と会話するときは大体胸の方を見て喋ってるし……」


―――ねぇ違うから! 見てないから! ねぇ! 僕身長が高い方だから見下ろす形になってるだけだから! 見ようと思ってないから!


「元の顔も女の子から結構引かれやすいのに、女の子を見ている時はちょっとにやけた顔になるから余計に気持ち悪いって言われてるのを知らずに、気づかれていないと思って女の子を眺めている時だってあるけど……」


―――そうなの!? 気づかれてたの!? てか僕にやけ顔キモいの!? 


「こんなヴィルだけど、あたしは嫌いになんてならないし、このさきもあたしが見守ってあげなくちゃならない」


―――あれれ? 僕がいつ見守ってもらいましたか? あなたのお守りをしてるのいつも僕ですよね? ねぇ!?


「だからシャルちゃん」

「シャルちゃんもスティちゃんがヴィルに魔法を教えることを止めないであげて」

「絶対下心はあると思うけど」


―――いや、それ説得しているつもりあります? 破滅の方向にしか向かっていないんですが。あれかな? アシミーは僕を社会的に抹殺したいのかな? ほら見てよ。シャルカさんが僕を見る目。

 道端の糞を見る目の方がまだ温かみがあるよ。



「シャルカ……スぺクラム様はこう仰っているけれど、私はヴィルトス様が野蛮な人だなって思わないわ」

「約束をしたのも私だし、こういう聞き方をするのもどうかとは思うけれど、許してくれる? また今度一緒に修練しましょ? だから今回は我慢。ね?」


 ギルド職員である前に一人の母親でスティフュは我儘横柄の娘をそう諭した。


 勝負に負けた以上、ルールを守らなければならないことをちゃんと理解しているシャルカは、母親の言葉に良い返事をしたい。

 しかし、やはりまだヴィル達―――いやヴィルに対して懐疑的な心情が抜けきらず、ルール違反であったとしても、母が自分から少しでも離れてしまうのが寂しかった。


「うん……でも」


 俯いた状態で、キリっとした目元がしんみりしたように下がって、後に言葉は続かなかったが、それでも反対の意志は十分に伝わった。

 

 ここまで来ると、今度は逆にヴィルが悲しくなってきた。

 なんだかとても悪いことをしてしまっているようで、切なかった。


 すると、


「……そうだ! シャルカ、あなたヴィルトス様のパーティーに入らせてもらいなさい」


「「ええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!??」」


 絶叫するのはシャルカだけでない、ヴィルもだ。

 

「ママ! なんでそうなるのよ!?」


「えぇーだって、ヴィルトス様は魔法の練習をしてみたくて、シャルカはもっと強くなりたい」

「利害が一致していると思わない?」

「ヴィルトス様は魔法をシャルカに教えてもらって、シャルカはヴィルトス様の動きを間近で見ることができるから学びになる」

「どうでしょう!」


(……いや、どうでしょうって言われても……まぁ僕は誰かに教えてもらえさえすればいいから、別にどちらでも構わないんだけど……)


 ヴィルは魔法が第一優先事項であるため、誰に教えてもらうかはあまり頓着していない。

 よってこの提案でもよかった。

 

 しかしシャルカはというと、「う~ん……ママのいう事だから……でもよりによってこいつ……変態らしいし……でも強いのは確かだし……うぅぅ」

 と頭を抱えて悩みこんでしまった。 

  

 少し時間が経って―――突然。


<バンッ!!!


 客室に置かれた長机を叩き、意を決したようにして言った。


「……【シャルカ・タビュー】よ。プラチナ級冒険者、鬱陶しいからいつも一人で冒険してる」

「四人でのパーティーなんて組んだことがないから、勝手なんて分からないけど、まぁ……頑張ってみるわ」

「これからよろしく……!」


 (いやマジのツンデレかよ!?)


 前髪をこねくり回すようにいじりながら、下を向き、恥じらって改めて自己紹介をしたシャルカに、ヴィルは心の中で盛大にツッコんだ。

 その昔ながらの古典的、いやむしろ芸術的とまで言っていい程の“ツンデレ”具合。

 

 本人は、色々を天秤にかけてどちらが自分にとって利があるのかを考えた上での、決断と発言だったのだろうけれど、先ほどとは打って変わった軟化した態度と、優しめな口調がどうにもツンデレ具合を強調する。

 

 若干、ヴィルはシャルカの軟化した態度に驚いたが、彼女の意志を笑うことも無下にすることもしたくないので、こちらも改まって手を差し出して握手の形をとる。


「こちらこそ、よろしく、シャルカさん」


 ヴィルなりの最大限の笑顔でそう答えた。

 まだまだ拙く、気持ち悪い不器用な笑みであったが、それを忌避するものも嘲笑うものもいない。

 彼の誠意は顔でなく態度で伝わったからだ。


 互いに手を取り合い、ここで新たなパーティーが生まれた。


「えぇっと……歳はさっきも言ったけど17で。す、す、す、スリーサイズは、上から―――」


「―――いや! ほんとに胸なんて見ていないから!!!!!! さっきの気にしなくていいから!!! それとスティフュさん!? どっから出したか分からないけどそのナイフ仕舞ってもらえますか!?」


 ヴィルの絶叫がギルド内に響くのであった。




 




―――「シャルカ・タビュー」―――【Lv43】

上級冒険者 ~~~【】~~~

≪ステータス≫

攻撃力:343  防御力:268  素早さ:869 器用さ:765


魔法力:500  抵抗力:299  行動性:45  能力性:軽装魔法戦士型


≪スキル≫

【看破の瞳】    【怪力】

【舞闘】      【酔い耐性】

【重剣撃】     【魔法耐性】

【踏み込み補正】  【素早さ向上】

【耐性強化】    【植物親和性微上昇】

【魔法補正】    【キノコ大好き】

【詠唱効率化】   

【魔力効率化】 

【魔法】  

深緑の森(まどいごもり)

底無沼(くちなし)

【パーフェクトムーブ】…………

―――――――――――――――――――



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