女は黙ってお茶でもくんでればいいんだよ
ムカムカする表現が多数ありますが、ご了承ください。
最後はスカッとざまぁしてハッピーエンドになりますのでご安心ください。
「女は黙ってお茶でもくんでればいいんだよ」
菱沼冴子は辟易していた。
デスクにふんぞり返って座る毒島部長の女性蔑視発言が始まったからだ。
「なーにが実りのある共同経営を続けていきましょうだ。女のくせに偉そうにしやがって」
苛立ちを抑えきれない毒島に、部下の社員たちはご機嫌を取ろうと必死に頷いてみせる。
「ほんとそうですよねぇ。うちの会社と業務提携を結んだからって調子に乗ってますよねぇ」
「うちがやめると言ったらすぐに切れる関係なのに」
「女が社長という時点で、終わってますよねぇ」
皆、本心でないことは冴子も重々承知だが、それでも気分のいいものではない。
彼らと目を合わせないよう、パソコンにかじりつくように仕事を続ける。
「おい、菱沼ぁ!」
しかしそんな彼女に、毒島の声が飛んだ。
「今の聞いてただろ? なんでオレのデスクに茶がねえんだよ!」
「も、申し訳ございません」
「打ち合わせが終わったタイミングで持ってくるだろ、普通」
「すぐにお持ちします」
「ほんと気が利かねえな。だから女は使えねえんだよ」
冴子は急いで給湯室へ行って毒島のお茶を入れる。
別にこれは彼女の仕事でもなんでもないのだが、社内で唯一の女性社員である彼女にいつも毒島はお茶を入れさせていた。
「お待たせしました」
毒島は何も言わず、黙ってお茶を飲んだ。
「ちっ、ぬるすぎて飲めるもんじゃねえ。茶も満足に入れられねえなんて女として終わってんな」
デスクに戻る冴子に、毒島はポツリとそうつぶやいたのだった。
※
その晩、冴子はため息をつきながら帰途についていた。
今働いている会社は地元の有力者が経営しているもので、ありとあらゆるところにコネがある。
毒島もその有力者の関係者であり、その権限を利用して今の立場を手に入れた男だ。
つまり仕事は出来ないくせに偉そうに指示だけする人間。さらには強烈なミソジニスト(女性に対する嫌悪や蔑視を持つ人)である。
彼が部長になった途端、会社にいた女性社員は相次いで辞めていった。冴子も辞めようと思ったものの、他に行く当てもなくズルズルとこの会社に居続けている。
このままではまずいとは思っている。しかし踏ん切りがつかないのだ。
それに、あんな男のせいで辞めるのも納得がいかなかった。
冴子はこの会社に入って10年の中堅である。年齢ははるか上だが入って2年か3年足らずの男に追い出されるのは我慢ならなかった。
かといって、立場的に上の人間には逆らえない。
よしんばハラスメントで訴えたとしても、さらに上の人間に握りつぶされるだろう。この会社は毒島の人脈によって多くの利益を生み出しているからだ。
あんな男でも顔は広い。
だからこそ、冴子は何も出来なくて歯がゆかった。
そんな時である。
裏路地にひっそりと立つひとつの看板が目に入った。
『お困り事を解決します、なんでも屋』
さびれた白い鉄の板に黒く殴り書きされたような汚い字。
雑居ビルの入り口にぽつんと佇むその看板に、冴子は目を奪われた。
(なんでも屋? なにこれ)
今まで何度も通った道だが、まさか裏路地にあんな看板があるなんて気づきもしなかった。
しかし入る気はしなかった。
明らかに怪しすぎる。
もしかしたら暴力団関係かもしれない。
冴子はそそくさとその場を立ち去った。
※
「おい、菱沼ぁ! てめえ、何度も言ってんだろ! 茶菓子を切らすんじゃねえってよぉ!」
次の日。
冴子はまた毒島に怒鳴られた。
急に訪問してきた取引先に出す茶菓子がなかったからである。
そもそも茶菓子を用意しておくのは菱沼の仕事ではない。それに期限がある食べ物など余程のことがない限りは取っておくものではない。しかも急な訪問ということであれば、用意してあるほうがおかしい。
