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Mundus non re agnoscis ≫—僕達の異世界青春—≪  作者: ヒカワリュー
共に作る楽園 共に歩む学園《キャンポス》
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第37話 「おふざけが生み出す新展開は」―――②


「もうだめだなーみんな」

 

 ニヤリとした笑みを顔に浮かべて、散っていった仲間たちの亡骸(なきがら)を見下ろすアシミ―。

 今、アシミ―は自前の能力を使って、雄弁(ゆうべん)に理想を語っていたチェビをノックダウンさせた。正直、今何が起こったのかは見ていなかった。

 

「こういうのはね賭けが大事なんだよー」


「賭けってなんだ?」


「はいはーい!このアシミ―ちゃんが説明してあげよう!」

「賭けというのは、ここで言うところの高度な心理戦のことなんだよね!緊迫した雰囲気、互いの呼吸が重なるような切羽詰まった状況、相手の一挙一動を窺い、武力的なバトルよりも手に汗握る緊張感が生まれ、互いの知性と知性がぶつかり合い、そこに新たな面白みが生まれるんだよ!」


「あーなるほど、で具体的に?」


「うーん第一回は謎のゲームの主催者から招待状が届くみたいな?」


「ほんほん、面白そうじゃん」


「主人公は圧倒的才覚から負けなしの存在で、どうやって勝つんだと思われていた強敵を次々を心理戦において打ち負かしていくんだよ!そして主人公の口癖は『このゲームには必勝法がある……』だ!」


「はいだめー!」


「そして主人公の名前は【フォール・マウンテン】さんだ!」


「もっとダメー!」


 この子はいったい何を言うとるんだ。

 テコ入れにおいてオマージュは常套手段。しかしパクリの領域まで来たらそれはもうバッシング対象(袋叩き)。それだけはダメだ!


「えーなんでよー」

「いい案じゃん~」


 ちなみに今のをアシミ―の本音風に解釈すると「もうこれでいいから、はよ終われや、な!?」である。


「ちょっとまったー!!!」


 無言で笑顔の圧力をかけるアシミ―に、逆転の一手をかける人物が。

 

「あ?ちょ、まてY……!」


 能力によってどこか彼方に飛ばされるアシミ―。送ったのは他でもない、スぺラだ。


「確かに!アシミ―(アーちゃん)の言いたいことも分かる」

「けどそんな展開なったら、うちも兄ちゃんもなんも活躍できんやん!」

「ヴィルとかなら暴言厨のかませとかならできるけど、うちらとかなんもできん!」


―――おい、今なんて言った。


「ここは、ハートフルなコメディでも―――」


「それができないから今会議してるんだろぉぉぉ!!!」


 僕は渾身のツッコミを込めてハリセンでスペラをたたく。

 若干いい音が鳴ったのはさっきの私怨も入ったからだろう。


「いいか!?コメディも駆け引きも!作者の実力じゃぁ不可能なんだよ!」

「だから今話してるの!」

「それに最初っからコメディは無理だろって言ってるでしょ!わかったらもう黙ってて!!」


「……う、うぅ」

「ヴィルのバカぁぁぁぁぁ!!」

「うちだって!うちだってぇぇぇぇーー!頑張って考えて、るの……あれ、考えてたっけ?」

「あれ……あれぇぇぇ、分らんくなってきた。……うん、なんか変な感じするから黙って見とく!」


―――お兄さんあなたのそういうすぐに冷静になるところ嫌いじゃないわ!いや違う、ここは感情的になった自分を(いまし)めるんだ。いくら今までみんなのツッコミへのはけ口が出来たからと言ってそれをぶつけちゃぁだめだ。

 よし。


「……あ、あぁまぁうんそうしておいてくれ、僕も少し言い方がきつかったよ、ごめん」


 互いが冷静になり着席する。

 

 今の今までを、閑静な佇まいで見守っていたラー。

 今動けるのは僕とスペラとラー、それと今までずっと沈黙でいたサブ。

 それ以外は全員ノックダウン状態、ないしこの場にいない。

 よくよく考えればこの場はかなりにカオス。よくもまぁこんなところで終始じっとしていられる。


 さっきまでの喧々囂々(けんけんごうごう)とした五月蠅(うるさ)さはしっぽを()いて逃げたようだ。生徒会室には静寂だけが蔓延して、微妙な空気が流れる。

 倒れている面々が起き上がるそぶりはない。

 そして、この好況を打破しようと最初に動いたのはサブだった。みんなの方をきょろきょろと窺いそろーと手をあげる。

 か細い声で「じゃ、じゃぁ」と前置きして。


「あの、屋上で家庭菜園とか始めませんか?」

「その、最近農家とか農民って職業が流行ど真ん中ってオム君が言ってて……」

「それに、ほのぼのさが出るかなーって、はは……すみません、いきなり変なこと言って忘れてください……」


 その言葉を聞いて、無言を守ってきたラーがとうとうそれを破った。

 少々低くなった声で「それは、女子が育てるのかい?」と聞く。


「え、あ、考えてなかった……当番制にするなら、そういう日があってもいいかなと思います、はい」


「―――なら駄目だ。()()()が出る」


「え、あ、え?……あれ」


 サブは素っ頓狂な声をあげる。

 てっきりラーからの完璧な指摘により却下されるものがと思っていたのに、訳の分からない理由で拒否されてしまったからだ。サブはどうしたらいいのか理解できずただオロオロとだけしている。

 そして思いついたように目を開いて、次の瞬間には「バタンっ」と眠るように自ら気絶してる風に倒れる。彼なりにこのセオリーを守ろうとしたんだろう。

 しかも誰もやってくれないからって自分から倒れに行くのはかなりポイントが高い。

 

 そして残ったのは3人。

 だけれども、スぺラは怒られたあとの子供のように、そして「私反省中!」と顔に書いてあるかのように黙っている。

 これで事実上二人。


 いや、しかしさっきからのラーの無言の意図が分からない。ここは僕から出るべきか、それとも、しかし―――


「―――ヴィル……みんなの意見を聞いていてわかったよ」


「え」

「そ、それでどう決めたんだ?」


「うん、それはね―――」



【次回予告】


『―――よう!俺は普通の高校生だけど、世界に名を轟かせる【最強無敵無双(ドラゴニックマスター)】!今日も今日とて無謀にも俺に挑んできた【神】とか【魔人】とかをぶっ倒しては全員俺の嫁にしてやったぜ!毎日キスをねだってくる女の子たちにはやれやれだぜ……。そんな俺にも敵わないやつが現れるだって!?それは気高き美少女の悪役お嬢様!?信じられねぇっつーの! 俺には心に決めたあいつがいるんだ……。そんなこんなで美少女と対決することになった俺は超高度な心理戦を勝ち抜き、【神々の聖戦(じゃんけん)】にて勝利する。勝利の報酬で農家になった俺は悠々自適な農民ライフ!とか思っていたら屋上に育てた野菜からゾンビが出てきて大パニック!?』


【―――新番組:超最強の俺に悪役令状が惚れているけれど大好きなあの子を忘れられなかった俺は神や魔人を嫁にしつつ心理戦を駆使して農家になって快適な人生を送ろうとしてもゾンビが現れて大変です―――』


『ぜってぇ見てくれよな!』




「―――然るべきところに怒られろ!!!!!」


ど、どうしよう。

普通に怒られそうで怖い。

無名だからこそできるのか?

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