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ひたひた、ひたひた。


足音が近づいてくる。

濡れた裸足で板の間を歩くような。

粘着質の何かが歩いているような。

不気味な気配。


ひたひたひた、ひたひたひた。


何かが近づいてくる。

振り向いても何も見えないのに。



ああ、これは夢だ。

いつも見る、あの夢。


「やっと戻ってきた」


戻ってきた? 誰が、どこに?


「離さない。もう二度と、我の傍から」


誰の声、どこかで昔聞いたことがある?


「もう、離さない」


くるりと体が何かに包まれる。

冷たい、ひやりとした何か。

声もこの何かにも覚えがあった。


濡れたような足音は、もう聞こえない。

足音の主は私を拘束し、私の耳に冷たい息を吹き掛ける。


「や」


拘束する冷たい何かから逃れたくて、必死に身をよじるけれど拘束は更に強まるばかりだった。


「嫌。助けて」


捕まってしまった。

戻りたくなかったのに。


「許して」


戻りたかった、やっと戻れた。

でも、どこに?


「嫌、いやあぁっ」


離して欲しい、離さないで。

やっと戻れたから、二度と戻りたくなかったから。


これは夢? 本当に夢なの?


私の抵抗は、何の意味もない。

拘束はどんどん強くなる、あたしの体は拘束する何かと、吹き掛けられる息と同じ温度になる。


「お帰り」


あたしはとうとう捕まってしまったのだ。

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