45話 私とマフラーと
夏休み初日。
私は大変なことに巻き込まれた。
45話「私とマフラーと」
散歩をしていた私はアリアとばったり会った。
「空乃先輩!?」
「よぉアリア。どうした?」
「いっいえ!妹達から逃げております!」
「鬼ごっこ?」
「まぁそんな感じ?です。」
アリアはお辞儀をして逃げていった。
あとから来た双子に尋ねられたものの適当に誤魔化しておいた。
「アリアのやつ、ややこしいことに巻き込まれていなかったらいいけど……」
そういえば私はあの日から夏休みに至るまで何も事件を起こしていないし、巻き込まれてもいない。
せっかく新しい刀を買ったのに使えねーな……。
空流のやつと一緒にいた時は良くないことばかり起こっていた。
「もう縁は戻せないのかな……」
あの日、あの告白した日は、
空流と私は恋のライバルで
その対象が羽場咲(男)だったけど、
もう今は違うからな。
お互い、羽場咲には失望している。
だからといってまた仲良くできるわけではない。
ややこしいな本当に……。
いろいろと考えていると後ろから声がした。
「すみません。」
「あっ……何でしょうか?」
「その刀少し見せてください。」
「え?」
その人は長いオレンジ色の髪でマフラーをしていた。
この暑い中よくそんなもん巻けるな……
「その刀、レプリカでしょう?」
「そ、そうですけど。」
「なら大丈夫ですね。少し貸してください。」
「え、いや、でも……。」
彼女はするっと私の刀を鞘から抜いた。
「ちょっと!」
「ほいっ」
刀を振り回したかと思うと地面に突き刺した。
レプリカなのに刺さってんぞ!
「少し付き合ってくれませんか?今この下が騒がしくてイライラしてるの。」
「騒がしい?」
「面白くもない争いが起こっているの。そこであなたに手伝って欲しい。」
私が首を傾げる彼女はパチンと指をはじいた。
地面に大きな穴が開く。
「私は時間軸管理人兼時間軸管理人の監視人なの。」
「時間軸っ!?」
続けて出てくる質問の数々とともに闇にのまれていった。
「東雲家と時間軸管理人と刀使い。それと全ての壁、羽場咲……。私抜きで勝手に争わないでよね。」
長く続く闇の中で何かが光った気がした。




