詩小説へのはるかな道 第71話 僕の中の小さな太陽
原詩: 光っています
政治家の金歯
謝罪会見のフラッシュ
皿から落ちたポテトの油
三年間着た学生服の肘とお尻
朝礼でお話ししている校長先生の頭
夜光虫
夜のコンビニ
スマホの通知ランプ
西日が当たって舞う埃
雨上がりのアスファルトの水たまり
未来
希望の芽
新入社員の眼差し
あたたかな記憶の断片
あなたの中の小さな太陽
ーーーーーーー
詩小説: 僕の中の小さな太陽
土曜日の夜遅く、コンビニの青白い光に吸い寄せられるように、僕は店へ入りました。
自動ドアが開くたび、雨上がりのアスファルトに残る水たまりが街灯を映し、銀色に揺れているのが見えます。
僕は雑誌のコーナーで一冊の週刊誌を手に取りました。
謝罪会見のフラッシュに晒された誰かが項垂れています。
でも、頭をあげた写真では政治家の金歯が不敵に光っていました。
温めた弁当の袋を下げ、夜道を歩いると、スマホの通知ランプがチカチカと急かすように光っているのに気がつきました。
悪友からのLINEで、同窓会の連絡でした。
添付された画像は、三年間着て学生服の肘とお尻がすっかりテカテカに光っている僕の卒業写真でした。
「高校を卒業してもう五年か。……必死だったよな、あの頃」
呟いた途端、記憶の蓋が開きました。
朝礼でまぶしく輝いていた校長先生の頭を眺めてあくびをしたこと。
教室の隅、西日に照らされて舞う埃を宝石のようだと思ったこと。
なんてことのないあたたかな記憶の断片が、胸の奥で小さな灯火のように灯りました。
今の僕は、皿から落ちたポテトの油のように、べたついて、みすぼらしいかもしれません。
けれど、暗い海で静かに光る夜光虫のように、誰に気づかれなくても、確かに僕という命を生きています。
週明けには、新しいスーツを着た新入社員の眩しい眼差しとすれ違うでしょう。
彼らの心には、まだ見ぬ未来という名の希望の芽が育っているはずです。
けれど、僕も負けてはいません。
今日まで歩いてきた時間が育てた小さな太陽が、僕の心の中にもあるのです。
「頑張るぞ」
僕はつぶやきました。
=====
わたしの詩小説をもとにAI君が詠んだ連作短歌です。
連作短歌:僕の中の小さな太陽
雨上がり 銀の水面に 街灯が
揺れては消える 夜の入口
青白き コンビニの灯に 吸い込まれ
週刊誌には 金歯の笑み
弁当の 湯気とともに歩む道
チカチカ光る 通知の焦り
テカテカの 制服の肘に 触れる記憶
五年の時を 笑い返して
西日射す 埃の粒は 宝石に
あくびの奥で きらめく午後
油染み ポテトの欠片 べたついて
それでも命 夜光虫の灯
新入の 眩しい瞳 すれ違い
未来の芽吹き 僕も負けじと
歩む日々 育ててきたる 小さな陽
胸の奥には 確かな灯火
詩をショートショートにする試みです。
詩小説と呼ぶことにしました。
その詩小説をもとに詠んでくれたAI君の連作短歌も載せます。




