第41話 終章 「お姉様が望む自由とは」―――④
「え、な、何をしたの?」
「え、いや、ゴーレムを作っただけで……ダメだったか?」
「えぇぇぇーーー!!!????」
「そんなのできるわけないよ!だってコアがないんだから!?」
【チューピー三分クッキング】
今日の目標:ゴーレム
1:材料を用意します
2:核、触媒、人間でいう心臓及び脊椎の役目となるコアを用意します
3:設計系の能力者と動力系、さらに調整、各種の能力者を用意します。
4:一斉に能力を使ってゴーレムを作ります
5:あとはどんな能力者でもいいので、命令や調整、または調教などの能力でゴーレムを動かしましょう
。。。
この機械にはコアなどない。なぜなら能力を使わずに動くものを作るのにコアとなる触媒を使えばそれはもうゴーレムだからだ。
この第六技能室を守っている機械も一応は能力なしの純正なもの。しかしそれであるがゆえに高級ゴーレムと違い低級ゴーレムのように【排除】という簡単な命令しか出せない。
これが機械の限界。しかし。コアがなくても、ゴーレムじゃなくても、それを仮設の命として生み出すことのできる人物がただ一人だけ存在する。
タシウム・フォトただ一人だ。
つまりは作り出したのだ。ゴーレムではない。新たな生命を。
それに気づいた時、テラメアは駆け出していた。まだ少し濡れている髪を空に靡かせて走る。
そして抱き着いた。
「……」
「おい、何のつもりだ」
さっきまでのタッシーならやばかっただろう。
しかしもうさっきの記憶は編集済み。つまりは18禁から全年齢対象版まで下げられたのだ。
もう大丈夫。だからこそ、冷静に対処できた。
「ありがとう」
「あなたのおかげであたし、生きててよかったって思えた!」
まだ、新たな可能性を作り出したとは気づいていないタッシ―にとって、今の状況はなんかゴーレム作ったら急に女が抱き寄ってきてめちゃくちゃ恥ずかしいことを言われている、だ。
警戒心しか生まれない。しかし、そんなことも天才テラメアにはお見通し。すかさず必殺技を放つ。
タッシ―は高身長。テラメアは目線の下。
見下ろせば頭がある程度の身長差。そして、抱き着いてきたとき、それが勢いが良かったら?
テラメアが自分の最大の武器の使い方をよくわかっていたなら?テラメアがウルウルの目で上目遣いをしてきたら?
最後にもう一度、確認しなおそうテラメアの今の服装は?
……タッシ―はまだ15歳。これらが何を指し示すのか。
答えは簡単。18禁オーバーラン。ゴーテゥーポリスメン。
・・・
タッシ―は滝のような鼻血をだしながら、ヴィルの所に歩いていた。
隣では、とろけた顔で自分の腕をつかんでいる女を連れながら。
「……離せ」
「えー、いやーんダーリン」
「あたしとあなたの間じゃないー!」
「知らん」
「はなせ」
「えー喜んでるくせにー」
「比べたことないからわかんないけどあたし結構大きいと思うんだけどなー」
「押し当てるな!」
さっきからずっとこの調子だ。
生まれた次世代機械を自分たちの子供だと主張し。
自分のことを妻と呼称し、タッシ―を旦那と呼ぶ。いや、そうなるほど嬉しかったのだろう。タッシーに恩義を感じ、“恋”をしているのだろう。自分の努力がようやく一つ実を結んだことが、自身の研究に対するストイックさを忘れさせるほど高揚しているのだろう。
しかし、今のままではタッシ―が居なければ完成しない命。それでも作れることは分かったのだ。高級ゴーレムに匹敵する機械が。
さっき確認したがこちらの言葉での命令をいくつも聞こうと、そして実行しようとする意思があの機械からは感じれた。
神学でできることは能力でもできる。裏を返せば逆もまた然りということだ。
タッシ―の能力で、今までは先も見えなかった機械がゴーレムに並ぶことができると分かったのだ、ならば神学でこのレベルまで到達すればいい。
ようやく前が見えた。正解はちゃんとあったのだ。その希望が確かに見えた。
しかし、一番彼女を喜ばせたのはそれだけじゃない。
心に熱を新たに注いだタッシ―はテラメアにとって特別な存在へと昇華していた。
彼からかけられた言葉。それは全身への活力となる。
