22話 消えた夏休み
22話 「消えた夏休み」
「絶対マリアに何かありそうね……」
「雨璃さんが家を出たのはいつでした?」
「あー……えっと夏休みが始まって間もない頃かな。」
「じゃあやっぱり……」
「やっぱり?」
「いえ、なんでもありません。でも、私達がこの時間を夏休みが始まる頃に戻せるわけがありませんし……仕方ありません。明日から頑張りましょう!」
「切り替え早!そんな事言われても私はまだ信じられないんだから……。」
雨璃さんは鞄からケータイを出す。
目を丸くしていた。
「これ、私が前に壊したはずのケータイ!なんで!?」
無料会話アプリLightを開き、会話履歴を見ていた。
「あのふたりからの罵倒は残ってるけど、ケータイの傷は残ってない……。それに、」
「それに?」
「東雲が追加されてる。」
「それはこの前屋上でみんなで昼ごはんを食べていた時に追加してましたよ?」
「は!?」
「どうしたんですか?何かおかしいですか?」
「ちょっと聞くけどもさ、私があんたの家に来たのは喧嘩したあんたと仲直りするためよね?」
「違います。来た時言ってましたよ、寂しいからって……」
雨璃さんはその場に崩れ落ちた。
「今思ったのはこの時間軸に私が紛れてしまったとか……いかにも有り得そうな理由なんだけど……いやほんと信じらんない。」
「どういうことですか?」
「あんたの話の中にマリアが時間軸がどうだとかあったじゃん。多分、私はマリアみたいに別の時間軸に紛れ込んだってことなんじゃないかと……」
「え。」
「まぁ考えながら帰るわ。今日はありがとう。」
待って雨璃さん
「今の私に2度とあえなくなるかもな。じゃあ。」
行かないで!
声に出せなかった。
雨璃さんが……私の大好きな友達が……
急に消えてしまうのではないかと思っているのに
止められない。
また新たな章に入ります。
語りは雨璃に戻ります。
いろんな謎が生まれる中、マリアが原因なんじゃないかと思った雨璃は彼女を探す。
その先で出会うのは困難と敵。
5章 巡って巡って夏休み
10月11日4:00公開予定




