77話 動き出していた?
私の後ろから声がした。
「まずは私の話を聞いてくれない?」
鎌倉夏菜だった。
77話 「動き出していた?」
ベンチを元の位置に戻し、別人有亜と鎌倉夏菜が座り、私とセーラー服真理さんは立ったまま話した。
「ごめんなさい。今までのあなたの話をずっと聞いてた。」
「別にあなただったから構わないんだけど……いや、ダメか。」
「何が?」
鎌倉は私を見上げて真剣な目で聞いてきた。
「あなたは栗山桃と繋がってる。だからばらすんじゃないかと思って……」
「栗山桃……ね……」
鎌倉はため息をついた。
「私は今回の件で分かったことがいくつかあるの。まずは私の恋している人。それが雨璃。しかし、それは最近のことで、昔からの話じゃないの。多分、世界を作ったってのはこのややこしい関係を築いてしまったって事なんだと思うんだ。」
ややこしい関係?
「詳しく説明すると、私は雨璃が好き。栗山桃は私が好き。そこで栗山桃は私に恋敵を作った。それが羽場咲で、羽場咲は雨璃が好きということになった。でも私が諦めず、怒った羽場咲はあらゆる方法を使い、様々な人をつくり、私を雨璃から遠ざけた。その人ってのが時間軸管理人や特殊な能力を持った人なの。」
「つまり裏ボスを作ったのは栗山桃で、裏ボスが羽場咲ってことだね!」
別人有亜が立ち上がって私のマフラーを掴んだ。
「かっ鎌倉さん……!私達がこの時間軸に来てしまった理由とかは関係してるのかな?」
「分からない……。」
別人有亜はマフラーを掴んだまま離さない。
「何?」
「学校に行ってみない?」
「まさか……」
「私達だって作られた人なんだからさ。ボスに頼みに行こうよ。」
鎌倉とセーラー服真理さんは「何がしたいんだという顔でこちらを見ている。
「で、何を頼みに行くんだよ。」
「もちろん、元の世界に戻してってね?」
「いやいや、まずは栗山桃に会わないと。」
「学校にみんないるってー!」
「なんでそんなに学校をすすめるんだよ。」
「細かい事は気にしない!」
別人有亜は私を引っ張った。
遠くから見ていた2人も立ち上がって歩き始めた。
はぁ……。仕方ないか。
疑問だらけだけど、行くしかない。
動き出すんだ。
そういえば、鎌倉夏菜は何故ここに私達がいると分かったのだろうか?