にも関わらず、毒島は冴子を責め立てた。
「女なんだから、それくらい気づけよ! 気づかないてめえは女以下か? あぁん?」
「も、申し訳ありません、まさかお客様が訪問なさるなんて思わず……」
「言い訳か? ハン、女っていつも言い訳から入るよな? だからいつまで経っても男の上に立てねえんだよ」
悔しかった。
世の中すべての女性を見下すこの男が憎くて仕方ない。
けれども冴子ひとりの力ではどうにもならなかった。
毒島に怒鳴られながら、冴子は昨晩見たあの看板を思い出していた。
『お困り事を解決します、なんでも屋』
今日の帰り、そこに立ち寄ろうと心に決めた。
※
なんでも屋の入り口は雑居ビルの4階にあった。
最初は緊張して背中から汗が流れるのを感じたものの、中はこざっぱりとした綺麗な部屋だった。
デスクに座っている受付っぽい女性がにこやかに冴子に微笑んだのを見てホッと胸をなで下ろす。
「いらっしゃいませ」
「あ、あの……、表の看板を見てきたんですけど……」
「お困り事ですか?」
「は、はい」
「でしたら、ここに記入をお願いします」
そう言って渡されたのは一枚の紙だった。
そこには「相談事」と「何をして欲しいか」の項目しか書かれていない。
冴子は躊躇しながら受付の女性に尋ねた。
「あの、これって守秘義務とかあるんでしょうか。私がここに来て相談事に書いた内容がバレるとまずいんですけど……」
「大丈夫です、安心してください。ここに書かれた内容はエージェントにお伝えしたあと、お客様の目の前でシュレッダーにかけますから」
「あ、あと料金ってどうなってるんでしょう?」
「内容にもよりますが、簡単な案件でも10万円はします」
「じ、10万……」
安くはない。
安くはないが、払えない金額でもない。いくらかかって何をするかは不明だが。
「どうされます?」
「金額を提示されて断ってもいいんですか?」
「もちろんですよ。でも皆さん本当にお困りで、最後の手段としてこちらにお越しいただいてるので、契約成立率は90%超えてますね」
「90%……」
「解決率も8割は超えてます」
明らかに高い。
実際の件数がどれくらいかわからないので比較できないが、解決率8割は異常だ。
しかし背に腹は変えられない。断ってもいいということだったので、冴子は用紙に相談事を書き込んだ。
相談事:上司の女性蔑視がひどすぎて仕事が嫌になっている。
何をして欲しいか:上司を会社から追い出して欲しい。
書き込まれた用紙を見た受付は、少し眉を寄せた。
「女性蔑視……ですか」
「ものすごく女性を見下してくるんです」
「同じ女として許せないですね」
冴子の気持ちに寄り添うように憤慨する受付に、少しだけ気が楽になる。
「こういうタイプの人間には、矢島さんが最適ですね」
「矢島さん?」
「矢島さーん! お仕事でーす!」
受付が奥に声をかけると「はいはーい」と一人の女性がやってきた。
長身黒髪のモデルのように綺麗な女性である。あまりに綺麗すぎて冴子は固まった。
「はじめまして、なんでも屋の矢島亮子です」
ニコッと笑うその顔は芸能人のようなルックスである。
そんな矢島は冴子が書いた用紙をひょいとのぞき込むと「うわぁ……」とつぶやいた。
「女性蔑視の上司。今時いるんですね、こういうの」
「はい、すごくひどくて……」
冴子は今までの仕打ちを矢島に伝えた。
話してるうちにだんだんと悔しさがにじみ出てくる。
話す内容のひとつひとつに矢島だけでなく受付の女性までもが憤慨していった。
「いますぐ辞めさせるべきです! そんなヤツ!」
「でも、社長の関係者らしくて……。誰も訴えられないんです」
「ひどい。矢島さん、なんとかなりませんか?」
受付に言われた矢島は「ふむ」と言って提案した。
「わかりました、その依頼お受けしましょう。料金は40万円ほどでいかがでしょう」
「え? お金取るんですか? こんなヤツ、無料でやっちゃいましょうよ!」
