【3】 -警護騎士シンハ、殺人教団の首魁ジャイラダと邂逅す。-■05■
■05■
ジャイラダは格子に顔を圧しつけ、シンハを見詰めた
そのままの体勢で彼女は部下へ視線を向け、察した部下が牢屋のカギを開ける。
ゆっくりと落ち着いた様子で、ジャイラダは牢屋へと入り込んで来た。
「あらあらっ、せっかくの男前が台無しぃ♪」
乳粥で汚れたシンハの顔を見て、ジャイラダはせせら笑った。
彼女が笑うと、中年女らしいふくよかな身体がユルユルと揺れる。
「そんな乳粥まみれで顔を放置してたら、肌がかぶれちまうよっ」
彼女は睨みつけているシンハの頭を掴み、力任せに強引に顔を上向きにさせた。
そうして、彼女はべろりっとシンハの顎髭に付いた乳粥を舐める。
「くっ。くそっ!?何をする…っ!!」
「ジッとしてなぁ、後でカブれて大変になっちまうよっ」
抵抗するシンハの髪を鷲掴みにして、ジャイラダは彼の顎や頬についた乳粥を舐め取ってやる。
親猫が子猫を手入れするかの様に、丹念に優しく舌で乳粥を舐め取ってゆく。
「くそっ!!やめろ…っ!!」
「おっとっ?何だい親切にしてやったのに…っ♪」
ニタニタと下卑た笑みを浮かべて、嫌がるシンハを揶揄う様にジャイラダは微笑む。
「まあ、いいさ…っ♪
シンハぁアンタ、アタシらの仲間にならないかい?」
「はぁ…?何だとっ!?」
「ウチらは、いつでも人手不足でねっ。
アンタは出来る男だと思ったんだよ、どうだいっ?」
「ふざけるなっ!!
誰が、山賊などに加わるかっ!!」
ギラリッと金属光がランプの灯りに反射してきらめく。
ジャイラダの奮った大鉈は、一瞬でシンハの喉元まで届くとぴたりっと止まった。
その大鉈は分厚く、刃はぎらりっとした幅広の鉄板で、シンハの首を跳ね飛ばすには充分に見える。
「大体さぁ~っ、アンタ達は、何の信者なんだい…?」
そう言うと、ジャイラダはシンハに構えた鉈を下した。
「アートマブー神?
それとも…、ヴィダートリ神かい?
まあ、どっちでも良いや…っ♪」




