36話 バカ?
36話 「バカ?」
「どーぞ。」
「お邪魔します。」
空流は綺麗に靴を揃えて私の部屋に行った。
なんにも言ってねーのに何で部屋がわかるんだよ。怖えーよ。
「はい、お茶。」
「あ、いらないからいいわ。」
「ふんっ。」
「何?怒ってるの?」
「それより用件はなんだ?」
「怒ってるのね。」
「用件。」
「はいはい。話しますよちゃんと。」
呆れたのかため息をつく。
こいつ完全に私を舐めていないか?
「私は先週から異常を感じているの。有亜は突然泣くし、空乃は刀を出してくるし……咲に至っては女装をやめて男子に戻っ……これは違うわ。」
「いいから早く続きを頼む。」
「急かさないでよ。あなたにはたっぷり時間があるはずよ。」
「はーやーくー」
「全く……それでさっき公園にいたんだけどいきなり白馬に乗った三つ編みの関西人が現れたのよ。そいつが去ったかと思いきや今度はゴスロリ服を着た双子がやってきてね……。いつからこの地域変になったの?」
「知らねぇよ……」
白馬に乗った三つ編みの関西人は真理さん、ゴスロリ服を着た双子はイリアとエリア……。
「でね、私は思ったの。もしかしたらあなたも変なことになってるんじゃないかと思って。そしたら1人で手を振っていたから大爆笑ってわけよ。」
「お前なぁ……」
「ここからが本題。この変な現象は何かしらの原因があると思うのよね。だから」
「いやその原因を一緒に探せってか?嫌だぞそんなん。」
「よろしくね!」
今まで見せたことのないであろう笑顔をこちらに向ける空流。
むかつく……!
「せっかく夏休みが退屈ならちょうどいいじゃない。」
「ほかのやつはダメなの?」
「あなたでないと行けない理由があるの。」
「けっ。あれだけ悪口言っておいて仲良くしろだなんてむりだっつー」
「の!ってそんなわけないでしょう?あんた馬鹿なの?」
「あ!?」
「怖いし、下品よ……。とりあえずそうね……Lightで友達になって、もし何かあったら連絡して。私もするから。」
私のスマホを片手にとり数秒で友達追加を完了した。怖い。
「よろしくね。」
空流は部屋を出ようとして止まった。
私はポケットに手を突っ込み壁にもたれる。
「なんだよ。まだ何かあるのか?」
「あのさ、今気づいたんだけど。」
「?」
「夏休みが始まったばかりで外にあまり出ていないはずのあなたがなぜ、」
「すごくわかりやすい日焼けをしているの?」
ポケットの中の手紙を握りしめただ彼女が早く出ていって欲しいと思っていた。




