4話 荒れる日の前
4話 「荒れる日の前」
朝のホームルームが始まった。
咲は私(窓側の前から5番目)の席からは遠いところに座っていた。
今までは気にしていなかったのにいつの間にか彼女を見ている気がする。
どうしたらこうなったんだろう。
そういえばあのふたりはあれから何も話しかけることなく大人しく座っていた。
一体何をしたんだ咲……。
長い先生の話も終わり授業が始まろうとしていた。
「羽場、ちょっと来なさい。」
咲は頷き席を離れた。
昼休み食堂にて
「咲、何があったの?呼ばれてたけども」
咲は下を見つめ深呼吸をした。
「あなたと出会ったきっかけはトイレに貼った手紙でしょう?あれ、他の扉にも貼ってたんですよ。しかも名前付きで……だからバレて怒られてたんですよ。」
「なるほどね」
私はあの手紙を見つけた時その扉しか見ていなかったが、他にも貼ってたんだな。
「もしも名前がわかっていたらどうしてました?」
満面の笑みで聞くなよ……。
「あー。わからん。その場のノリで決める。」
「トイレで?」
爆笑しているが、あんたのやってることも相当笑えるもんだぞ。
ん?なんか似たようなこと前にも言ったような……。
「あの、お願いがあるんですけど。」
咲は弁当箱をしまいながら言う。
「今日の放課後ではなく明日の放課後に屋上へ来てくれませんか?」
まぁもちろん行くけど。
「ありがとうございます。ではお待ちしております。」
先に帰っていく咲の背中はなんだか寂しく感じた。
私はまだパンを食べていて、まわりの会話を盗み聞きしていた。
「またトイレに手紙が貼ってあったらしいよ。」
「え?またあの羽場咲って人?」
「違うよ。なんか果たし状って書いてあったらしくて、差出人は東雲有亜なんだって。」
東雲有亜といえば……
1年の中では有名なお嬢様……
流行ってんの?トイレに手紙を貼るの。
教室に戻ると授業が始まってもいないのに教師が黒板に文字を書いていた。
今日は朝のこと以外に特に何も無かったが、翌日大変なことが起こることをまだ誰も……咲以外知らなかった。
皆さんこんばんは、はじめまして
次回から第2章に突入します。
たくさんの方が読んで下さりとても感謝しております。
これからもよろしくお願いします。




