『鷲掴み』
今年も残すところ、あと360日を切りました。
なんと言っても、
悔いなく年を越したいものですが、
来年のことを言うと鬼が笑うと言う。
ところが、
鬼も笑ってばかりいられないのが「節分」で、
この行事で云われもない罪でシバかれる鬼も堪ったもんじゃない
「鬼は外ぉ、福は内ぃ」と、どこへ行っても追いやられ
バシン!バシン!と豆をぶつけられる。
地方によっては、
「鬼も内ぃ~」と暖かい呼び声がかかることもあるが
それはとても稀なこと、
たいていは「鬼は外!鬼は外!」と
これでもか!これでもかと豆をぶつけられる鬼の目にも涙とはこのことである。
もともと節分とは季節の分かれ目のことで
かつては立夏、立秋、立冬の前日もすべて「節分」であった。
現在は立春の前だけをこう呼ぶが、
室町時代は立春を新年の初めとし春だけが節分の行事として残ったという。
豆まきの風習は中国の「追儺」の儀式に由来し
鬼の目を打つ「魔目」「魔滅」に通じると云われている。
豆をまいた後は、その豆を拾って年の数(または一つ多く)食べる訳だが、
子供の頃はもっと食べたいと思った豆も最近は、
もうたくさんという年になり、、、
来年の干支は亥、イノシシですね。
「ね、うし、とら、うぅ、たつ、みぃ…」の一番最後。
ところで「何で干支には猫が入ってないの?」かと、
思っても今更人に聞けないシャンゼリゼ。
そんな方の御為に、おさらいしましょうか。
[猫はネズミに騙された]
「やぁ~聞いたかい?、ネコくん」
「なにをだい?、ネズミくん」
「明後日 神さまが、干支を決める徒競走をするそうだよ。」
「ナイス情報 それいただき!、」
「一番になってボクの存在をアピールしなくっちゃ、」
しかし、実は開催日は明日だったのだ。
それ以来、
「こんのぉ~、よくも騙したな~」と猫はネズミを追いかけるようになったのだ。
(笑)
更にネズミは考えた。
小さな体のボクが、どんなに頑張ったって1番に成れるはずがない。
ネズミは徒競走の間、ずっと牛の頭に乗っかってゴールの直前で飛び降りて、ちゃっかり1番になったわけだ。
では何故、俊足で有名なイノシシくんはビリになったのか?
イノシシは猪突猛進。走りに走って1番先にゴールに着いた、だが勢い余ってゴールに止まれず行き過ぎて戻った時には11支ゴールをした後だったのでビリになってしまったのだ。
閑話休題
ここ数年、クマの出没と並んでイノシシの人里への出没が取り沙汰されて騒ぎになっている。
人間によって環境破壊された山に食べるものと棲家を失った結果だが、
田舎には「山に暮らす決まり」が未だに生きずいている。
それは[山の恵みは山に棲むもので分かち合う]というものだ。
前にも書いたが、季節の恵みである山菜や木の実は人間が採り尽くしてはいけない。
キリンの首が長くなったように、とどく部分だけを食べる権利を守っていれば動物が人里に出て行くことはなかった。
人間は欲が深くとどかない部分まで手に入れようと道具を作り出した。
これが自然を壊し自分の首を絞めることになったことになった訳だから、
文句の持って行きようはない。
わが祖母は 食べたことのない怪しい茸や山菜を初めて採る時などはイノシシの足跡を探す。
そして 「猪が食ってっから大丈夫だぁ~」と、イノシシを毒見代わりにしていた。
が、「悪食で有名なイノシシと人間を一緒にしても大丈夫?」と思っていたけど誰も死んでないから強ち嘘っぱちでもないらしい…
或る日のこと、夕方の犬の散歩中ちょこちょこと後ろをついてくる物がいる、
「ウリボウだぁ~」と思ったが
あまりの可愛さに ばあちゃんにも見せようと、持っていた犬のオヤツをエサに
[ヘンゼルとグレーテル作戦で]家まで連れて行こうとした私だが…
この作戦には子どもの私には考えもつかない誤算があった、
その誤算とは動物好きな人にはもう薄々ネタ張れだろうが
野生の動物の子どもがいるということは必ず背後に親がいる。ということだ、
そんなこととは露知らず あわよくばウリ坊を飼いたいと餌付けに精を出す私と
少女のヘンゼルとグレーテル作戦に「ちょこちょこと」付いてくるウリ坊。
「わたしのオヤツが…」と複雑な表情の犬。
その後ろから我が子を見守るように歩いている、「ズシン、ズシン…」と重たい足音を忍ばせていた親猪。
夕焼け空が真っ赤に燃えてカラスがお家に帰る頃…。
犬のオヤツが無くなって、金の切れ目が縁の切れ目とばかりにサッサカ山へ帰ったウリ坊の後を見送る、
私と犬と、、、
その山の山神さまである、ダンプカー程もある巨大な巨大な猪だった…。
「行く水」は流れる水のこと。
「流れる水は腐らず」という諺は、つねに活動して停滞しないようにとの戒め。
流れる水は人や人生にもたとえられるが、
流れる川には激流ばかりでもなく
浅瀬を流れるせせらぎの水音をときには静かに聞く余裕も
人生には大切なことかもしれない。