第36話 「おふざけが生み出す新展開は」―――①
「なぁ、ラー」
「?」
「どうしたんだい」
それは毎度おなじみの放課後のこと。
僕はガウガウの首筋をくすぶるように撫でながらふと疑問に思いったことを、これまた毎度のごとく大量の書類に囲まれて目をきょろきょろ動かしているラーに聞いてみることにする。
「いやぁね、そんな真面目なことじゃないんだけどね」
「僕達ってこのままでいいのかなって」
「この話一応物語なわけじゃん、でも僕達学園から一歩も出てないし、強敵らしい強敵もそんなに倒してないのにもう40話超えちゃうよ」
「やばくない?」
「うーんこれまた、コッテコテにメタメタ発言だね」
流石にこの問題はラーにも難しいのか少し頭を悩ませている。
でもこれは僕達生徒会がずっと先延ばしにしてきた問題だ。いつかは解決しなくてはならない。
今回問題なのはこの僕達の物語に物語としての根幹性がないことだ。
ジャ〇プとかなら、今頃【校内ランキング大会】みたいな武術大会が開催されているころだろう。同業者の方たちなら、今頃美女っ娘たちと【夜の武術大会】第3回ぐらいには行っていることだろう。
しかし、そこで問題なのはそういった作品群と比較したときに、僕達がかなりの成分で中途半端ということだろうか。
作者が己の能力に自信がありすぎるせいで、いつ回収するかもわからないフラグや伏線がマンモス団地のように乱立され。登場人物過多のせいで、名前を覚えにくかったりそもそも出番が少なかったり。読む側からすればメビウスの輪であみだくじをしようとするくらい難解なのではないだろうか。
冒険要素もない、エチエチもない、戦闘描写も少ない、かといってコメディとしてはいささか役者不足。
これでは負の4段活用ではないか。いや活用もできていないから負の連鎖が正しい。
せっかくの能力設定もここ最近では全く使っていない。
結論、これはやばい。
「うんうん、確かにヴィルの言うことはわかる」
「そうだね、みんなが揃ったら一度考えてみようか」
ここで今生徒会室にいないのは、オムとサブ。あの二人は今は脱走した“九官鳥”を追いかけているはずだ。
しかし、サブがいるのだ。そこまで時間はかからないだろう。
と思ったらもう帰ってきた。
廊下の方からバカうるさい高笑いが聞こえてくる。
<バンっ!
「ワーハッハッハ!帰ってきたぞぉ!」
「ワーハッハッハ!帰ってきたでぇ!」
勢いよくドアを開け放ち、さらに怒涛の勢いで流れるように帰宅を宣言した二人。いや、宅じゃないから帰還か?まぁそんなことはどうでもよくて。
「二人ともお帰り。後で少し話があるからそれまでゆっくりしといてね」
「……それとどうしてサブは紙袋被ってるの?」
「ワーハッハッハ説明してやろう!」
「そうあれはまだぼくが気高き自分になる前のこと―――」
「―――あぁもうええから、俺が説明する」
「お前の長いねん」
「ホンでなんでかぶってるかというと、いやなぁ、二人でおるとな静かすぎてまじで暇やねん」
うんうん、わかるよその気持ち。
サブはどちらかというと特に話すことが無かったら黙ってしまうタイプの人間。
僕やオムみたいに明るいのが好きな人間とは微妙に空気があわない。
―――ん、なんだよ。ぼっちだっておしゃべりは好きなんだぞ!
まぁそれで、耐えきれなくなったから紙袋がサブの頭にあるんだろう。
「だから無理やり被せてんけど、もっとめんどくさくなった」
うんうんだろうね、もうそれもなんか予想出来てたよ。
サブのもう一つの人格は話が通じない。
もうこの自由人ばっかりいる生徒会でもダントツで我が道を行く。
余計疲れるのは必至。
「まぁでもすぐに見つかったしすぐ帰ってこれた」
「そ、そうかい。」
「じゃぁサブの脱がしてやってくれるかい」
「わかった」といってオムは能力を発動させ、自分の手元にサブの被っていた袋を一瞬で引き寄せた。
いつものいつものようにさっきまでの醜態を思い出し崩れるように屈むサブ。
羞恥で顔は真っ赤になっている。
それほどまでに大きな声で堂々としている様はサブにとって恥ずかしいことなのだろう。
時を置いて。
ようやく羞恥心のしがらみから脱出したサブを入れて緊急会議を始めることは始まった。
「ほんで、会議って何の話や?」
「最近なんかあったか?」
「簡潔に言うと、僕達の物語がやばい」
「つまりテコ入れをしようと思う」
「「「「おぉー」」」」」
一同から驚嘆の声が上がる。
「はいはい!テコ入れって何ですか!」
元気よくスペラがテコ入れの詳細についてを問う。
「それじゃあ説明するね、テコ入れっていうのは―――」
主にテコ入れとは破綻しかけた作品に、つまり埋まってしまって、もうどうしようもない作品にテコを入れるかのように掘り返し、そこから再出発を目指す作戦である。
しかしテコの入れ方を間違えれば倒れるのは道理で、一歩間違えればもっと凄惨なことになる。
つまりこのテコ入れとは作品としての一念発起をかけた諸刃の剣なのだ!!!
