31話 ◯◯に
31話 「◯◯に」
鏡の中にいたのは金髪の美少年
私はどうやらそいつになったらしい。
「ちょっと待てよ!声はそのままだけど完全な男になってんじゃねーか!どうしてだ!教えろマリアー!!」
そしてなぜゴミ置き場に移動してんだよ。
こんな時にマリアはいねーしよ。
私は立ち上がりそこら辺を歩き回っていた。
人通りが少ない住宅路でとても静か。
パカパカと音がするだけ……
「は?」
目の前には白馬がいた。
「王子様って白馬がお似合いやんなー」
「こっこの関西弁は!」
真里さんがこちらを見てにっこり笑っている。
「なんや?うちはあんたと初対面のはずなんやけど……まぁええわ。で、そんなボロい服でどうしたん?」
「ボロい服?」
「白いTシャツが所々裂かれてるで……なに?流行り?」
「えっえ?」
よく見ると裂かれた部分では肌が見えている。
すごくスースーする。
「白馬に乗るには不似合いな格好や。これ着てき。」
真里さんは片手に持っていた紙袋を私に押しつけた。
「なっ!」
「さっき友人から貰ったんやけど絶対着いひんからあげるわ。そんじゃ」
「ちょっ!なんで!」
「気にすんな!」
真里さんは走って逃げていった。
紙袋の中には如何にも王子様が着るような豪華な服が入っていた。
白馬はずっと隣で「乗るまで待つぜ」
と言っているかのように立っていた。
でもここで着替えるのはダメだからなー
「白馬、ちょっとさ着替えるとこ連れてってくれね?」
返事があるはずもなく私はそう言って白馬に乗った。
すると
「承知しやした」
「お前喋れるのかよ!」
驚いて落ちそうになった。
白馬はその時に猛スピードで走り出した。
「ちょっ……どこに行く気だー!」
「近くの中学っす。トイレに入れば着替えられるから……」
「不審者扱い確定だな!」
何考えてんだよこの白馬ー!
「着きやしたよ。」
「ありが……もう少しマシなとこなかったのかよ……」
「では俺はここで待ってるっす」
「無視かよ!」
見た目と喋り方が全く一致してねーんだよ。こいつ……
この学校は3つの校舎に別れていて1つの古そうな校舎のそばにトイレがあった。
女子トイレに入りそうになり慌てて男子トイレに入った。
「ここならバレねーだろ。よし、着替えよう。」
私は紙袋を取ろうとした。
「え、待てよ!」
さっき真理さんにもらったヤツまさか……
「白馬に乗る時にそこに置いてきたのかよ!」
がっかりだ……白馬のヤローも気づけよ。
落ち込んでいたら外から騒がしい声がした。
トイレを出て窓を見ると数人の男子が誰かを殴っていた。
「あれは!」
殴られていたのは明らかに女子制服を着ている羽場咲だった。




