56話 まさかのまさか!?
56話 「まさかのまさか!?」
「あっ……あう……」
「よっ。懲りずに女装してんのな。」
ほかの男どもがゲラゲラ笑う。
こいつらはもしかして咲が中学校の時に襲われた男子共か?
「祭りに来たと思えばお前に遭遇かよ。マジ笑えるわ。」
「……今でも私の事を女装男子だと思ってるんですね。」
「あーそうだよ。事実なんだから問題ねーだろ?」
男は咲の髪に触れようとした。
「やめろ!!」
私が手ではらった途端、男は尻餅をついた。
「何すんだよ!怪力女!」
「女子の髪引っ張るとか最低。」
「馬鹿じゃねーの!?そいつは男なんだよ!んでその髪はカツラだ!」
怒りが込み上げてくる、
殴らずにはいられないくらいに。
「てめぇな!」
「やめてください!」
「咲?」
「ここで騒ぎを起こせばほかの人に迷惑ですし、もう私が悪かったということで……」
咲はなんとも言えない顔をしていた。
くっ、腹立つ!
「だからあなた達、もうここから身を引いて……」
周りの客がざわめき始める。
「ちっ。しゃーねーな。」
男は立ち上がり逃げようとした。
「待ちなさいよ。」
「あ?まだなんかあんのか?」
「なんで咲先輩が悪いみたいになってるわけ?悪いのはあんたらでしょ?」
「あぁん?」
「おい、アリア!せっかく咲が丸く収めてくれたのに……」
私が抑えようとするとビンタされた。
どうした?アリア。
「謝れ。今すぐに。」
「はぁ?」
「アリアちゃん!いいから!」
「良くない!!」
咲は完全に涙目だった。
「さぁ早く!」
男は手をあげたかと思うとアリアに指をさした。
「こいつの噂を広めたのはお前だろうが!」
彼の大声とともにあたりは静かになった。




