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つないだ手の温度が均されるまで  作者: みけめがね


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第七話 オーバーヒート

随分買い物を終えるのが遅くなってしまった。スーパーの外に出る。空には陰鬱な雲もなく星の光が満天に見えて、吐き出した白い息は容赦なく星空へ吸い込まれていく。


「結構買ったね〜冷凍食品が多めだけど」


たくさんの買い物をしてホクホクの朝一さんとパンパンの買い物袋片手にボロアパートへ向かって足を進める。……が流石に牛乳パック三本と冷凍食品を限界まで詰め込んだ買い物袋は運動不足の私の貧弱な腕にはきつかった。って言うか一回の買い物で牛乳パック六本購入はもはや大家族の領域だと思う。

 

「まぁ、便利なので……はぁ」


話していると息が切れてうまく返事できない。身体も疲労からか少しだけ重く感じる。


「清水さん、私が持とうか?」


朝一さんも見るからに疲れている私を見かねたのか気を利かせてきた。


「大丈夫ですよ……多分もうすぐアパートですし……」


「じゃあ、一緒に持ってあげる」


次の瞬間、朝一さんのちょっと小さめの手が私の手の甲を握ってきた。

私の手の甲に朝一さんの少しひんやりした手が重なる。


「ひゃっ!?」


突然のことにびっくりして思わず変な声が出てしまった。

 

「え!? 朝一さんの手、めっちゃあったかい!」


そう言いながら朝一さんは私の手をカイロのようにモミモミ揉んだり、スベスベ撫で回したりする。人に自分の手をじっくり触られる機会がないのでゾクゾクして変な声が出そうだ。っていうか私の手そんなに暖かいのか。ずっと手をもにもにされるとハンドマッサージされてるみたいでちょっと気持ちいい。

 

「……多分、能力の影響で身体が暖かいんだと思います」 


「つまり清水さんを揉んだり撫で回せば自然と部屋があったかくなるってこと!?」

 

朝一さんの言い方はちょっとアレだが、感情の変化が能力の発動には密接に関わっていると言うのは十分有り得る話だ。

手を繋いだまま私たちはようやくボロアパートの前まで辿り着いた。

 

流石にアパートの前では手を一旦離したけど。私が温めないとこの人の手は冷たすぎるなと実感した。

 

帰ってきたばかりの部屋の中は冷たいので私が能力を使って暖房の役割をする。

朝一さんはスーパーで買ったコロッケを早速レンジで温め直している。


「あったかーい!やっぱり清水さんはすごいね」

 

私の操る温風をいっぱいに受けて朝一さんは私に向かってはにかむ。……が突然視界にあった笑顔がぐにゃっと歪む。


(あ……やばい)

 

微かな声も出ない。身体の力が抜けてそのまま床に倒れ込む。

徐々に視界が真っ暗になっていく。眩む視界の中で朝一さんの声が最後に聞こえた。

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