【3】 -警護騎士シンハ、殺人教団の首魁ジャイラダと邂逅す。-■04■
■04■
「おらっ!!飯だメシぃっ!!
とっととっ食えっ!!ほらっ!!」
ザジー教の信者が木の椀を持って現れる。
そして、それを檻の内側へと並べて置いた。
木の椀には、白くドロドロな糊状になった乳粥が入っている。
中身は乳と米、香辛料のカルダモンの香りが微かにしていた。
「さっさと喰っちまえよっ!!」
吐き捨てる様にそれだけ告げると、看守は檻から離れてどこかへ消えた。
そそくさと、旅団のリーダーは椀をそれぞれへ配膳し、自分の分を抱えて啜る。
「とにかく、明日にでも奴隷商人に引き渡されるだろう。
後は身代金が支払われれば、我々は自由の身だっ。」
旅団のリーダーが怯えつつも、確信を持った口調で告げる。
「そうだな…、その間に衰弱してしまったら、元も子もない。
食べて体力をつけておいた方が良いっ。」
シンハは努めて明るい口調と表情でアシュリータへ告げ、乳粥を彼女へ薦めた。
彼女に怯えが残っている事を察したシンハは、自ら進んで乳粥を啜って見せる。
当然、両手が拘束された彼は、椀の前に身を伏せると、犬の様に椀に顔を突っ込んだ。
そのまま、乳粥を啜り、仰々しく滑稽に食べてみせた。
「うふふっ、いけませんっシンハ様。
アタシが介助しますわ…っ」
「ぁぁ…、すまないっ。」
アシュリータは、両手が動かせないシンハの代わりに椀を持つ。
そして、彼の代わりに乳粥が入った椀を口元へ運んであげた。
「おっとぉ、食事中かいっ?」
ランプの暖光色な明りが檻を照らした。
明りを持った部下を独り付き従えたジャイラダが、檻の中を覗き込む。
珍しい動物でも観賞しているかのように、彼女は檻の中に居る6人をまじまじと見つめた。
「はっ♪生まれに感謝するんだねっ、あんた達っ!!
そうでなかったら、バトラマールナへの贄として捧げてたよ…っ!!」
勝ち誇り胸を張るジャイラダに向かって、シンハは敵意を向けた。
「何を言う、盗賊ごときがっ!!
神の名を騙り、悪行を働く山賊がっ!!」
「おやおや、口に気を付けなよぉ~っ
別に贄として、ぶっ殺しても良いんだからねぇ」
売り言葉に買い言葉、シンハとジャイラダは互いに敵意を剥き出しにして向き合った。
だが、ギロリッとしたにらみ合いから、ジャイラダは視線を離す。
「まあ、明日には奴隷商人へ引き渡すから、安心してなっ♪
旅団の他の奴等は、返せないけどねぇ。
そんな事より、アンタ…、名前は?」
「シンハ、シンハだっ。
"ナークヒ"のシンハだっ。」
「そうかい、シンハって言うのかいっ♪」




