29話 暗闇
29話 「暗闇」
ひとつ思う事はマリアはなぜあの時セミを捕まえていたのか。
それが気になって仕方が無い。
今ずっと暗闇の中にいて出られないなんて別にどうでもいいと思ってしまう。
マリア、あなたのことをもっと知りたい。
「マリア」
「どうしたんだ?」
私は深呼吸する。
「まっ真理さんってどんな人なの?」
この意気地無し!
「真理とはあの関西弁娘か?」
「そ、そう!公園にいた時あった人!」
「そういえば東雲一家から逃げていた時話しかけられてな……『ベンチの嬢ちゃん……マリアちゃんやな?相方の子、家帰ったし迎えに行き。』と言われて帰ったら銃で撃たれ刀で切られたんだよ。」
相方の子……名前教えておけばよかったと思いつつ、私はマリアを抱きしめる。
る!?
「ごめんね。マリア……。痛い目にあわせて……。」
「雨璃……。」
あれ、なんで思ってもいないことを言ってんだ私は
ちょっと待って!マリア待って!誤解だから!違うからね?別に私は好きってわけじゃ……
「雨璃、提案なんだがずっとここにいないか?私と共に暮らし好きな時には別の時間軸に行けるようになってるから。」
マリアは私の背中を短い腕で包む。
暖かい、今までの悲惨な出来事がなかったかのように……ずっとこのままがいい。
マリア、私はさ……。
「僕は固定概念が嫌いです!なんで女装男子だから気持ち悪いんですか!意味がわかりません!」
へ?
「やめっ……僕はやり返しませんよ!」
これって……
「ちっ負けたか……。」
「え!?どういうこと!?」
マリアは私から離れてこう言った。
「彼女……羽場咲には関わるべきでなかった。」
焦っているマリアは関わるなを歌っている。
「マリア!?何してるの!落ち着いて!」
「うるさい!彼女を潰さないといけないんだ!」
「!?」
光1つさえないこの暗闇に明るい声がしている。
それに対抗するマリアの歌。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
光が出てきて大きくなっていく。
マリアはずっと叫んでいる。
私は立ち尽くすことしかできなかった。




