101話 辿り着いた?
101話 「辿り着いた?」
机も椅子も照明もドアも教科書も鞄もクローゼットも服も髪ゴムも、
全部私のものだ。
多分高2の4月11日に戻ってきたんだろう。
壁についていたはずの小さな傷がきれいさっぱりなくなっていたのだから。
ケータイを取りアラームを止め時間を確認した。
「5時半、私がいつも起きていた時間。」
とりあえず着替えて下に行こう。
お母さんがどうなっているのか確かめないと,,,,,,。
誰もいない。
置手紙を読んでみた。
『母さんは仕事で忙しいので残ってるカレーを食べてね。』
お母さんは存在して、ご飯の内容もあの日と同じ。
次は学校だ、急がねば。
学校は歩いてすぐのところにある。
さすがに朝練の人たち以外はまだ来てないか。
と思ったら後ろから声がした。
「おーい、雨璃!!」
「おはよう。雨璃」
空流と空乃。
このころは友達だったっけ?
「どうしたの?」
「顔色悪いわよ。」
「な、何でもない,,,,,,。」
笑ってごまかすのも久しぶりだ。
なんて窮屈な日々。
「二人とも早いね。」
「お互い様じゃん。」
「あはは,,,,,,。」
なんで、
なんで戻ってきたのに
愛想笑いなんかしてるんだろう。
「もういやだ。」
『へ?』
「あなたたちとこの関係を続けるのはいやだ!」
言ってやった。
どうせ崩れる関係ならいらないでしょう?
下駄箱へ足を踏み入れる。
その瞬間両肩に何かがのった。
「おもしろいね。雨璃はどこでもいつでも。」
「再び、ようこそ。この世界へ。」
土曜日の分と今週の2話分は来週の土日から更新します。
遅れて申し訳ございません。




