2話 友達は 前編
私はなぜここに来てしまったのかいまだにわからない。
2話 「友達は 前編」
「ごめんなさい」
羽場は悲しい顔をしているが、そりゃ断るだろ普通。
「ちょっと考えさせて」
私は慌てて口を抑える。
これって後で返事をいう流れを作っちゃったんじゃないの!?
それになんでそんな事言った!
羽場はこちらをじっと見ている。
私は逃げようとドアに走り出そうとした。
しかし、
「私は固定概念というものが嫌いです。」
意味不明なセリフで遮られた。
「私が思うに固定概念というものは人を苦しめているものではないかと思うのです。実際、自分で思っていたことがそうじゃない時があります。また、発想を広げることが大事なのにいつまでも固定概念に縛られていることもあります。これはあくまで私の経験則ですが。
だから私はあらゆる意外な手を考えました。その結果があの手紙なんですよ。しかも女子トイレに貼りましたし、まさかのまさか、なんか面白いですよね?」
くすくす笑ってるけど、その行為は笑えるものじゃないぞ。
話の意味が全くわからないが、どうやら彼女は突飛な発想が好きらしい。
羽場は微笑んで「あなたの固定概念を聞きたい」と言ってきた。何なんだよ。
「ラブレターは靴箱に入れるとか、友達の話に合わせないとハブられるとか……
あとは日常が毎日が退屈だってことぐらい?」
「ラブレターは靴箱以外に渡す方法はたくさんありますし、友達にもいろんな話題をふってみることもいいんじゃないんでしょうか?それに」
「あなたが思う日常は退屈でも、他の人にとったら違うかもしれません。」
ね?と言われても理解ができなかった。特に最後は……
「で、その話がどうしたんだよ。告白しに来たんじゃないのか?」
「だからこれから何があっても驚かないで、それはもうきまっていることなのだから。」
本当に意味不明な奴だな。
それじゃあまた会いましょうと手を振り羽場は先に屋上をでた。
私はしばらく空を眺めていた。
これをどうあのふたりに伝えるべきか、羽場は一体何がしたいのか。
考えてもわからなかったので私はドアを開けた。
中は誰もいなくなっていてとても静かだった。私は荷物が置いてある教室へ向かう。
足音がいつもより大きく聞こえた。
教室を開けると2人はいなかった。
先に帰ったのかと思うと私は自分の机を見て唖然とした。
友達はこんなに軽い関係なんだなと思った。




