3話 友達は 後編
3話 「友達は 後編」
私が見たのは正確に言うと机じゃなくて机の上でブーブーなっているケータイだった。
メッセージが何件も来ており、送り主はあの2人だ。
すべてが短く悪口しか書いてない文章で、よくこんなものに耐えられるよなこのケータイ……と思いつつ、鞄の中にしまった。
帰り道も帰った後もずっとなっているので私はケータイを部屋の壁にぶち当てて壊した。
「なんでだよ!なにかしたか!私が?なんにもしてねぇだろうが!」
今日は家に誰もいないので私の怒り声は響き渡った。落ち着いた頃には大破したケータイを眺めていた。
なぜあのふたりが急にこんなことをしたのか。単純に考えればあの羽場咲と会ったのがそうだと思う。
あいつはあまり好かれていないから……
「原因があるとすればあの委員長だ。絶対明日屋上で真実を暴いてやる!」
私はそんなことを言ってそのままふて寝してしまった。
朝起きると壊れていたケータイは処理されたのか新しいケータイが手紙とともに置いてあった。
『壁に穴があきかけてたから、今度からは投げないでね。母より』
突っ込むとこそこかよと思いつつ着替える。
今日は早めに行ってあのふたりに会わないようにしようかな。どうせ話しかけられそうだけど。
あぁ鬱陶しい……。
5時半くらいには家を出て、駅にダッシュで向かい電車に乗り、到着したら10分くらい歩き、学校についた。
靴箱には何もなくひと安心したものの、教室へ行く間が苦しかった。
あの二人はいつも1番早くに来ていたからきっと……と思いながら、
教室を開けると私の席に羽場咲が座っていた。
「お待ちしておりました。」
「なんであんたがここに座るのよ。」
「お話がありまして、」
「私が早く来たからよかったものの、もし遅かったらあんた周囲から変な目で見られてたじゃない!」
「大丈夫です。もう変なヤツ扱いなので。」
しれっとした顔で私の席を離れ後ろに座る。
「で、何しに来たのよ。」
「昨日のことについてなのですが、」
「あー。あの付き合ってください。ってやつ?あれは……」
「ん?誰か来たみたいですね。」
賑やかな喋り声が聞こえてきた。
「……お。」
「あっ」
あのふたりがやってきた。
「キモイのがふたりもいるわ。まじで嫌なんだけど」
「そうだな。お前ら出てけ。」
ふたりともわらっている。
そこにまさかの彼女が私の手を引っ張り椅子から引き摺りあげそのまま押し倒した。
「何かキモイものでも見ました?」
いやこれは相当キモいんじゃね?と思ったがあのふたりはそう思わなかったらしく、って、え?
「お邪魔しました。」
といい出ていった。
実際私は押し倒されたせいで目を瞑ってしまっていた。なのであのふたりがどんな顔をしていたのかわからなかった。
羽場は私を引っ張り上げ椅子に座らせた。
「ごめんなさい。無理矢理で……」
「いや別にあのふたりが出ていってくれたから良かったんだけどさ……なんでこんなことを……」
「話を戻しましょう。」
スルーされた。
「昨日私は考えました。しかし、いきなり付き合うのもあれですし……とりあえず友達からってのはどうですか?」
委員長は恥ずかしいのか目をそらしている。
どうしよう素直に答えた方がいいのか?それともあえて無視?いやでもかわいそうだし……えぇと……
「わかった。友達ってことで。」
どうやら私は素直なやつらしい。
窓の外を眺めるとクラスの奴らがとぼとぼとこちらへ向かって歩いていた。
「羽場、そろそろ自分の席に戻りなよ。」
「そうですね……あっ。」
羽場は私の耳元で囁いた。
「咲と呼んでください。」