今のテラメアは燃えていた。やるきに満ちあふれていた。
そして。もっと言うならタシウムという存在にぞっこんだった。
もうわかるだろう。
小さい頃から引きこもり。
研究が行き詰っていた。
タッシーから格言。
新たな道しるべ。
タッシ―イケメン。(意外に良いやつ)
お風呂を覗かれたというイベント経験済み。
もうこんなに揃えば誰だって落ちるって。
方や生きがいを救われた恩人、方や「なんか喜んでるし胸めっちゃ当ててくる」と驚いて、自分はいつものゴーレムを作る作業をしただけなので全く凄さに気付かない男。かくして、このように彼ら二人はすれ違っていくのであった。
回想の回想終わり。
本編に戻る。
・・・
「それでー今日はどうして来たの―?」
「はっまさかあたしの愛に気付いてくれたの?」
「黙れ、愛がどうとかいう前に人間としての生活をしろ」
「それに、今日の用事はいつもと同じだ」
「貴様、何回注意されれば気が済むんだ」
「えぇー最近は良い感じに来てるからちょっと熱が入ってるだけなんだけどなー」
「ほろ見て!この子、私たちの子!」
テラメアがそういうと後ろの方から金属でできた人間のように、子供くらいの機械が現れる。
口を人間のように開いて、
『パパ―』
とタッシ―を呼ぶ。
「だれがパパだ!スクラップにしてやるぞゴーレム」
キレ症のパパ(笑)は怒鳴りながらこぶしを握る。
あぁーあこれじゃあそのうち家庭裁判所に訴えられるな。と隣でほくそ笑むヴィル。
「あぁひっどーい、最近は物についてある名前まで覚えれるようになったのに……成長したのにパパ褒めてくれないねぇー」
『ねぇー』
口ぶりをそろえて言う二人。
声も人間味があるせいか、それとも所々の人工皮膚によって人間のようにも見えるからか。そこには本当の親子がいるように見えた。
「しかもゴーレムだなんて、この子は由緒正しい機械ですー」
顔をぶーと文句あり!といった感じにゆがめるテラメア。
「変わらん、どちらも同じだ」
「も―全然違うのにぃ……」
「それで、そんなことはどうでもいいんだ」
「おとなしくするのか、しないのか」
「どっちにするんだ?もし、従わないならお前の研究成果とやらを記憶ごと全て消すからな」
「もぉーイケず―」
「かわいい妻のお願いだから、もう少し時間増やして―」
「おーねーがーい~!」
「どうやら本当に消されたいようだな?」
「覚悟はいいか?」
その時、テラメアの顔がきらりと光った。何かをたくらむ悪い顔だ。
「もう、わかったよ」
「こんなにお願いしてるのに……」
「そうだよね、こんな奥地で引きこもってる彼女より、学校にちゃんと行ってるかわいい子の方が良いよね」
「あたしに優しくないのはそういうことなんだ、きっと浮気してるんだね」
「裸の初めても見られたし、あたしの初めてもあげたのに……」
「あたしはかわいくないんだね、そうよね、きっと体だけなんだね」
「ダーリンおっぱい好きだもんね」
……すっげぇ色々な情報が入ってきた。え、まじ、タッシ―やることやっちゃてんの?
もしかして、女生徒からの告白断ってたの……そゆこと?あらやだータッシ―君も隅に置けないなー。
そんなことなら責任もって彼氏っぽくしなきゃー。僕知らずに“彼女”って煽ってだけど間違いじゃなかったんだね~。
ぷぷぷっ~いいこと聞いちゃったー。みんなにも言わないとなー。
そうだ、こんな時タッシ―がどんな顔してんのか見たろー。きっと面白い顔してるんだろうなー。あー見たろ。
ほい。
飛んできたのは拳骨でした。
「お、お前、いっつも分が悪くなったらそれ言いやがって……これで、な、何回目だ……!?」
「いい加減にしろ……!!」
頬を真っ赤に染めて片手で隠しつつ、もう片方の手でテラメアをビシッと指差し、恥ずかしさ五割、怒り五割といった半々で注意する。
「毎回ヴィルの記憶消すのも面倒なんだぞ……?%8
すこし分岐の話が長いですかね?
しかも途中で回想の回想が入ってわかりづらかったと思いますが,,,すみません。
ま、今回は。一応この作品は恋愛というもののジャンルも入れているので、そろそろこういうのもどうかなっと思って,,,僕こういう関係以外に好きだったりします。




