表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/12

4話 作戦決行

空白が半角になっていた為、全角に直しました。

 作戦決行日当日。

 作戦はこうだ。


 現在、ララノアの母は奴隷商館にいるらしい。

なので、客としてララノアの母を買いに行く。そこで出てきたところを救出する。首輪が付けられていた場合は脅して鍵を奪い取る。




 奴隷商館前。


 中に入ると、肥えた中年の男が出迎える。


「本日はどのような奴隷をお求めですか?」


「エルフの奴隷っているか?」そう聞くと「昨日入ったのが居ますが、あれは貴族が欲しがっているので売れない」とのこと。


「その貴族はいくら出すといっているんだ?」


「大金貨五枚です」


 大金貨というのは日本円で百万円くらいの価値だ。因みに大銀貨はない。


「では俺は白金貨一枚だそうか」


 白金貨というのは日本円で一千万円くらいの価値だ。勿論、嘘だ。


「そういう事ならどうぞ見ていってください」

グヘヘと不気味に笑う。嫌悪感しか湧かないな。


 こちらになります。と案内されたのは綺麗な個室。流石に高い売り物はぞんざいな扱いはしていないようだった。


「じゃあコイツを下さい」


「少々お待ち下さい。ただいま鍵をお持ちしますので」


 少し経って男が戻ってくる。


「こちらが鍵になりま……」


 男が言い終える前に顔を殴る。

 慌てて男は鍵を落とす。それをララノアの母親のほうに蹴る。


「自分で解錠しろ!」


 拾った鍵を自分の首輪に差し込み、ガチャリ。首輪が外れる。


 その間に魔法をイメージする。イメージするのは火球(ファイアボール)……


「おい、お前を殺さない代わりに俺達を見逃してくれないか?」


 自分の周りに火球(ファイアボール)を数個浮かせる。


「ひ!ひぃぃいぃ!わ、わかった!見逃す!だから殺さないでぇ!」


 作戦成功だ。

 この男がオーナーだった場合、殺してしまうと他の奴隷が生活出来なくなってしまうから、殺したくはなかった。


電流(ショック)


 男を気絶させ、逃げる。完璧だ。上手く行き過ぎて、罠じゃないのかと心配になるほどに。




 宿に着く。


「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああああん!おがあざぁん!」


「ララノア、無事で良かったわ……」


 家族水入らずの時間だ。少し俺は退出するとしようか。



 そういえばこの国に迷宮があるとか。聞いた気がする。レベル上げに行ってみようかな。



 探さずとも迷宮はすぐに見つかった。


 一番上の階層はカップルで賑わっていた。場違い感がハンパない。


 ここ迷宮だよね?モンスターとか出るんだよね?


「よう!新人か?ハハッ、戸惑ってるようだな!この辺はザコしか出ないから女にいいところ見せつけんのにうってつけなんだよ」


「は、はぁ」


 ガタイのいいオッサンが話しかけてくる、対応に困る。コミュ障だから仕方ない。


「まぁ、死ぬなよ」


「は、はい!」


 まだ、こんなところで死ぬ訳にはいかない。俺は強くなってみせる。




 現在、四階層。


 ようやくカップルが少なくなってきた。取りあえず戦ってみるか。


 早速、モンスターと対峙する。

 モンスターはスライム(黄色)だ。殴るのは効きそうにないので、取りあえず火球(ファイアボール)を何個か投げつける。


 すると、ダンジョン内が震撼するような轟音が轟く。


 (あ、やっべ。オーバーキル過ぎたか?)


「な、なんだ!?」「た、助けて!ダーリン!」などの驚いているような声が聞こえる。


 嫌な汗をかきつつ、下の階層へと逃げるように足早に向かう。




 五階層。


 ここへ来るまでに骸骨兵も現れたが、ワンパン(魔法)で片付けて来た。

 モンスターからは魔石が落ちるそうだ。先、魔石が落ちたところを偶然見た。ここまでは拾ってなかったが、次からはきちんと拾うことにしよう。



 ここでも特に強い敵は現れなかった。



 二十階層。


 気づいたらこんなところに。


 ここまで辿り着くまでに魔法を色々使ってみたが、結構なんでも出来るみたいだ。これまでに使ったものだと、足下に風を起こして翔んだり、モンスターを凍てつかせたり、手に火を纏わせたりなどなど。