憤慨して無料を訴える受付に矢島は「お前はどこの人間だ」と突っぱねた。
「40万ならお受けしますが、どうします?」
「払います」
冴子は即決した。
給料二ヶ月分だが、毒島がいなくなるなら安いものだ。
「ただし、うまくいかなくてもお金は戻ってきませんが、よろしいですか?」
さきほどの受付の言葉「解決率8割」が気になるところだが、冴子は「はい」と頷いた。
逆に言えば2割は失敗している。しかし冴子は矢島という女性を信用しようと思った。
「では、我々は準備がありますので、後日、あなたの会社に伺うとしましょう」
「よろしくお願いします」
そう言って冴子は深々と頭を下げたのだった。
※
数日後。
あれから矢島からは一切連絡がなかった。本当に何かしてくれるのか心配になる。
もしかしたらお金をだまし取られたのではないか、そんな気さえしていた。
しかしそんな心配も杞憂に終わった。
冴子の会社に矢島が現れたからである。矢島は高級スーツに身を包んでいた。まさにデキる女のような出で立ちだった。
そんな矢島の姿に冴子は思わず声をあげそうになって、慌てて口をおさえた。
(ほ、本当に来た……!)
矢島は冴子には一切顔を向けず、毒島に満面の笑みを浮かべて挨拶をした。
「初めまして、クシナダコーポレーションから参りました立川と申します」
「比翼カンパニーの毒島だ。業務提携の件でしたね?」
「ええ、比翼カンパニーの増田社長とは懇意にしておりまして、この度も快くお受けくださいましてありがとうございます」
「ここではなんですから、応接室に参りましょう。菱沼ぁ! 茶菓子持ってこい!」
「は、はい」
毒島と一緒に応接室に向かう矢島は、冴子を一瞥するなり軽くウィンクをして見せた。
何をするのかはわからない、けれど心強い味方が現れたと冴子は思った。
業務提携の話はすんなり終わった。
矢島が絶えずにこやかに話を進め、毒島が見下した目つきで頷く。
業務提携してやってるという態度が見え見えだった。
「それでは毒島様、今後ともよろしくお願いします」
「ああ、そちらも頑張ってくださいな」
矢島が帰ったあと、毒島が「ふん」と言った。
「またどこぞの女社長だとよ。ったく、女が社長だなんて一昔前はあり得なかったのにな。嫌な時代になったもんだ」
冴子はすんなりと話が終わったことで(あれ?)と思っていた。
てっきりこの場で何か起こると覚悟していたのに。
むしろ毒島の女性蔑視がさらにひどくなっている気がする。
「ちなみにどんな会社だったんですか? えらい美人でしたけど」
部下の一人が尋ねると毒島は言った。
「ネット通販の会社だと。まあ、日陰でひっそりとやってる輩にはちょうどいいのかもな。はははは」
毒島が笑うと、部下たちも「ははは」と乾いた笑い声をあげた。
「まあ、売り上げがよくなかったらすぐに手を切りゃいいさ。それより仕事しろ、おめえら」
「は、はい!」
慌ててデスクに戻る彼らを、冴子はただ黙って見つめるしかできなかった。
※
その後も何度も矢島は毒島のもとを訪れた。
「毒島様、今日もよろしくお願いします」
「あ、ああ」
「今日はネット通販での御社の商品の取り扱いについてですが……」
矢島は業務提携に向けての打ち合わせということで、毎日のように顔を出し続けた。
最初は見下しながらも笑顔を作っていた毒島だったが、次第にその顔つきが変わっていった。
(ちっ、なんで毎日来るんだよ。めんどくせぇ)
女に自分の時間が取られている、しかも矢島主導で話が進んでいることに我慢できなくなっているのがまざまざと見て取れる。
そして、一週間後くらいにはとうとう毒島も「いい加減にしろ!」とみんなの前で怒鳴った。
「てめえと話すことなんざ、なんもねえ! 社長が許可した業務提携だからって、調子に乗るんじゃねえよ!」
入り口に立つ矢島に、毒島がメンチを切りながらドスのきいた声で言う。
