28話 嫌だ、もう。
28話 「嫌だ、もう。」
「ん……ん?」
「大丈夫か?嬢ちゃん。」
「へっ……はい……!?」
「倒れてるけどなんかあったん?」
真理さんが心配そうな目でこちらを見ていた。
「さっきベンチの下にいたゴスロリの子はどうしたん?」
「あぁ……マリアですね……。さらわれました。」
「さらわれ!?あんたようそんなこと平気で言えるな……全然慌ててへんし、」
「多分大丈夫だと思います。マリアはあんなのに捕まるヘマじゃありませんし。」
「わからへんやろそんなん、マリアって子が殺されてるかもしれんよ?」
「そんな気はしません。ずっと一緒にいるから……」
「一緒にいるから何なん?」
「え?」
「わたしも長年付き合いのあった友人と縁を切った。それは友人が私のもんを盗んでたからやねん。いくら一緒にいてもわからん、知らん事は沢山あるで?その証拠にあんたはマリアの居場所を知らん。簡単に知った気になるもんやない。」
「でも!」
「とりあえず今日は帰り。じゃ。」
真理さんは早足で帰っていった。
私はゆっくりと起き上がり家へ向かう。
簡単に知った気になるもんやない
その言葉が胸に突き刺さる。
自然と涙が出てくる。
マリアのことを理解できていないから?
何も知らないから?
「ただいま……っていないか……」
母はどうやら出かけているらしい……
私はベッドに飛び乗る。
「マリアはさ、なんで追われてるの?なんで私と夏休みを巡ってるの?なんで?なんで……」
午後2時、私は眠りについた。
ふと考えていた。
夢の中で
なぜ私は夏休みを巡っているのか。
私は誰かに会いたかったはずだ。
何か目的を果たそうとしていたはずだ。
なのになぜ今こんなことをしているのだろう。
「はっ!」
目が覚めると目の前に刃先が……
「!?」
「マリアはもういない。大人しく死ね」
周りには銃を持ったやつが3人
一斉に撃たれ刀でめちゃくちゃに切られた
「固定概念というものが私は嫌いです!」
どこからか声がした。
撃たれ切られたのはマリアだった。
「マリア!?なぜここに!?」
「お前さん達は本当に愚かじゃな。上に従うだけの殺し屋が何の用じゃ?」
マリアは無傷で立っていた。
「何も知らんのはこの子もそうじゃがお前らもそうじゃ。私はこの世界では死なない。」
「マリア!」
「雨璃、慌てるな。お前も死ぬ事は無い。」
私は素直に驚いた。
「マリア……てめぇぶっ殺すぞ!」
「やってみな」
マリアと空乃は身構える。
「残念じゃが、勝負はお預けじゃ。また会おう。」
「まっ待て!」
マリアはベッドの上に穴を作りそこに入った。
私も一緒に入っていく。
「覚えてろよ……」
かすかに舌打ちが聞こえた。
「マリア。」
「何じゃ?」
「いつになったら戻れるのかな?」
「分からん」
「だよね!」
私は疲れたのかまた眠ってしまった。
「まだまだ元には戻させないから。咲になんて絶対譲らない。」
闇は深く続く




