表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/2

一話。 Birth by Death. あるいは現在進行形の死。


―――目を開けば異世界でした。

そんな見出しが出るような転生を彼は想像したが、そんなことはなかった。むしろ異世界に来たかどうかすら怪しいし、それ以前に問題が発生していたりする。


 (目……目が空かないし体が動かない!? なにこれ!? )


そう、目が空かないし、体が動かないのである。その癖思考は正常とは言いがたいがクリアで、益々訳がわからない。ただギャアギャアと子供、と言うより、生まれたての赤ん坊が泣いているような音が聞こえる。すぐそばで。と言うか、外側からならまだしも、内側からも。


彼が落ち着きを取り戻すのと、その落ち着きから落ちるのとは同時だった。


(あ、赤ん坊からのスタート? そんな馬鹿なっ。不公平にもほどがあるっ)


内心でどんなに怒っても、体は動いてくれない。ただただ泣くばかりだ。泣かなければ死ぬのだから、泣くのは当然なのだが。


しかしすぐに泣き声以外の声が聞こえる。複数人の、歓喜しているような声。すぐに浮遊感、そして冷たい感触。彼はすぐに理解した。抱き抱えられていると。 精神的には十代半ば。微かな羞恥が生じるが、圧倒的な安心感。羞恥などたちまち霧散する。


「■■■■■■■■■■」


息切れした、しかし力強い、年若い女性の声。聞き覚えは彼にはないが、肉体が覚えている。母親だ。


なんとか顔を見ようとしても、目は開かない。開いたとしても、見ることはできないのだが。


彼はどうにもなら無いと解ると急速にどうでもよくなり、眠ることに決めた。諦めはいい方である。眠る直前、額に柔らかな感触を得た。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