「はい、ということでいまナレーションさんが解説してくれたように、これがテコ入れです」
「なるほどー」
「この作品は今あるゆる場面で崩壊しかけています、これをみんなの力を合わせてテコ入れしていきましょう!」
「「「「おぉ!!!!」」」」
「はいはーい!じゃあテコ入れならバトル展開にしていくのが妥当やと思いまーす」
中二病であるオムは日々の読書を怠らない。その内容は少しばかり、いやかなり一般文芸とはかけ離れているが、いざテコ入れとなればそれはオムの良識の範囲内だ。
オムの見てきた作品にもいくつかテコ入れのされたものがある。そしてその経験からアクション展開に持ち込むのが一番とオムはそう判断したのだ。
「でも、ばとる、は……もうした」
戦いに興味のないシスは呆れたように言う。しかしオムは、
「えぇ!でも言うてそんなしてないやん!」
「血沸き踊るバトルが読者には受けんねんって!タッシーとかヴィルとか強敵過ぎてバトルが白熱してないやん!」
と、声を大にして言った。確かにこれは正論。
人類、特に男子なら。熱い戦いには心が躍るものではないだろうか。テコ入れとしては十分なテコである。
がしかし。
「おむ、ひとつわすれてる……シスたち、学生……」
「はっ……!?」
本来、学生は戦わない。その言葉は電撃のようにオムを脳天から貫いた―――というかほんとに電撃が貫いた。オムは当然のように大ダメージを受けて気絶している。
こんなところに急に電撃が飛ぶのはあまりにも不自然。
ここから導き出されるのは……殺りやがった!!??。
シスの魅せる幻術によって帰らぬ人となったオムを置いて会議は続行される。
ん?確かにオムの意見は妥当なものだったさ。しかしあいつは僕達が学生であることを忘れた。
この作品の根幹に関わる重要なものの一つだ。それを忘れていたやつにこの会議に参加する権利はない。なので速攻で退場させたのだ。
「れんあいとか、は?」
邪魔者が居なくなったとばかりに、シスが意見を述べる。
でもな、にいちゃんわかってるんだぞ。
それはシスがただ単に、戦いなんてめんどくさいことはやりたくなくて、ラーといちゃつきたいってことを。
「―――というわけで、てこいれの、よこうれんしゅう。」
「あぁーもうがまんできないーわたしをおんなにしてー(棒)」
機は熟したとばかりに、そんな気の抜けた声をだしながら「ばっ」とラーの方に襲い掛かるシス。もうお兄ちゃんこの光景をどうゆう目線で見ればいいのかわからないよ。
しかし寸でのところで。
「頭を冷やせ」
タッシーが自分の“記憶”にシスを閉じ込めた。
これでシスはタッシ―が出すまで外には出られない。
「ふぅ……それでテコ入れだったか、そんなもの考えるまでもない」
「俺を主人公にすれば――」
タッシ―が何かを言うより早く……
「黙りなさい」
気を失ったように机に頭からダイブするタッシ―。
何これ、一人一人意見を言うのを邪魔するのがデフォルトなの?
流れなの!?
「そうね、主人公を入れ替えるっていうのは悪くはない案だわ」
「でもそれはあなたじゃないのよタッシ―」
「最近では悪役令嬢が天下を取るのが流行っているらしいわ」
「別に私は悪役とは思わないけれど、そうね三角関係のラブロマンス。それもドロドロのやつなんかが一般階級には受けるんじゃないかしら」
「だから次話からは、私とラーの愛の―――」
<バタンッ。
最後まで言い終わるより早くアシミ―が能力を発動していた。
令嬢にあるまじき、全身を脱力させて机にうっぷすチェビ。
うん、これはあれだね。
もう確変来ちゃってるわ。
最後の一人になるまでこの戦いは終わらない!
あぁー正直テコ入れっていうのはネタです。
作者の中ではもうこの物語は完結まで進んでいます。
後は「カタカタ」打つだけ,,,それができないんだよなぁ。
何とか60話までには2章に行きたいので文章がかなりお粗末で縮められてあります。
日本語が不自由なところがあったのならお教えください。修正します。




