1話 辿り着く
いまどき靴箱にラブレターが入ってるところなんて見たことがない。入っていたとしてもそれに従うなんて危険な行為だと思う。
私はずっとそう考えていた。
平凡すぎて毎日が飽きるくらいつまらない日々の中で、
でもある日のこと、私のところにラブレターが届いた。
今からその話をしようではないか。
1話 「辿り着く」
4月11日、高校2年生になり友達といつも通り登校していた朝のこと。
お腹が痛くなりトイレに駆け込んだ私はドアに貼り付けてあった手紙を見てしまった。
すべてはここからはじまったと言える。
『この手紙を見つけた人へ、
放課後屋上へ来てください。』
よくありそうな文章だが、手紙を置く場所を間違えている。こんなもの誰も信じないしみんなスルーしているところだろう。
しかし私はその手紙を剥がした。
なぜ剥がしたのか思い出せないがそのままトイレに入らず出ていった気がする。腹痛もいつの間にか治っていたからだろうか?
教室に戻ると友達2人がスマホを片手に喋っていた。どうやらおしゃれの話をしているらしい。私は興味が無いが仕方なく参加することにした。
この2人とは高校に入ってから仲良くなった。席が近くて可愛かったからという理由で誘われたんだっけな?
そんなこんなで今に至るわけだが、趣味が合わないので適当に頷いていた。
いつの間にか2人が話を一旦やめこちらをじっと見ていた。正確に言うと私のスカートのポケットを……
「なんだよそれ?ラブレター?」
「え?え?なになに!?」
食いついてきた。正直トイレで見つけたとは言いたくなかったので話をそらしたかったのだが
「私初めて見たわー、ラブレター。んで、なんて書いてあんの?どこで拾ったの?」
とりあえず私は手紙を見せた。
2人はニヤニヤしている。
「結果後で教えろよな!」
「教室で待ってるからさ!」
私はにっこり笑う。
始業のベルが鳴り席に着く。
放課後まであと7時間くらい?
授業中ずっと考えていた。
相手が誰なのか、どんなやつなのか、この手紙はラブレターなのか、果たし状なのではないかと
いろいろ考えている間に放課後が来た。
屋上は基本立ち入り禁止なのだが私は行くことにした。
足が止まらない、もう引き返せない。
ただただ屋上へ続く階段を登っていた。
意外と長く足が痛かったが我慢した。
なんで私は手紙を信じてあんなことをしたのだろう。今思うと本当にバカバカしい。
何かそのドアの向こうに退屈なものを取っ払う秘密兵器でもあったのだろうか。
私は扉を開けた。
すごく強い風が吹いている。ラスボスでも現れたかのような。
「お待ちしておりました……え……?」
ほらほらなんか言ってるよぅ。
え?
「偶然とは恐ろしいですね。」
いや待って待ってやっぱりラブレターじゃなかったの?
「私があなたに告白をするためにここに呼びました。クラス委員の羽場 咲です。」
はい?
「付き合ってください。雨璃さん。」
人生初女子に告白された。
続く




