37話 tear(涙)
37話 「tear(涙)」
「……」
空流はずっと私を睨んでいる。
ポケットに入れたままの手を出すことができず、汗もとまらない。
「あーちゃーん!ただいまー!」
母の声がした。
「あらお友達?こんにちは。」
「こんにちはー。お邪魔しましたー。」
「もう帰っちゃうの?」
「はい。では〜。」
空流はお辞儀し、あっさりと出ていった。
「あーちゃん。ケータイなってるわよ?」
「あ。うん……。」
Lightの通知……空流からだ!
『明日から早速始めるから、9時に◯◯駅集合。』
友達追加して最初にいうことがそれかよと思いつつ私は返信した。
『りょーかい。』
◯◯駅……
その言葉を見る度にマリアをおもいだす。
ポケットの中にあるくしゃくしゃの手紙を取り出した。
「え!?」
『雨璃へ。
こんなことをしてしまってすまなかった。この手紙は焦ることにより読むことができる仕組みになっているためわざと日焼けをさせた。本当にすまなかった。
メロンのアイスクリームは美味しかった。礼を言わせてもらう。
これから私と会う事は絶対にない。
時間軸もこんがらがって大変じゃからな。
それとあと、お前さんの記憶から私を消す。
これは上から言われていることだから逆らえない。
上を知らんかの?まぁ私はあくまで時間軸管理人というだけだから……まぁそのうちすべてがわかるさ。
何があってもきっと羽場咲が守ってくれるだろう。
彼女がなんであれ関係ない。
守られるのが嫌なら強くなれ。
それじゃあ
バイバイ。』
別れがこんなに辛いものだと思わなかった。
そこはさらばだろっとか、お前会えるって言ったじゃねーか!とか……いろんな思いが出てくるが、
彼女……マリアの言葉を私は受け止めることにした。
強くなってやるよ。
記憶から消されても思い出してやるよ。
さよならマリア。
私は眠った……。




