18話 傷
18話 「傷」
いつもの昼休み、
空流と空乃は2人とも誰かに呼び出されていて私は人気のない校舎裏で昼食をとっていた。
食べ終わり弁当箱のフタを閉めようとした時、
「おい、羽場咲人。」
ガラの悪い連中に囲まれた。
「なっ何なんですか!」
「おめぇウザイんだよ。ひと目を避けてたくせに急に女子に話しかけたら調子に乗りやがって!」
ピアスをつけた男は拳でわたしの頬を殴る。
痛い。
「俺はな知っちまったんだよ。お前の正体をな!」
足で蹴られる。
「女装趣味があるんだってな?気持ちわる!」
胸ぐらをつかまれ数回ビンタをされる。
そしてそのまま手を離す。
私はもう話せないくらいに力尽きていた。
あのふたりは噂を知ったらどう思うんだろうな……
「行くぞ。お前ら、」
「はい!」
「さぁひたすら殴れ!!」
周りの数人の男子が構えた瞬間、
なにかに押されてそいつらはその場に倒れた。
「なんだお前!」
ピアスの男は目を見開いている。
目の前には白馬に乗った金髪の男がいた。
もちろん私の妄想ではない。
「テメェ!」
「やめなよ。また痛い目みたいの?」
「なっ!……お前はこの糞の味方か?」
「糞?」
「ああそうだ!こいつは今までみんなを騙して!」
「騙されたんだよ。彼女は。」
え?彼女?
「とにかく女の子に手を出す奴らは僕が許さない。」
ガラの悪い奴らは金髪美少年の振るった剣に怯えどこかへ消えた。
「大丈夫?」
彼は手を差し伸べたが私は起き上がれる自信がなかった。
「なんで……私のことを……知って……」
「僕はすべてを知っている通りすがりの奴だと思えばいい。」
彼は私を抱えて保健室まで運んでくれた。




