35話 手紙
35話 「手紙」
「頭に刀は刺さってないし、銃で撃たれた跡もなし。あとは今何日だ!!」
私はスマホを取り出し日付を見る。
「7月24日……土曜日……!?やった!夏休みが始まった日に戻れたんだ!」
「あら、あーちゃん。威勢がいいわね。」
「わっ!ビビった……どうしたの、お母さん。」
「洗濯物を干しに来たのよ。朝ごはんできてるから食べなさい。」
「はーい。」
私はあくびをしながら階段を降りる。
ポケットにはスマホを入れておいた。
朝ごはんは卵焼きにスープ、昨日(私からしたら何日も前)の残りご飯だった。
私はゆっくりと食べる。
「本当にあんなことがあったなんて今じゃ思えないや……こんなにのんびりしてられるのはいつぶりだろう……」
呟いていると奥から声がした。
「今から買い物行ってくるからお留守番よろしくね!」
「らじゃー」
私は完全にやる気が無かった。
朝ごはんを食べながらスマホをポケットから出す。
友達がいないはずのLightを開け、メッセージがないのを確認し閉じる。
時間は9時13分
ゆっくりゆっくりと時は流れる。
食器を片付けようと立ち上がると足で何かを踏んだ音がした。
くしゃっみたいな……
「これって……」
踏んだのはクシャクシャになったマリアからの手紙だった。
「雨璃へ
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マリアより。」
短く端的に書かれていたが内容は深く……って分かるか!読めねぇわこんなの!
部屋に戻り窓の外を眺める。
誰も手を振ってくれるわけじゃないのに私は自然と手を動かしていた。
すると、
「何をしてるの?ぼっちだからってそれは流石に寂しすぎるわよ。」
空流京子がにやっと笑いこちらに手を振った。
「少し話がしたいのだけれど、いいかしら?」




