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『チョーク一つで世界を変える〜異世界教育改革鉱山工業編〜』  作者: くろめがね


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22/51

第22話 軍は、考えなくていい

22話です

軍訓練所は、

鉱山よりも

よく整っていた。


床は平ら。

天井は高い。

人は多い。


そして――

声が大きい。


「動け!」

「遅い!」

「気合を入れろ!」


怒鳴り声が、

空気を切り裂く。


(……無駄だな)


そう思った瞬間、

自分はもう

こちら側の人間だと理解した。



「教育官殿」


訓練所長が、

深く礼をする。


「兵の規律に

 問題がありまして」


「脱走。

 私闘。

 命令無視」


「……数字は?」


即座に聞いた。


所長は、

一瞬だけ詰まる。


「……把握しておりません」


(……だろうな)



初日。


自分は、

訓練を止めた。


怒鳴るな。

走らせるな。

罰を与えるな。


兵たちは、

困惑する。


「……命令は?」


そう聞かれた。


「……待て」


それだけ答えた。



二日目。


掲示板が設置される。


・命令遵守率

・遅延件数

・違反回数


兵の名前は、

書かない。


数字だけを書く。



三日目。


怒鳴り声が、

消えた。


四日目。


私闘が、

止まった。


五日目。


脱走が、

なくなった。


理由は簡単だ。


考える意味が、

 なくなったからだ。



一週間後。


訓練所長が、

報告書を持ってくる。


「……遵守率、

 九八%です」


声が、

震えている。


「……暴発、

 ゼロ」


「……奇跡だ」


誰かが、

そう呟いた。


(……違う)


奇跡ではない。


最適化だ。



王都への報告。


「軍訓練所、

 安定運用に成功」


「脱走率、

 過去最低」


「兵の統率、

 前例なし」


拍手。


称賛。


その場で、

辞令が出る。


「軍教育顧問」


肩書きが、

一つ増えた。



夜。


宿舎で、

一人になる。


窓の外で、

兵が整列している。


静かだ。


完璧だ。


(……もう、

 戻れないな)


だが、

後悔はない。


ここまで来た。


ここまで

評価されてしまった。



翌朝。


次の要請が、

届く。


「補給部隊に

 問題あり」


封筒の重みが、

昨日より重い。


(……次は、

 物流か)


理解している。


どこでも同じだ。


人がいる限り、

沈黙は

効率を上げる。


ペンを取る。


署名する。


また一段、

階段を上った。


誤字脱字はお許しください。

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