15話 嘘の嘘と大きな嘘
「実は私……僕は男なん」
「じゃないでしょ?」
「え?」
15話 「嘘の嘘と大きな嘘」
「さっきのがカツラでしょうが。」
「うわっ」
私は咲の髪を引っ張った。
地毛だ。
「うぅ……」
「なんで男になったの?」
咲は黙っている。
「私さ、さっきあんたのパスポート見ちゃったんだわ。そしたら女だったし。ね、話してよ。」
「……」
「マリアにお前らはお互いを知らなさすぎるって言われた。まず仲直りする前に、あなたのことを知りたい。」
「マリアがそう言っていたのですね。」
やっと咲が話した。
「私はあなたと家族以外には実は男で女装趣味があると思われています。そのせいでみんなから嫌われていました。あの日……喧嘩した日、空乃さんや空流さんは元の私と言っていました。中学でもずっと男のままで過ごしていましたし……元の私というのは多分男の私のことなんでしょう。」
「マリアも咲を男だって?」
「はい。だから女に戻った時は元の方がいいと彼女からも言われました。」
咲はため息をつく。
「私はあなたやほかの皆さんに嘘の嘘をついているわけです。でもこの誤解を解く事は難しいでしょう。でも、」
「あなたにだけは聞いて欲しい。私が女に戻ろうと思った理由とちょっとした過去の話を。」
「その話、きくよ。だってそれ聞かなきゃあなたのことよく知れないから。」
「ありがとうございます。」
咲はお辞儀をし、マリアの分の麦茶を手元に寄せる。
「この話は小学校に遡ります。」
今回の話は少し短くなってしまい申し訳ありませんでした。
次回から4章に入ります。
語りが羽場咲になるのでいつもと違った感じになると思います。
これからもよろしくお願いします。




