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【3】 -警護騎士シンハ、殺人教団の首魁ジャイラダと邂逅す。-■10■

■10■

その刹那、人質の首は一刀両断されて、どっと大量の血が噴き出した。

鶏でも絞める様に人質は絶命させられる。

すると、その遺体から泡の様にまあるい光が滲み出た。

ぷっくりと膨らんだ黄色い光球は、遺体から離れ、ふわふわと宙を漂い始める。


「…!?

 あの光は…、あれは人の魂…っ??」

シンハは、息絶えた人質から溢れ出した光球を目で追う。

そして、この広間に漂って輝く光が人魂である事を理解した。


「ふふっ♪凄いでしょう♪

 バトラマールナ神への供物として、魂がいっぱい必要なのさっ♪」


周囲を漂う黄色い光球、それが外からも漂い流れ込んでいる事にシンハは気が付いた。

崩れた尖塔の穴から、ふよふよと黄色い光球が外から広間へと入り込んでくる。

そして、無数に漂う光の流れへ合流してゆく。


それは、この時にも何処か外で、ザジー教徒達が狂刃を振るっている事を表している。

この場所以外、夜の闇に紛れて人を殺めているのだ。

そして、犠牲になった人々の魂は、黄泉へ行くことを禁じられ、この地へと集められている。


それは、犠牲者たちの魂が、輪廻転生の輪環(りんかん)から外れた事を意味する。


「何てことを…っ。

 お前たちは狂ってる…っ!!」

シンハは身の内に湧き上がる怒りに身を震わせて、ジャイラダへ吐き捨てた。


「はっ♪狂ってるっ??

 とんでもないっ!!

 すべては、偉大なるバトラマールナ神の為…っ!!

 そして、アタシらは、国を造るんだっ!!」


ジャイラダはシンハの顔に息がかかる程に近づき、愛を囁く様に告げる。

彼女の声は低く抑えた声であったが、それは絶対的な確信と自信を帯びていた。


「…国を造る??

 お前たち、狂信者達が…?

 何を世迷い事を…っ!!」

シンハは引きつった笑みを浮かべ、ジャイラダを嘲笑する。


「決めたぞっ、ジャイラダっ!!

 身代金を支払って解放された暁には…っ。

 お前たち、ザジー教徒達を絶対殺すっ!!

 現世にも黄泉にも、何処にもお前たちの国などないっ!!」


鼻息を荒々しく吹き、シンハは怒りに任せてジャイラダを罵倒した。

対してジャイラダは、彼の怒りを余裕を持って受け流す。

むっちりとした豊満な肉体で、シンハの身体へ体当たりして軽く突き飛ばした。


「シンハぁ…、アタシャ言っただろぉ~っ。

 アタシ達には、バトラマールナ神のご加護かあるのさっ」


そう告げると、シンハに向かって指を指し、そのまま床を指さす。


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