「で、ですが、ネット通販における拡大事業は弊社にとっては重要なことですので……」
怯えた表情の矢島が賢明に食い下がる。
しかし毒島はそれを一喝して黙らせた。
「うるせえ! 女が社長やってる時点で終わってんだ、お前んとこは!」
「女が社長をやってる時点で終わりとは、ずいぶん時代錯誤ではありませんか?」
「ふん! 女なんてな、茶だけくんでりゃいいんだよ! なに一丁前に仕事してる気でいやがる。今も昔もこの社会は男が支えてんだ! ありがたく思え」
「毒島様、それはあまりに横柄だと思われますが。今は男女平等。女性だって立派に社会を支えております」
「それが気に入らねえって言ってんだよ! 働いてるなんて勘違いしやがるヤツが多くて吐き気がするぜ。なんの役にも立たねえくせによぉ!」
さすがに冴子が矢島を助けようと身を乗り出した。
このまま彼女ひとりに任せるのは気が引ける。冴子ひとりでは馬の耳に念仏かもしれないが、何もしないよりはマシだ。
しかし冴子が身を乗り出そうとしたのを矢島は目で制した。
「ここは任せなさい」と言っているようだった。
そんな彼女を見て、冴子はスッと下がった。
「それは社長も同じ意見なのですか?」
「当たり前だ。社長だっててめえのようなカス会社、気にも止めてねえだろうよ」
「そうですか……」
矢島はそう言うと、懐からボイスレコーダーを取り出した。
そのボイスレコーダーの録音部分が赤く光っている。
「毒島様。これ、なんだかわかります?」
「あ?」
「ボイスレコーダーです。今までの会話、すべて録音させていただきました」
それを聞いて毒島の顔が一気に青ざめる。
「ボイスレコーダーだと!?」
「申し訳ありません。先日から少し私に対する当たりが強かったものですから、念のためにボイスレコーダーを隠し持っておりました。数日前からすべて録音させていただいております」
「な、なんだって!?」
「これを公表すれば、どうなりますかね」
今までの怯えた表情とは打って変わって、矢島は堂々としている。
まわりで見ていた部下たちは目を丸くしていた。
もちろん冴子もその一人だ。
「お、脅すのか? オレを」
「脅すなんて人聞きの悪い。ただ、今までの一連の会話をボイスレコーダーに録音させていただいただけでございます」
「これだから女ってやつは……!」
ギリッと毒島は奥歯を噛みしめた。
「なしだ、なし! てめえとの業務提携なんて全部なしだ! 残念だったな、ネット通販の開拓ができなくてよぉ!」
「ええ、もとよりそのつもりです」
矢島はそう言って、一枚の名刺を取り出した。
そこにはこう書かれていた。
『政府直轄外部監査委員:立川あけみ』
「が、がいぶかんさ……」
「政府直属の特別監査委員です。パワハラ・セクハラ・モラハラ、ありとあらゆる問題を社内に潜り込んで調査する機関です。残念ですが毒島様の発言はすべてに当てはまりそうですね」
「ち、ちょっと待て。どういうことだ?」
強気な態度が一変、困惑する毒島。
政府と監査というワードは、企業にとってはかなり強い。
特に毒島のような男には効果的である。
「御社の社内で不正がないか探っておりました」
「じゃあお前のとこの会社は……」
「ダミー会社です。社長にも話を通しておりますので、業務提携などありません」
「バ、バカな……、社長も知ってただと?」
「でなければ、こんなところまで潜り込めません。ああ、安心してください。社長は詳しい内容は一切知りませんので。ただ外部監査として調査させて欲しいとお願いしたら承知してくださっただけですから」
毒島は足下がガラガラと崩れ落ちるような感覚に襲われた。
外部監査の人間だとわかっていれば、もっと違う対応が取れていた。しかし時すでに遅しである。
「報告は義務ですので、このボイスレコーダーは政府のある機関に送られます。あとはそこがどう判断するかですね。まあ、十中八九なんらかの警告はあるでしょうが」
