71話 行方
71話 「行方」
数時間横になると体もだんだん軽くなって動けるようになった。
「これからどうする、桃?」
「とりあえず外に出てスノウをおびき出そう。」
大丈夫なのだろうか……
しかし桃は堂々と私を外に連れ出した。
案の定スノウがいた。
「見つけた。ありがとう栗山桃。」
え?
「いやー手こずったよ結構……。」
まさか桃まで!?
「さぁこちらによこし……うぐっ」
すると桃はスノウを一発殴り飛ばした。
「誰があんたらなんかの味方をする?」
スノウは吐き出た血を吹きながら綿をこちらに投げてきた。
しかし桃の能力で次々と消えていく。
「無駄だって言ってるのよ!!」
だんだん肉体戦に発展していき、私はずっと見ているだけだった。
しばらくするとスノウが倒れ、余裕の顔で桃が胸ぐらを掴んで立ち上がらせた。
「私の質問に答えなさい。あなたは誰かにコントロールされている?」
「うん……。」
「そいつは今どこにいる?」
「学校……。」
「行きましょう。」
「え?学校に?今から?」
「さぁつかまって!」
桃は私とスノウを抱えて猛スピードで走り出した。
少し先の角を曲がると白馬がいた。
「定員オーバーっす。」
白馬が喋った?!
「急用なの、ごめんなさいね。」
「わかりやした。」
スノウは前で抑えられていて私は必死に桃に抱きついた。
あれ?あっという間に学校についちゃったけど、もう誰もいない気がす……
いた!!
学校の中から出てきたピンク色の髪をした少女は薙刀を持っていた。
「私は遺体を持ってこいと言ったはずなのに、逆になってるじゃない。」
頭をこんこんしながらリアは手を差し出した。
「栗山桃、殺すことないでしょ?おかげで通信できなくなっちゃったし。よし、代わりに私がお前らを殺そう。」
「……下がってて。」
スノウを私に投げ渡した桃は薙刀に手を差し伸べた。
しかし避けられて目を攻撃された。
「桃!!」
「大丈夫!何もしなくていい!」
目の傷を消すと足で薙刀に触り薙刀も消した。
「私がワンパターンだけだとでも?」
「くっ……」
ん?自然に体が動く?まさかリアの能力?
「何をした!?」
「そのまま私が持っているナイフで殺してやる。」
「何で……何でそんなことするんだよ!」
「ボスの命令。」
桃も能力のせいで動けなくなってるし、私は確実にナイフで刺されて死ぬ。
「おやすみ。」
リアは素早くナイフをふっているはずなのに何故かゆっくり見える。
こういう時に走馬灯とやらを見るのだろうか?
白いものがあたりを埋め尽くす。
「スノウ……?」
どこも痛くない。刺されてないのか?
「大丈夫か?」
「うん……えっとスノウ?」
「マリアだ。」
「あ……なんでいるの?」
「相棒についてきただけだ。」
「相棒?」
「気にするな。わからなくてもいい。ほら、お前の相棒が来たぞ。」
「桃……」
「あと、スノウとリアはこちらが預かる。では、」
「待ってマリア!どこに行くの?」
「時間軸のどこかに。」
マリアの姿は見えなくなった。
その後すぐに桃が来て白馬に乗せてくれた。
「大丈夫?」
「うん。どこにも刺された跡はないよ。」
「よかった……。」
桃は白馬に乗り、目的地を言って走らせた。
「ボスって誰だろう……。」
「こういうのは考えるんじゃなくて見つけるんだよ。」
「そう?」
「うん。そのほうが早いと思う。」
「んー……。私は考えちゃうな。」
「例えば?」
「真理さんとか?」
「私はちゃうで」
『この関西弁は!?』
「もうええてそれ……。」
真理さんはやつれた顔をしていた。
「正直誰が犯人かは知らん。でもな、こんなことになったのは許せん。」
「私達……私を殺そうとしたこと?」
「それや。」
私は桃を見る。
「真理姉、これはどこから間違ってたの?」
桃は私を見ずに真理さんを見た。
「最初から……雨璃があんな約束したからちゃう?」
「雨璃?約束?」
すると突然白馬が白髪の女性に変身した。
「どしたん、みかん?」
みかんって名前なんだ……。
「少し公園に寄っていこう。話をしたい。」




