【3】 -警護騎士シンハ、殺人教団の首魁ジャイラダと邂逅す。-■12■
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「こいつは…?」
目の前に安置されたミイラを見て、呆然とシンハは呟いた。
「これは、ルドラの"お気に入り"さぁ♪」
ジャイラダはシンハの隣に立ち、そっと彼をミイラから一歩下がらせた。
溢れる光に照らされたミイラ。
乾燥して皺が寄った干物なのに、それには精気があり神々しさすら感じる。
「手ぇを出すと、ルドラに殺されるよっ♪
それに、見せたいのはコイツじゃないんだよっ。」
そう言うと、ジャイラダはシンハの両腕を抱える様に掴み、見せたい方向へ向きを変えさせた。
ジャイラダは、魔法円の中央に存在する一番大きい光球を見る様にシンハを促す。
言われるままに、シンハは光の玉へと目を凝らした。
時折、光は脈打つ様に明るさを変え、生きているかのようだ。
黄色く大きい光に強い光量はなく、シンハはその奥に何かがいるのを視認した。
光は薄い膜の様になっていて、その先に何かが蠢いている。
ぎゅうっと光の膜を複数の手が押し
大きな口を開くと、光の膜を喰い破ろうと噛みついている。
明らかに、それはコチラ側へと来たがっているように見えた。
巨大な祭壇。
大人数の生贄。
それは、全てあの光の膜の向こうに居る、"何か"をコチラへ呼ぶ為だとシンハは理解した。
そして、それは超絶的な力を持つ悪しき存在。
「シンハ、これで分かっただろう…?」
呆然とするシンハの肩を軽く叩き、ジャイラダは囁いた。
「アタシは、ザジー教徒の国を造るよ…っ!!
アタシ達には、"バトラマールナ神の加護"があるっ!!」
自信満々に彼女は声を張り上げ、仰々しくシンハの前で祭壇を自慢した。
「このハルピに、我々の国を造る…っ!!
その力がアタシ達には、あるんだっ!!
神から授かった、この力がねっ!!」
身から湧き上がる高揚感をぶつける様に、彼女は力一杯にシンハの背を叩いた。
「うふふっ♪
さあっ、シンハっ。
沢山、お仲間を連れてきておくれよぉ
"あのお方"をお呼びするには、沢山の生贄が必要なんだから…っ!!」
■■■続■■■