 自分が放った魔法は、自分に害は為さないらしい。手に火を纏わせても火傷はしない。


 それにしても、少し前から嫌な予感がする。俺の勘はよく当たるのだ。一刻も早く下の階層へ迎えと直感が告げている。




 四十九階層。


 ここまで、誰とも遭遇しなかったというのに、声が聞こえる。しかも下からだ。


「おい、やべぇって!勝てるわけねぇだろ!こんなの!」


「は?余裕だろ?先手必勝!」


 森閑としたダンジョンに、声が響く。聞いたことがある声だ。

 戦闘を避けようとしているのが秋人。しようとしているのが、俺をイジメていたヤツだ。


 (少しだけ覗きに行くか)


 覗きに行くと、そこにはドラゴンがいた。


 いやいやいや、転移後二日目でドラゴン倒すとか鬼畜過ぎない?少し同情するぞ。

 どのくらいの強さなんだろうと思うと、ドラゴンのステータスが表示される。


 レッドドラゴン

 HP 2413820/2500000

 MP 0/0

 ATK 150000

 DEF 320000

 AGL 130000

 SKILL 「竜族」「自然回復」「竜の鱗」


 「竜族」・・・MPがない。炎などはMPを使わない。


 「自然回復」・・・毎分HPを上限の10%回復する。


 「竜の鱗」・・・防御力を20%上げる。


 なにこのステータス。こんなの適うわけな……そういえば俺もステータス見てみよう。


 春 紫苑

 Lv. 83/∞

 HP 41010/41010

 MP 583572/595010

 ATK 324610

 DEF 24715

 AGL 298530

 SKILL 「転移者」「上限解放」「上昇十重」「魔法特化」「時間跳越」「無敵時間」


 なんか凄いことになってるんだけど。

 (あれ?防御力低くね?お、スキル増えてるし)


 「無敵時間」・・・最大MPの0.00001%を残し、それ以外を使用し、数秒の間時を止める。時を止められる時間は使用したMP量に比例する。


 これ、武器持ってないと使えないじゃん!今、手ぶらだよ。


 戦況の方はどうなっているだろうか……ドラゴン強すぎね?勇者五人相手に負けてないぞ。

 (危なくなったら助太刀するか)



 勇者達はドラゴン相手に防戦一方。このままではジリ貧だ。俺をイジメていたヤツが血を流して倒れている。ざまあみろだな。

 ……なんであんな奴のことを心音は助けているんだろうか。心音は優しいから仕方ないのかもしれない。いや、この場においての戦力の確保だろうか。


 閑話休題。


 ドラゴンの行動が止まる。まだ、体力は有り余っているのに、だ。勇者達はここぞとばかりに攻撃を開始する。

 おかしい。不自然だ。

ドラゴンにとって、この戦いの勝利条件は勇者を殲滅すること。敗北条件は自分が死ぬことだ。ダンジョン内で逃げることはほぼ不可能だ。

 では何故、自分が敗北する様に仕向けているのか?

自分の動作が止まれば、勇者が攻撃してくるのはドラゴンも分かっているはず……いや待て、勇者に自分を攻撃させている(・・・・・・・)のだとしたら?


「待てッ!罠だ!!離れろ!」


 俺は気づいた。傍観に徹していたから気づいた。ドラゴンが大きく、長く息を吸い込んでいることに──


 俺の声は届いていない。取れる行動は二つだ。


 ・「時間跳越」で過去へ飛んでやり直す。

 ・ ドラゴンの「溜め」の妨害をする。


 (仕方ない、まずは妨害だ。最悪、過去へ飛べばいい)


 氷槍(アイシクルランス)を数十本生成して、風の魔法で飛ばす。狙うのはドラゴンの口。そこなら鱗もない、息を吸い込んでいるところだし、一番の妨害になるだろう。


 氷槍(アイシクルランス)をマシンガンのように撃つ。一本目は当たる直前に前足で防がれたが、俺は槍を重ねて撃った。ドラゴンから見たらただ、一本の槍が飛んできた様にしか見えないはずだ。

案の定、槍を一本防いだことで俺の攻撃を防いだ気になって、前足を地面へ着ける。

そこに氷槍(アイシクルランス)が襲いかかる。作戦成功だ。


「我は(マスター)を捜している。主は我より強くないといけないのだ。故に我と勝負願いたい」


ド、ドラゴンが喋った!?ま、まあいい。ドラゴンが喋る事なんてよくある話だ。


「分かった。だが条件がある。そこにいる勇者五人を見逃してやってくれ」


話しの最中に俺は足下に落とし穴を造る。俺の足は風の魔法でほんの少しだけ浮いている。


「良かろう」


「よし、では始めようか」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