「ま、待て。警告ってなんだ?」
「さあ。業務停止か改善案の提出か。いずれにせよ、このままでは済まないと思いますよ? その前に社長に状況を伝えた方がいいかと」
明らかに立場が逆転していた。
怯える毒島に、見下す矢島。その光景にその場の誰もが目を奪われていた。
「それではこれで」
矢島はそう言って颯爽と帰って行った。
去り際に冴子にウィンクしていくことも忘れない。
あとに残されたのは項垂れる毒島と、それを見守る人々、そしてホッと胸をなで下ろす冴子だった。
※
「ありがとうございました、毒島部長はあの後すぐに社長に報告して自主退職となりました」
後日。
冴子は『なんでも屋』を訪れて矢島に礼を言った。
「よかったですね、無事にいなくなってくれて」
受付の女性も嬉しそうに笑っている。
「ですが知りませんでした。矢島さんが政府直轄の外部監査委員だったなんて」
「ああ、あれですか? あんなのウソですよ」
「え!? ウソ!?」
「そんなのあるわけないじゃないですか。それらしく取り繕っただけですよ。そもそも政府に民間企業を罰する権限はありません。例外はありますが」
「そ、そんなことして、大丈夫なんですか!?」
「あなたさえ黙っててくれたら大丈夫です」
ニッコリ微笑む矢島を見て、冴子は(この人には敵わないなぁ)と思った。
「もちろん黙ってますよ。おかげで平和になりましたから」
「でも、自主退職っていうのが納得出来ませんね」
受付の言葉に冴子も頷く。
「退職金を手にできる自主退職と、退職金も手に入らないうえに転職も難しくなる懲戒解雇とじゃ、天と地ほどの差がありますから」
本来ならば多くの社員を辞めさせた毒島の発言は懲戒解雇レベルだが、会社的にはそこまでじゃないと判断したのだろう。有力者の関係者というのも大きかった。
すると矢島が「ふふ」と笑った。
「会社が無理なら、社会に裁いてもらいますか」
そう言って毒島との会話を録音したボイスレコーダーをパソコンにつなげた。
「これをネットにあげます」
「え? いいんですか?」
「よくはないですけど、私も毎日あの人と話をしてて何度キレかけたことか。これはむしろ私の復讐です。こうでもしないと私の腹の虫がおさまりませんから」
「矢島さんは怒らすと怖いからね」
受付の言葉に冴子はゴクッとつばを飲み込んだ。
「あと、コピーしたこの音声を週刊誌と新聞社とテレビ局に送って……、ああ、社長の家にも送りますか。あと、地元の有力企業と……」
テキパキと送付先をメモに書き込む矢島。
「ふふ、あの毒島という男を社会から抹殺した上で、この町にいられなくさせてあげます。どこからも雇ってもらえず、路頭に迷うがいいわ」
不気味に笑う矢島を見て冴子はつぶやいた。
「ほ、本当ですね。怒らすと怖い……」
数日後、毒島の女性蔑視発言は週刊誌やワイドショーで取り上げられ、冴子の働く会社は連日記者たちが押し寄せた。
ネットでは批判が殺到し、自主退職を判断した会社にも飛び火。
謝罪会見まで開き深々と頭を下げる社長は、その日のうちに毒島を懲戒解雇とすることを宣言したのだった。
矢島の予想通り、毒島はネット民たちから住所を特定され、執拗な嫌がらせを受けて逃げるように町から出て行ったという。
それから二ヶ月後。
新しい上司のもとで冴子は仕事を続けていた。
女性蔑視の発言をする毒島はもういない。
同調していた部下たちも、記者の追及に負けて次々と辞めていった。
今は少ない人数ながらもなんとか業務をこなしている。
しかしそれでも以前よりはずっとマシだと冴子は思った。
お読みいただきましてありがとうございました。
シリーズ物にしようかと思えるくらい好きなお話です。
機会があったらまた『なんでも屋』のお話を書きたいです。
矢島さん意外にも個性的な『なんでも屋』のメンバーがいるんですが、今はまだ頭の中なので、できたらそのうち……。できないかも(笑)




