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初級魔法しか使えず、火力が足りないので徹底的に攻撃魔法の回数を増やしてみることにしました  作者: 大地の怒り
第三章

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声帯模写2

 習得した声帯模写スキルを使い、マンドラゴラの声を再現できるか試してみることにした。


 マンドラゴラを握りしめ、では早速……と、思ったが、成功して万が一にも外に声が漏れたらまずいことに気づく。

 セルの家は広く、隣家と距離はあるので大丈夫とは思うが、念のため少しでも声の漏れない場所に行こう。



 昨日家を案内してもらった時、遊戯室は防音だと話していたので、そちらに移動する。

 

 中の部屋にあるこの世界の遊具らしきもの。

 直径三十センチくらいの黒く、点数が外周に表示された的が壁に立てかけてあったり、窪みが四隅に空いた長方形のテーブルが置かれていたり。

 テーブルの中央には、二つに分断するようにネットのようなものが張られている。


 前者は近くに投擲用の小剣が傍にあったので、きっとダーツっぽい何かだと推測できる。

 後者は卓球なのかビリヤードなのか、はっきりして欲しいが。

 

 まぁ、今日の目的はそれじゃない。

 そのへんの考察は一先ず置いておこう。

 テーブルに荷袋を置き、マンドラゴラを取り出す。


「さて……声帯模写、スキル説明には所持すればいいとあるが」


 こいつを普通に握っていればいいのかな。

 若干戸惑いながら、ギュッとマンドラゴラを握る。

 本当にできるのかちょっとドキドキしているぜ。


「あ~、ごほん。あ~、あ~」


 軽く発声練習をしたあと。

 スキル発動を願い、声を出してみる。

 以前引っ込抜いた時のマンドラゴラの悲鳴は記憶に残っている。


 あんな感じになるように、調律してイメージと合致するよう、声を出す。


「ヴ、ア……うん?」


 な、なんか、違うな……。

 これは俺の声質だ。

 風を引いた時のガラガラ声とか、こんな感じだった。

 おそらく声帯模写スキルは発動していない。


「ア、アァ……ヴェ、ア」


 我ながらなかなか気持ちの悪い声、ゾンビか俺は。


「グ、ヺウェ、イイグ、ッピピデ…………駄目か」


 うーむ、何度か試すが、うまくいかない。


 失敗の原因はなんだ?

 やはりサンプルがマンドラゴラなのが駄目なのか?

 いや、それを判断するにはまだ早いか?


 時間はあるんだ。

 とにかく試行錯誤してみることにしよう。

 

 ふむ、持ち方を少し変えてみようか。

 スキル説明には所持すると曖昧に表記してあるが、装備的な感じにしてみる。


 マンドラゴラの根から伸びる緑の蔦。

 蔦を腕にぐるぐる巻いて絡ませてみる。

 より身体に密着させた状態で、もう一度トライ。



【……$%“!】


(お、おぉ……?)


 きたっ、きたぞ……いい感じだったぞ。

 聞いた覚えのある声がちょっと出た気がする。

 今のは模写スキルが発動したっぽい。


「っ……の、喉が」


 通常、人では出しえない声の強引な再現。

 喉に負担がかかるのか、詰まるような感覚があった。

 それでも……この挑戦に確かな手ごたえを感じ、心が躍る。



 よし……では。


 今度は思い切っていくぞ。


【$%$%‘$%“$#”#$“#%!】


 いいぞ……できてる。

 つうかこれ、完璧に近いんじゃねえの?


 ふはは、やったぜ。


 あとは実際にライフドレイン的も効果があるのか?

 外に出て魔物相手に試したいところだ。

 まぁ、それは今度町を出た時にでも試すとしよう。



 とにかく、うまく行ってよかっ……。



「……あ?」


 強くなる希望が少し見えてきて、喜んでいた時。

 

 ぽたっ……と、テーブルに赤い雫が落ちた。


 なんだ、これ? ……まさか、血液?

 鼻にツンとした違和感を感じる。


 鼻血か? 手で血を拭おうとするが……。

 

(ち、ちょっと…………待て)


 グワングワンと揺れ始める視界。

 徐々に生じる身体に異常、ソレは次第に大きくなっていく。


 ま、ず、い(・ ・ ・)……このまま模写を続けたら。

 緊急事態に急ぎ、声を中断する……が。


「があああああああっ!」


 鼻血から一拍遅れ、急激に全身に焼けるような激痛が走る。

 浮かぶ脂汗、信じられないほどの痛み。


「はぁ、はぁ……ぐ、があ」


 何故、だ?

 マンドラゴラの声は生命エネルギーを奪うんだろう?

 どうして、痛みなんてものが俺の身体に走る?


 立てず、テーブルに寄りかかりバランスを崩し、膝を床につく。

 冷たい汗が全身に噴き出す。


 汗が服が、べったりと皮膚にくっつき気持ち悪い。


 ス、ステータスはどうなっている?


 *****************

 名前:池崎透

 LV:25

 HP(生命力):108/242

 MP(魔力):1668/1658

 力:93

 素早さ:92

 体力:87

 *****************

 

 ぼんやりとした視界の中、どうにかステータスウインドウを確認する。

 何故だ?

 HPが大幅に減っていやがる。


 魔物の声を再現することは不可能なのか?

 いや、声自体の再現はできている……なら、これは。


 

 というか、このステータス。

 そもそも何かが、おかし……。

 

「はぁ、ふぅ……」


 考察は後回しだ。

 それどころではない。


 俺は部屋を出てズルズルと身体をひきずりながら、廊下を移動する。

 今の俺は回復魔法が使えない。

 訓練の後、ポーションの保管場所をセルに聞いておいてよかった。


 早くライフを回復させないと……。


(あ、れ……部屋って、どっちだっけ?)


 意識が朦朧として、方向感覚が狂いだしている。

 視界がぐるぐる回転して、定まらない。

 どっちだ、どっちにいけば?

 視界がぶれて部屋の扉が複数見え、どこが正解なのかわからない。


 誰もいないはずの家で、一人孤独に危機的状況に焦っていた時。



「セルいるっ! いたら返事してっ!」


 バタンと、どこかから扉が派手に開く音がした。


「大変なのっ! ルル君が……セルっ! いないのっ?」


 誰かが、バタバタと慌ただしそうに廊下を走る音。

 この声……どこかで。


「って……えぇっ? ト、トールさんっ!」


「……あ?」

 

 歪んで見えるが、あれはシスター服、か?

 加えて、金色っぽい髪、てことはシル……ク?

 

「ど……どどっ、どうして、こんなところで倒れているのっ?」

 

 シルクの激しい動揺が声から伝わってくる。


「と、とにかくっ! 急いで回復魔法をかけないとっ!」



 俺の隣にしゃがみこむ彼女。


 柔らかな光が俺の身体を心地良く包み込んだ。

お読みいただきありがとうございます。


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更新する上で、作者のモチベーションアップにもなりますので

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